江奈簾県って知ってるか?

のこのこ

第0話 プロローグ

巧君はなんも知らんけんねぇ、知らんっていうのは知っとる何よりも罪が重いけんなぁ。

目の前までゆっくりゆっくり迫る女が

どんどん、どんどん大きくなっているような気がした。

気のせいじゃない。女は大きくなっているのだ。俺の恐怖を吸って大きくなっているのだ。


「あっ…ぁ…」


逃げようとする足が竦む。もっぱら走ったとしても2メートル強まで大きくなった目の前の女から逃げれれるとは思わない。

食われると思った。


この女は俺を食う気なんだと。


「知らんってほんに可哀想…。お守り、貰わんかったんが運の尽きだったねぇ。巧君ももっと早く気付いとれば私がって分かっとったかもしれんに。」


あの時―――貰っていればこんなことにならなかったのか?

自分よりはるかに高い身長の真っ白い女が奇妙に笑う。


「ぽぽぽ…ぽぽ。」

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