第4話

   4、


 空軍救難隊の七七式汎用ヘリコプターは高度三〇〇メートル程度を飛行した。スライドドアは開け放たれていて、私も南波も無言だった。

 飛行するヘリからは、針葉樹、低湿地、森を貫く国道、そしてさほど遠くもない場所に、黒煙を上げる縫高町の市街地が見えた。

北洋州のこの島……椛(かば)武(ぶ)戸(と)は、南部はだいたい平野で、上空三〇〇メートルから見渡しても、地平線が望めた。地平線が切れるあたりに微かに見えているのは中部から北部へ連なる山地で、もっと近寄ればまだ雪を頂いているはずだ。激戦が続いているのはそのあたりだ。ここから二〇〇キロ近い距離がある。眼下は芽吹いたばかりの新緑の木々と、鉛色の湖沼、川、簡素な道路に、延々と続く送電線。殺風景を絵に描いたような光景だ。しかし、一ヶ月季節が逆戻りすれば、さらにこのあたりは殺風景になる。雪解け直後の北洋州の風景は、おそらくどんな人間でも厭世的になる。ところどころにはびこる永久凍土は膿み、舗装していない道路は泥濘に沈む。装輪車はおろか、装軌車ですら往生するような場所もある。演習で五五派遣隊所属の九七式戦車が泥濘につかまり、履帯すべてが没してしまったことも一度や二度ではない。かつての大洋戦争の時代、同盟国が列強諸国と相まみえたとき、国土深くまで地上部隊の侵入を許さなかったのは、同盟軍そのものの戦力というよりも、冬将軍を筆頭として、果てしなく膿む大地をはじめとする気候的要因のほうが大きかったのだ。それはわが帝国との北方戦役でも構図自体は変わらない。北洋州には大規模なツンドラの大地こそないが、初春の季節はめまぐるしく高気圧と低気圧が行き来するため、二日と青空が安定しない。思い出したように降る雪を恨めしく仰ぎ見、あきらめかけた頃にようやく本格的な春が来るのだ。

 呼ばれた、ように思えた。

 顔を機内に戻す。ヘリコプターのローター音が凄まじく、誰が私を呼んだのかわからない。南波は目を閉じてじっとしていた。メディックはコクピットに首を突っこんで何かやっている。私を向いているのは伊来中尉だった。

「中尉、」

 私はにじり寄るようにして、伊来を向いた。

「呼びましたか」

「礼を言ってなかった」

 伊来の栗色の髪がダウンウォッシュに舞っている。

「どっちみち、このヘリコプターがあなたを見つけていましたよ。礼を言うなら私たちだ」

 そのとおりだと思っていた。事実、伊来と出会ってから、二時間も経たないうちにヘリコプターがやってきた。あと半日近く歩かなければならないところ、不謹慎ながらも私と南波にとっては幸運だったのだ。

「この機は、どこぞの前線基地へ?」

「たぶん豊滝」

 空軍の簡易的な前線基地だ。常設部隊はいないし、陸軍の部隊は駐屯していない。

「伊来中尉は、どこの出身で?」

 立ち入った質問かと思った。黙って基地到着を待てばよかったかもしれない。南波が意外そうな顔をして私を見ている。普段私がこんな質問をしないからだ。

「私は、……京(みやこ)。」

 帝が住まう場所、帝国の首都。伊来中尉の表情に、ふと洗練された何かが見える気がした。毛色の良さ、というのとも違う。選ばれた子供。「第二世代選別的優先遺伝子保持者」……ただ単に<PG>と呼ばれる遺伝子的エリート。きっとそうだ。

「慣れましたか」

「慣れた」

「寒さに?」

「……この風景に」

「私は北洋州出身です。……見慣れた風景ですよ。こういうのは」

 ヘリコプターは速度を変えず、しかしゆったり旋回していた。ぶ厚い雲も、ところどころで割れ、『天使の梯子(ジェイコブス・ラダー)』と呼ばれる光のカーテンが垣間見えていた。

