第2話
なぜ、俺がそんなことがわかる?
知りたくもないし、理解したくも無かった。
だけど、俺は理解してしまった。
そう思うと、何で俺は自分という意識を理解して、こんな世界でロールプレイをはじめてしまったんであろうと。
ああ
俺は村人でいたかった。
何にも考えなくていい存在でいたかった。
でも、なぜか俺は世界という存在に囚われた。
気付かなければ俺はこのままでいられたのだから。
気付いたら違和感しかない日常が始まっていた。
それまでは違和感すら感じることのないロールプレイ。
今までの俺だったら、そんなこと気付きもしないで毎日の仕事に従事していただろう。
だけど、俺は気付いてしまった。
このままであれば俺達は死ぬのだ。
問答無用で死ぬのだ。
それは確信であり、避けようのない事実なのだと理解出来てしまう。
どうしたらいい?
簡単だった。
村の皆に話しかけた。
俺達はこれから襲われるかもしれない。だから、備えをしなければならない。
必死だった。
死にたくなかった。
だけど、返ってきた反応は小馬鹿にするような困った笑みだった。
俺がなまじ真面目な少年だったということもあった。
何でそんなことがわかる? 夢でも見てるんじゃないか?
そういった類のものだった。
最初は必死に説得しようとした。
違和感を感じているのは俺だけでなく皆もあるはずだと。
だけど違った。
自我に目覚めたという言い方はおかしいが世界に対しての疑問を持ったのは俺だけだった。
なおかつ、ステータスを開けるのは全員だったが、自分の未来の略歴まで見れるのは俺だけだった。
アーリアにも話した。
だけど、彼女は夢でも見ているんじゃないの? と言った。
それでも、納得できなかったけど、そういうものなのかなと思い始めた。
たまたま、俺がそんな風に思っただけで世界は変わらない。だから、勘違いを忘れてこのまま生きよう。
そして、
村に悲鳴がこだましていた。
あちらこちらで火の手が上がっていた。
そして、俺はひたすら後悔していた。
こうなるって知っていたのに。
それなのに回りに流されて見なかった振りをした。
これまでのような毎日が続くと勘違いしていた。
だけど、この終末は俺が招いたものだ。
手に血まみれた片手剣を持ったリザードマンがいる。
俺の手にあるのは粗末な草刈り用のカマだ。
剣が振り下ろされた。
カマで受け止めようとしてそれは両断された。
その上で俺の身体は轢殺された。
悲鳴なんて上げるまでもない。
俺は今日ここで死んだ。
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