過去の自分
俺は坂井実、といってもこれは仮の名だ。此処では、敢えて本名は語らない。俺が生まれた頃、保育器の中で育ち、やがてすくすくと成長した。
話は変わるがこれは俺が幼い頃の話だ。
保育所にいた時、俺の記憶にあるのはそこで寝ていた事だ。
「実、帰るよ。」
母に連れられ、雨の中を自転車で帰った。
その時の母の後ろ姿がとても安心出来て俺は二度寝してしまった。
やがて月日はあっという間に過ぎついにその保育所から卒業する事になった。
そこで起きたのは俺の友達だったあの子と喧嘩してしまったのだ。
理由はその子が違う小学校に入学することにあった。
先生が慌てて止める。俺も彼も謝り、気付けば小学校に入っていた。
そこで待っていた現実はあまりにも非情だった。
知的障害…俺は生まれ持っての障害者だったのだ。
3年間は養護学級で過ごし、その後は何事もなかったかのように学校に向かったのだが、皆は俺から机を離した。
多分、これが俺にとっての辛い体験となる。
その後は色んな事があったが何とか中学生になった。
俺はしょっちゅう喧嘩した。
気に入らない奴がいれば、速攻で殴りにかかりその度に別室行き
中でも名勝負だったのが俺が後輩と戦った時だった。
「どけよデブ!」
と言いそいつが無理やり階段を下りた所をすかさず殴りにかかった。
が、不覚にもその時俺は奴の後ろに回ってしまった。どうやらこの後輩は
頭が切れる奴で、頭を後ろにやり、そしてこの時、俺の角膜は傷付いた。
でお返しにとばかりに一方的に殴られる俺だったが、先生が駆けつけ俺は眼科に
搬送、先ほど説明した通り、俺の角膜は傷付いていた。
で、結局別室でこってり絞られたけど、まぁ、今にしちゃあいい思い出だ。
ちなみに俺はソフトボール部に所属していたんだが、これがまた悲惨なのだ。
俺は後輩にからかわれるし、何かこれと言った成績も残せていない。
試合には代打で出るとか言われたものの結果的に負けた。
こんなトホホなやつなのだが、これで中学は終了。
高校に入ると早速オリエンテーションで虐めにあう。
が、それだけでその後は、そのオリエンテーションの奴が度々叱られて挙句退学になったそうで、この出来事は引きずる程のものではなかった。はてさて問題は此処からだ。
俺は大学に通ったのだが、大学の教師用のマイクを握るなり虎舞竜のロードを熱唱。
その後も悪事を積み重ね、ついには親の金をくすねて東京への逃避行を行った。
が、当然うまくいくはずもなく帰還。そして某駅のラーメン店で
「大学辞めるわ。」
と言った挙句に味噌ラーメンを馬鹿食い。
で、騒ぎはこれで終わればよかった…のだが、今度は作業所で起こった。
フリーダムに振る舞った結果、当然のごとくクビにされた。
で、刃物を握ったり、それを見られたり、妹を木刀で殴るなどの警察沙汰を起こした挙句捕まり、何回も精神病棟に世話になっている。
が、最後の希望をとある作業所に託し、2年の月日を経て現代に至る。
此処で言える事は、過去の苦い思い出は消えないが、今を変える事によってそれらは美化されやがては達成感が生まれる
つまり、俺が体験した事は決して無駄にはならないのだ。
ではまた会おう。それと最後に私が本当に伝えたいことは…
自分一人で人生という壁を乗り越えたものはいない。必ず何らかの支えがあって僕らは常にその人々に感謝の意を表さねばならない…とね。
ende
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