「殺風景ですけどね。こういうのは悪くない」

 針葉樹と湿地と原野が続くその上空から、天使の梯子が下りてくる。正面左の奥側は線を引いたように真っ平らで、それはシェルコヴニコフ海の水平線だ。ずいぶん飛んだ。当初私たちが目指していた拠点など通り過ぎている。このまま空軍の前線基地まで運ばれるのだろうが、私と南波が原隊に復帰するなら、さらに高泊までいく必要があった。が、友軍の拠点までたどり着くことができれば、連絡を取るのもたやすく、また足の確保もどうにかなるだろう。まずは食事をしたかったし、わがままを言えば、シャワーも借りたかった。そして、一時間でもいいから横になりたい。南波はヘリのキャビンで目を閉じたりしていたが、眠っているわけではないだろう。ときおり頭が私を向く。

 会話はそれで止まった。南波がまた私を見ていた。

(話しすぎだ)

 明らかに表情はそう言っている。同盟軍の<THINK>などなくても、この程度の思考は読める。むしろわからなければ、私たちは相棒(バディ)たり得なかった。

(反省してる)

 南波はふたたび目を閉じていた。眠らなくても、目を閉じているだけで、少なくとも眼球から入力される情報は遮断できるから、その分の脳の処理能力をセーブできるだろう。意図的に耳をふさぐことができれば完璧だろうが、人間にそのような機能はなかったから、意識的にこのやかましいヘリコプターのターボシャフトエンジンの咆哮と、空気を切り裂く周期的なローター音を無視するのだ。コンピュータがなかなか模倣しきれない人間の脳の機能の一つに、「関心を寄せる対象以外を無視する」ことがあげられるという。気づかなかった。見えなかった。聞いていませんでした。感覚器としての目や耳や鼻があっても、それらから入力された情報を処理するのは脳だ。脳が関心をよせなければ、入力された情報は処理の優先順位を下げられる。

「もうすぐ着陸する!」

 メディックが怒鳴る。南波がSTANDBYモードから復帰する。私はやや弛緩していた上半身を引き締める。伊来中尉は、クルーを失いこそしたが、けがもなく帰還できたことに幾分安堵しているように見えた。

「陸軍さん、ここでいいな」

 メディックは航空ヘルメットにバイザを降ろした姿だ。表情はわからず、口調も強かった。歓迎はされていないのだろうと思いながら、

「助かった。ありかどう」

 私はそう伝えた。南波が親指を立てて(サムアップ)みせていた。南波がやっても似合わない。私は南波に小さく首を振ってみせたが、私の仕草が彼には理解できなかったらしく、私にも親指を立ててみせた。いまいち似合わないのは、底抜けに明るい表情を見せなかったからだろう。

 ヘリはぐっと右に旋回し、高度も落ちていた。豊滝前線基地は二五〇〇メートルの滑走路一面と平行誘導路、建造物のやたらと少ないエプロン、ひょろ長い管制塔と、必要最低限の設備だけがある、例えはおかしいが、国道沿い、不意に現れた小さな売店とガソリンスタンドしかないパーキングエリアのようだった。急ごしらえのようなコンクリート造りの掩体が森とエプロン地区のあいだに並んでいて、出撃待ちなのか、列線には六四式戦闘爆撃機と八一式要撃戦闘機の姿が見えた。私たちが乗った七七式救難ヘリコプターは、ゆっくりと、エプロンの端のヘリパッドに着陸した。

 メディックが先に降り、エスコートされるように伊来が続き、私と南波は言葉や意思を介しないアイコンタクトを交わして、4716自動小銃を手に、短い空の旅を終えた。

 私たちは空軍基地に降り立った異質な黒い染みだった。空軍の兵士たちは空色の制服を身につけていた。警衛の兵士はいるのだろうが姿は見えない。自動小銃や拳銃といった飛び道具を持った隊員の姿はない。戦闘機に取り付く機付員たちは濃いグリーンの作業服を着ていたが、黒の戦闘服上下は私たちだけだった。伊来はヘリコプターを降り、メディックが付き添いながら、離れていく。彼女がこれからすることされることは多いに違いない。とりあえずは医官の診察を受けるのだろう。上官への報告、あるいは審問も受けるかもしれない。そしておそらく、私たちはもう会うことはないだろう。悲観的意味ではなく、彼女は空の住人であり、任務は戦闘機を駆って空を切り裂くことだ。私たちは地を這い、銃を撃ち、駆けるのが任務だ。住む場所が違う。今まで伊来中尉に出会わなかったように、これからも会うことはないだろう。ただ、会おうとする意思があればまた出会えるかもしれない。邂逅の機会があったとして、私たちは会おうとするだろうか。私は彼女の後ろ姿に、首都……中尉の故郷や、私が学生時代を過ごした都野崎で見た桜の花を思った。

