自律≠自立人形と、僕の - 〇〇 -

空き缶

自律≠自立

第1話 自律≠自立

一週間前

僕は何をしていただろうか

そんな問いを見慣れた4畳半の天井を見上げながら問いかける

...

一昨日は、昨日は

僕は何をしていたのだろうか

......

いや、きっと'' 何か ''はしていたんだと思う

この地球上の生物には1日24時間という時間が等しく与えれている


しかし

その時間の意味や意義は多種多様、千差万別であって

僕にとってそれはあまりにも無意味であって無意義だった


目的もなく、計画性も無く

ただただ生存本能に従って、食べて寝て今日を迎えたのであろう


そんな薄味の記憶など

8時間も睡眠を貪った脳から抜け落ちるのは当然のようにも思えた


「 ......自立か」

高等学校の卒業が近付いた頃から頻繁に耳にするようになった言葉

親や友達から聞いたその言葉が無意識に口から零れ落ちた


友人には両親と仲が悪く、卒業と同時に自立するのだと

学生机という壇上で演説会を繰り広げるやつもいた

子供が一番に直面するべき大きな自立はやはり'' 親からの自立 ''なのだろう


しかし、両親の仲も良く

ごくごく平凡な家庭に生まれ育った僕は

自立するということに対して、何か特別な感情を抱くことは無かった


皆がそうするならばと、それが常識なのだからと

その事実を只、なあなあに受け入れて

そうして、僕は世に言う'' 自立 ''をしたのだろう

しかし...


じりりりりりりりっ!!!


そんな思考を中断するように携帯電話のアラームが部屋中に鳴り響いた

目が覚めた後の2度目のアラーム

このアラームが鳴る頃には支度を始めないと会社に遅刻してしまう

僕は今までのどうでもいい思考を中断して、頭を今日の仕事へと切り替える


こうしてまた

明日には忘れてしまうであろう今日が始まるのだと

この時は確かにそう思っていた

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