【書籍版】公爵令嬢は騎士団長(62)の幼妻 一章

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第1話 プロローグ

 かつて私――キャロル・アンブラウスはこの国の王子であるレイフォード・エル・フレアキスタ殿下の婚約者でした。


 婚約者といっても、特にお互いの間に愛があったわけではありません。公爵令嬢である私と、王族であるレイフォード殿下。この婚約はあくまで、『高貴な血と高貴な血で次の王族を』という考えと共に結ばれたものです。簡単に言うと政略結婚ですね。


 ですが少なくとも私は将来的に王妃となるために教育を受け、王子の婚約者として相応ふさわしいように努力をしてきました。学園での成績は常に上位を保ち、それでいて休日返上でマナーや礼節の講義を受け、舞踏会で恥をかかせてはいけない、とダンスの練習もしました。頑張ったのです。少しでも王妃として相応しくなるように、と自分に言い聞かせて頑張ったのです。


 ですが、そんな日々は――今日、終わりを告げました。


「キャロル! 俺は貴様との婚約を今日をもって解消する! 二度と俺の前に姿を見せるな!」


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