 私は前を向いたまま、伊来中尉を見送ったまま、南波を促す。

「中尉!」

 エンジン音に負けない大きさで、南波が声を張り上げた。肺活量の大きな南波の声はよく通る。伊来は私たちを向いたまま。

「武運長久を!」

 伊来中尉。じっと私たちを見る。そして、機敏な動作で脱帽時の敬礼……いわゆるお辞儀をした。

 彼女と並んでいたメディックも、倣った。

 私たちは挙手の敬礼。陸軍式の、正式なスタイルで。そして、伊来は踵を返し、しっかりとした足取りで、エプロンから離れていく。

「陸軍さん、」

 後から呼ばれた。振り返る。

「高泊の陸軍駐屯地まで、あんたら乗ってくか」

 私たちを乗せてきたパイロットがバイザーをあげ、にやりと笑っていた。

「え、」

 南波が聞き返す。

「ここは前線基地だからな。救難機は連絡機も兼ねてンのさぁ。……今すぐじゃないけんど、今日中に高泊の統合司令部まで行くから。行きは空荷だからよ。よかったら乗っていけばいいべ。誰もそったらことで文句は言わんべよ」

 南波が私を見る。大尉の階級章とウィングマークをつけたヘリコプターのパイロットは、すさまじい訛りでしゃべりながらコクピットから降り、腕を組んでエプロン地区を見渡す。

「いきさつは知らんが、五五派遣隊の名前は知ってるから。なにをやってンだかは知らネが、まあ、いろいろ大変なんだべ?」

 パイロットは北洋州の南側の出身だろうか。そんな響きだった。。

「まあ、そうだね」

 南波が答えた。伊来と話したときとは声音が違った。

「俺も五年前までは、戦闘機に乗ってたンだがな」

「そうなのか、」

 南波は階級章に気付かないふりをしている。そしてパイロットもそれを許している。

「あんた、夢は見るかね」

「夢?」

「夢さ。さっき、俺のヘリん中で寝てたべ、」

「寝てない」

「目ェ閉じてたべや」

「見てたのか。脇見運転は勘弁して欲しいね」

「空に障害物はなかなかないから平気なんだ?」

 聞き覚えがある訛りだった。間違いなく北部自治域……北洋州本島の南側、海沿いの出身に違いない。そういう匂いがした。

「困った運転手だぜ」

 南波に並ぶと、パイロットはやや南波より背が高かった。南波は標準的な身長だから、やや長身といえる。私は……私も標準的なほうだろう。

「あの子は、また飛べるべかね、」

 今にも煙草でも吸い出しそうな口調だ。パイロットは伊来のことを言っている。

「なぜ」

「馬から落ちたらすぐに馬に乗れ、っていうけんども、はぁ、あの子はどうだかね」

「やさしいんだな。若い女の子だからか」

「違うさ。俺がそうだったからさ。……撃ち墜とされっと、怖いもんね。飛ぶのがさ?」

 CIDSもヘルメットバイザーも上げた彼の左の眉が分割されていた。大きな傷がある。外科的手術で目立たなくしているのだろうが、完全には消えていない。

「あの子は<PG>だからな」

 パイロットの言葉に私は勢い、振り向く。

「見ただけで分かるさ。どうせあんたもわかってたんだろうよ」

 パイロットは機長側のシートにもたれて言う。

「陸軍さんには、いないのか」

「……俺の中隊にはいなかった」

「あんたは。それっぽい顔はしてるけんど」

 パイロットが私を向く。飛行服のネームには、砺波とあった。砺波大尉だ。

「私は、違います」

「本当はそうだったりしてな」

 南波が平淡に言う。

「やめろ」

「気づいていないだけかもしれないぜ」

「南波、」

「そういう話も、聞くなぁ」

 砺波大尉が言う。

「本人が気づいていないって、あり得る話か?」

 南波。私に言ったのか、砺波に言ったのか、両方か。

「いや、いずれ気づくらしい。……だいたい中等課程に入学するあたりで」

 私が答える。

「なんでだ」

 南波が知らないとは思えなかったが、もしかするとこの手のたぐいの話には「興味がない」のかもしれない。興味がなければ強制的に教育されない限り、知識は得られない。そして、遺伝子的エリート……<PG>の存在は、いわば公然の秘密であり、一種のタブーだ。誰もが知っていながら触れてはいけない話題。そういうたぐいの話。

