満月

生きていたくない

そう考える人はいるだろう。

それは何故?学校で虐められているから?家族が暴力を振るってくるから?理解してくれる人がいないから?辛いから?脅されているから?つまらないから?

まぁ、理由は様々だろう。先に言っておこう。私は生きるも死ぬも自由にすればいいと思う。だって……自殺するのがその人にできる唯一の復讐かもしれないし、生きていれば救われるって考える人もいるのだろうから

これは私達の歪んだ愛の物語……


――――12月・愛知県・天気雪 桐崎side

「さっみーんだよ……」

俺はそう言って空を見上げる。チラチラと真っ白な雪が舞い降りてくる。


黒の上着に白の無地のシャツ青のジーンズに黒のスニーカー、特徴と言った特徴もない、髪型、街中がクリスマスで染まるのをどこか憎らしそうに睨んでいる男、桐崎優也はバイト帰りの夜道を自転車で漕いでいた。


「そう言えば……あのときもこんな日だったな……」

俺は街頭も人気も一切ない公園を通りかかった頃にそう呟いた。

そして、俺はある違和感を感じた。

公園の滑り台の上に誰かが立っていた。いや、誰かが立っていることは大事なことじゃないかもしれない。だが、その誰かは月明かりに照らされていた。

(なんでだ?雪が降ってるし……それに雲も分厚いのにな……)

俺はそう思い、好奇心でその誰かに声をかけた。

「あの……!」

そう言うとその誰かはこっちを見て微笑みかけた。そして……

「あなたは私を殺してくれる?」

その一言と共にこちらに近寄ってきた。

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