「夢を見ないんだそうだ」

 私は彼に答える。

「夢を見ない?」

「そう。寝ても夢を見ない」

 救難ヘリの副操縦士はいつのまにか機体を離れて、私たち三人になっていた。

「それで訊いたのか、夢を見るかって」

 南波が砺波大尉を向く。

「まあ。実際、あんたァ、俺のヘリん中で目ェ閉じてたしな、顔見りゃ分かるべ。あんたァ違うって」

「俺は違うか」

「あんたは違う顔してるから、すぐわかる」

「そうか」

「いやァ、実際そうなんだわ。顔見りゃ、分かるからなぁ」

「あんたは、……砺波さんは、<PG>が嫌いなのか」

「好きとか嫌いってンじゃないべなぁ。まあ、気持ちの問題だ?」

「気持ち?」

「気の毒なんだ、」

 気の毒。ちょっと違うとは思ったが、私もおおむね砺波の言葉にうなずいた。

 第二世代選別的優先遺伝子保持者。Priority genetic screening children……PG。

 夢を見ない子どもたち。

 遺伝子的に精神的補強がされていると言われている。……言われている、というのは、今のところ政府も厚生省も<PG>の存在を公式には認めていないからだ。存在は間違いないが、見て見ぬふりをしている。夢を見ない子どもたちは、極限状態に生来強いからだ。

「フラッシュバックしない。……夢を見ないからな。悪夢も見ない。もちろん楽しい夢も見ないけど」

「うなされるってことがないのか」

「原理的には」

「そりゃめでたいな」

「南波、あんたでもうなされるなんてあるのか」

「俺は繊細にできてるからな」

「嘘をつけ」

「姉さん、ひでぇなそりゃ」

「けど、あんたらァ、耐えられっかね。夢ェ見ない人生なんて」

「俺は……夢を見たかどうかなんて、憶えてないぜ」

「でも夢を見たことはあるはずだろう」

「まぁな」

「<PG>の子たちは、まったく夢を見ないんだ」

「だったら……さっきの伊来中尉だって、また飛べるだろう、いくらでも。撃墜されたショックなんて、なんとも感じないってことだろう?」

「そう、思うべなぁ」

 砺波はヘルメットを取ると、腹の前で両手で抱えた。私たちは自動小銃を抱えていた。空軍基地において自動小銃を扱うのは、基地警衛の兵士と、基地防衛隊の隊員だけだ。やはり私たちは相当にここでは異質に思えた。少なくとも、<PG>のパイロットよりも、特殊作戦部隊の隊員のほうがはるかにめずらしい存在だろう。

「夢ェ見ないってことは、逃げ場もねェってことだべ?」

 砺波が言う。

「逃げるって、どこに逃げる? 夢の中に逃げ込むのか? おいおい、そりゃ危ないぜ。病気だ。兵隊向きじゃないな。転職をお勧めするぜ」

 南波がまぜっかえす。

「夢の世界は精神的な防御反応の避難先としては有効なんだよ」

 私が答えると、南波は口を半分開き、あきれたように聞き返す。

「夢の世界?」

「そう。夢の世界」

「そんなに……、眠いのか。空軍にベッドでも借りて寝るしかないな」

「本当の話だ」

「なにがだ」

「……夢を見ないってことは、追体験も『予習』もできないってことなんだ」

「なんだそれ」

「南波、自分が死ぬ夢、見たことあるか」

「……」

「自分じゃなくてもいい。私でもいい。いや、家族でもいい。そういう夢、見たことあるだろう」

 砺波は黙っている。

「……お前が殺られる夢なら、死ぬほど見てる」

「そうか、」

「俺も、何回殺られたか分からないな」

「なるほど」

「それがどうした」

「それが『予習』だ」

「なにが『予習』なんだ」

「お前の脳が、勝手に予習してるんだ。私が戦死するときの体験、自分自身がやられるときの体験を」

「どういう効能があるんだ、そんなもん。……悪夢なんだぞ」

 耐性ができる。免疫みたいなものだと思えばいい。精神的な」

「免疫?」

「私が殺されるときの、シーン、とでもいうのか、それをお前は何回も『予習』して、現実に備えているわけだ」

「俺は……お前を戦死させるつもりはない」

「わかっている。けれど、夢の中での体験で、お前はもう、私が殺られたらどんな感情を抱くか、もう知っているわけだ」

「……そうだな」

「自分が殺られるときのシーンも、憶えているわけだ」

「憶えてる」

「何度も何度も見れば、……夢を見ているあいだはそれが現実としか思えないだろうが、目が覚めればそれが夢だったと分かる。夢で人生が変わることだってあるだろう」

「あるべな」

 砺波が口を開く。

「それが夢の世界だ」

「伊来中尉は、それがないっていうのか。それがどうしたんだ」

「精神的耐性がないってことだ」

「強いんじゃないのか」

「フラッシュバックしない、悪夢で精神疾患を誘発する心配がゼロ、そういう面では強い。はるかに私たちより強い。けれど、『体験の予習』っていうのかな。ある学者が実験したのさ。で、『体験の予習』があるかないかで、『悲劇』を実体験したとき、一部のグループには、ひどい精神的ダメージが残ったそうだ」

「なぜ、」

「その『悲劇的体験』を、あとになってから、現実と区別不能の夢として脳が追体験して、ヒトは過去にしていくわけだ。分かりづらいと思うが」

「ようするに、辛い体験をしても、何回も夢で見れば、免疫ができるってことか? 」

「ホラー映画を何回も見たら怖くなくなるだろう? 南波がお好みの戦争映画だって、Iidであれだけ見たら、恐怖も興奮も何もないだろう? 慣れるから」

「まあな」

「伊来中尉は、それができない。とびきり恐ろしいホラー映画を一度しか見られない。その強烈な恐怖は心に焼き付いて、それっきり劣化もしなければ、慣れることもない。とてつもないスケールの戦争スペクタクル映画も見られない。夢の中でフラッシュバックはしないが……物理的に夢を見ないからだな……覚醒時に『思い出す』ことはあり得る。

 たとえば南波、私が戦死する夢の話だけれど、このあいだの作戦の、あの発電所で野(の)井上(いがみ)が殺られた場面と、明確に区別できるか。お前の記憶の中では、『私が戦死した』のは夢だとタグがついているから区別できるだけで、それがなければ、私もあそこで現実に戦死した野井上も等しく『戦闘中に戦死』している記憶になっていないか」

「だから、」

「伊来中尉は、訓練でしか墜落を経験していないはずだ。シミュレータさ。シミュレータはしょせんシミュレータじゃないか?」

「そうだべな……俺もそう思うわ」

 砺波がうなずく。

「シミュレータでいくら敵に撃ち墜とされても、痛くもかゆくもねェべ。……思い出したところで辛くもねェ」

「そう言うことか。……あんたが、あの子がもう飛べなくなったんじゃないかって言うのは」

 砺波がうなずいた。

「けれど、<PG>は強いんだろう?」

「強い」

 と私。

「けれど、弱い。……きっと伊来中尉は、今日のことを何度も思い出す。それを乗り越えられなければ、きっと彼女はもう飛べない。砺波さん、あなたはそう思うんですよね?」

 砺波がうなずく。

「いままでそういうパイロットを、見てきた?」

 うなずく。

「復帰できた奴はいないのか」

 南波が問うと、砺波は私たち向き直り、唇を固く閉じ、そしてゆっくり目を閉じた。

「砺波大尉」

 私が訊く。

「飛ぶだけなら、誰でも戻れるさ」

 静かに言った。

「彼女は、」

「さあ……あの子次第だべなァ」

 そう言って、砺波は目を細め、笑った。

 轟音。見ると、爆装した六四式戦闘爆撃機がアフターバーナーに点火し、猛烈な勢いで離陸滑走を開始。あたりは凄まじい轟音に包まれる。私たちのつまらない会話も終わりだ。

「陸軍さん。飛行隊本部に顔を出して来い。高泊まで飛ぶ便があるって聞いたって。して、……飯でも食べてくんだな。飛ぶのは二時間後だ。一眠りしてこい」

「了解」

 南波が親指を立てた。

「サムアップは陸軍さんには似合わねぇべ」

 砺波が笑った。

「武運長久を」

「そのセリフはまだ早ェえなぁ」

「南波、」

「了解、行くぞ、准尉」

「了解、少尉」

 本当は駆け出したかったが、私は歩いた。南波もだ。

 4716自動小銃が、重く感じなかったというと、嘘になる。

 そういえば。伊来中尉のタクティカルネーム。戦闘機の爆音にかき消された彼女のもう一つの名前。

 私の耳には微かに届いていた。

 ……桜(サクラ)。

 ぱっと咲いて、ぱっと散る。この国の人間がもっとも愛する、春の花。


 水路潜入は経験がなかった。

 私が持つ軍事特技区分(MOS)に、水路潜入のスキルは含まれていないからだ。ヘリコプターからのリペリングや空挺降下、迷彩装備を生かした隠密潜入など、そうした訓練はやってきた。が、水路潜入はチームが違う。そのMOSを持った隊員は別チームで編成されているのだ。私や南波がこうした任務に就くことなどあり得なかった。

「シグナス、シグナス、ゼロワン」

 南波の声がCIDS……ヘルメットと一体化されたイアフォンから聞こえてくる。作戦本部を呼んでいる。なぜだ。無線封鎖しているはずだ。私たちが許されているのは、衛星からの一方通行で得られる情報の表示と、高度に暗号化された個々人の体内に埋設された生体マーカーの発報だけだ。

『ゼロワン、シグナス。花は咲いたか』

 信じられない。応答が来る。

「種を蒔いた。花はあと十五分で咲く。カウントダウン」

『ゼロワン、シグナス。了解した』

 それにしても、私は……ここはどこだ?

「ゼロトゥ、」

 私は南波を呼ぶ。声帯を発振させず、口から吐息を漏らすように言うだけで、CIDSのリップマイクが解析・増幅して、相手に伝える。

「どうした」

 南波は私の前方五メートルほどを先行している。あたりは一面の水。足先がつくが、ほとんど泳いでいるような状態だ。何も見えない。暗闇だった。おかしい。CIDSを装備しているのに、なぜ見えない。水の感覚も怪しい。私は自分が相当に疲労しているか、あるいは精神的平衡感覚を失っているのではないかと一瞬恐慌に駆られそうになる。まずい。

「ここは、どこ」

「入地、」

 作戦中に、南波が私の名前を呼んだ。

「岸から上がるぞ。もうすぐだ」

「蓮見や野井上は」

 信じられないことに、私は彼らの今作戦でのコールサインを失念している。本名で通話しあうなんて考えられないはずだった。

「先行している。大丈夫、ついてこい。いつもどおりだ。何を怖がってる。お前らしくない」

 ブーツがしっかりと地面を掴まえた。全身が水を吸って思い。水路潜入用にはドライスーツに似た機能の戦闘装備が指定されるが、いまの私が着ているのは、いつもどおりのチェストハーネスに、黒っぽい迷彩の戦闘服だった。装備がすべて水に浸かっている。自動小銃も、拳銃も、予備弾倉も、何もかも。本来ならすべて防水処理をした上で隔離されていなければならないのに。

「……、」

「南波」

 南波が銃を構えている。その前に、なんて言ったんだ?

「南波!」

「静かに、……!」

 私の名前だ。名字ではなく、南波は私の名前を呼んでいる。

「行くぞ、……」

 なぜか、そこだけ音声として聞こえない。なのに、彼が私を名前で呼んでいることがはっきりと分かる。なぜだ。なぜ。

 目の前が真っ白になった。

 足許も、両手も、南波も、何も見えない。

「……南波!」

「……!」

 相変わらず、南波は私の名前を呼んでいる。やめろ。私を名前で、呼ばないで。

 不意に照明弾でも撃ち込まれたか、それとも敵の拠点からサーチライトでも照らされたか。サーチライト? そんな設備?

 ……!

 南波を呼んだはずが、まったく音にならない。CIDSも沈黙している。真っ白だ。何も見えない。私はCIDSをあわてて跳ね上げた。それでも視界は真っ白だった。真夏の日なたのような、まぶしさだった。

 身体が重い。

 耳のすぐ横を、何かが空気を切り裂いた。

 銃弾。

 撃たれた。やや遅れて発砲音。

 見つかってる。

 潜入は失敗だ。

「南波、ダメだ、撤退しよう」

 南波?

 いない。

 破砕機のような連続音。機関銃で撃たれている。私はとっさに伏せたが、相変わらず何も見えない。白い。

 南波、ダメだ、行こう。

 どこへ?

 すぐそばを次々に銃弾が掠める。

 着弾。

 完全に私は敵の射線に入っている。撃たれるのは時間の問題だ。

 南波!

 彼が私を呼ぶ声も聞こえない。

 聞こえない。

 遠くから凄まじい雷鳴が聞こえる。

 私が南波を呼ぼうとする努力も、その長く響く雷鳴にかき消されてしまう。

 そこで……、目が覚めた。


 汗の臭いがする。

 簡素なベッドに、私は横になっていた。窓が近く、傾きかけた陽が差し込んでいてまぶしい。毛布一枚を戦闘服の上からかぶり、私は横になっていた。

 大きく息をついた。肺の中の空気をすべて入れ換えるつもりで。

 ……ここは、空軍の前線基地。

 自分の現在位置を思い出すのにわずかなタイムラグ。私眠っていたのだ。そのことに気付くのにもわずかな時間を要した。

 私は腕時計を見る。伊来中尉とエプロンで別れてから、一時間半。砺波大尉に言われた連絡機の出発まで、あと三十分ほどだった。

 仮眠室だから、設備は恐ろしく簡素で、スプリングがキイキイ言うようなマットレスのベッドが四つ並んでいて、仮眠室というよりは病室に近かった。天井の蛍光灯は点っていなかったが、ペラペラのカーテンが半分開いていて、そこから陽射しがあるのだ。二重のガラス窓の向こうは兵舎なのだろう。木造の建物がいくつか見えた。そしてその向こうが滑走路だ。凄まじいアフターバーナーの轟音は、窓を閉めていても地面から響いてくるようだった。

 半身を起こす。

 南波と二人、基地の厚生係に案内されてここへ通され、とにかく仮眠を取ろうという話で合意した。チェストハーネスを解き、防弾ベストをはずし、ホルスターもはずし、戦闘服の上も脱いだ。アンダーウェアも汗やら汚れでひどい有様だった。ブーツを引っこ抜くようにして脱ぎ、ソックスも脱いだ。両足はふやけたように真っ白になっていて、凄まじい異臭がした。それを見て南波が笑っていた。ひどいもんだなぁ、と。またこのソックスとブーツを履くのは正直憂鬱だったが、南波はまったく気にしないようで、両足の指を閉じたり開いたりと器用なことを私にしてみせた。ズボンからベルトも抜き、とりあえず大きく息をついた。

 厚生係からもらった水を飲み干し、トレイに載せられた簡単な食事ををもらい、私たちはそれらを瞬く間に胃の中に入れた。やたらと大きく分厚いパンに分厚いチーズとハムをはさめたサンドイッチだった。食べ物を胃に入れただけで、血流が幾分早くなったように感じた。何より、パンの持つうまみと微かな甘さが沁みた。

 そして、私は言葉もなく、ベッドに横になったのだ。吐息が漏れた。そして、横になった瞬間に意識を失ったのだろう。CIDSに頼ることなく、私の身体の判別する脅威判定レベルはゼロであり、警戒スイッチも何もかもが切れた。そして私は眠った。

 一時間ほど眠ったことになる。ただ、私自身の主観では五分も経過していないように感じる。なのにその間、しっかり夢を見ていた。

 私はよく夢を見る。

 だから、私は少なくとも、<PG>ではないということだ。もとより私は自覚症状もなければ、私の実家に第二世代選別的優先遺伝子保持者を育てる由縁もなかったろう。もっとも、自覚症状の件は、「新型」の<PG>に付加された新機能に、「夢を見る」という項目が追加されていなければの話だが、そこまで疑うと、私の存在理由が脅かされる。もはや生きていくことができなくなってしまう。私にとって、夢を見ること、そしてその見た夢を鮮明に覚えていることは、当り前の自前の機能だった。

 南波の姿がかなった。彼が寝ていたベッドはきっちり整えられていた。まるで、最初から私しかいなかったかのように。

 南波。

 夢を思い出す。

 夢は……現実世界に戻ってきた瞬間から劣化していく。憶えていようと努力をしなければ、見た夢は端から劣化し、夢の中の時系列もバラバラになっていく。それを防ぐには、覚醒したとき、できるだけ詳しく見た夢を思い起こし、それを意図して記憶していかなければならない。私は勝手に「夢の録画」と呼んでいた。憶えようとする努力が不要なほどに印象的な夢ももちろんあるが、だいたいの夢は、現実世界に戻ってくると、時間を追うごと、加速度的に霧散していくのだ。

 南波。

 私はもちろん水路潜入の経験はない。そうしたMOSを持っていないからだ。実際水路潜入が必要な任務があれば、別斑が充てられる。私や南波が出撃することはない。

 ベッドに腰かける。この部屋に鏡がなくてよかった。私は今の自分の顔を見たくなかった。……泣いていたら困る。泣くって? 私が?

 一時間でも眠ると違う。水と空軍式の巨大サンドイッチも効いているのだろう。明らかに身体が楽だった。そして、頭もすっきりしていた。幾分緊張も緩和されている。

 私はふだん、あまり任務の夢を見たことがない。

 自分で南波に講釈しておいて……私自身はどれほど過酷な任務を経ても、任務の夢を見なかった。『追体験』も『予習』も、どちらもだ。だから、南波には悪いが、夢の中で南波を喪ったこともなければ、私自身が戦死するような夢もほとんど見ない。私の精神が楽観的にできているのかもしれないし、ひどく鈍感なのかもしれない。私は自分を比較的感受性は敏感だと思っていたが、戦闘地域を渡り歩くような任務をこなし、凄惨を極めるような景色をいくつも見ても、それを夢に見たりしないあたり、本当の私は相当に鈍感なのだろう。

 大きく息を吸い、吐く。

 南波がいれば、「ため息はやめろ」と無粋なことを言う。ため息ではない。深呼吸だ。だいたいため息だとして、いちいち咎められる理由などないはずだ。大きなお世話だ。ここは酸素が貴重品の衛星軌道ステーションではないのだから。

 それでも、一見がさつで大雑把に見える南波は、気配りが行き届き、繊細な一面があるのは認める。余計な気を使わせないのも気遣いなのだ。簡単なようで難しい。私にはできない。南波はわきまえているのだ。バディとして組んでいながら、彼も私の領域を必要以上に侵さない。

 たとえば。

 彼は私の名前を作戦中に一度も呼んだことはない。駐屯地でもそうだ。

 コールサインか、だいたいが私の名字を呼ぶ。

 彼は馴れ合いを嫌うのだ。そうは見えないが、事実そうなのだ。適度な距離を保つ。それが縮まることはない。永久に。おそらく。だから当然、私も南波の名前は呼ばない。呼んだこともない。

 私の名前。

 こんな生活を始めて、私は自分の名前を時折忘れそうになる。誰も私の名前を呼ばないし、部隊は私を十二桁の識別コードで管理するから、余計そうだ。私の識別コードは011471322701。南波少尉は011478227590。コールサインは作戦によって変わるし、私を識別する固有名詞は名字だけで十分で、コンピュータはコードがあれば問題ないのだ。

 最後に名前を呼ばれたのはいつだったろう。

 おそらく、この戦役に参加してからは一度もない。ずいぶんと時間をさかのぼらないといけない。

 窓から外を見る。

 タンポポが一面に生えていた。陽射しを浴びて、まぶしい。タンポポの向こうのDの字を横倒しにした形の兵舎はくすんだ淡いグリーンの木造だ。もともとここは軍事的な施設ではなかったのだろう。中継的な飛行場か、その類だ。それを空軍が接収して、前線基地にしてしまったのだろう。私がいま腰かけているベッドも、その頃から使われていたものかもしれない。物に記憶があるなら、それを呼び戻すとおもしろいだろう。軍が保有する装備はICタグで管理されていて、移動履歴や故障、修理の履歴、戦闘機ならば出撃回数、そうした情報が埋め込まれているが、ベッドや机の記憶はどうなのだろう。備品管理用に簡易チップがついているかもしれない。が、それ以上、このベッドに誰が寝たのか、どんな夢を見たのか、一日の大半を「孤独に」過ごすこいつが、私のような「来客」をいままで何人迎えてきたのか、それを知ることができたら。……なぜこんなことを考えてしまうのだろう。

 窓辺にスチーム暖房があり、ぼんやりと熱を出していた。無骨なラジエータータイプのスチーム暖房はオンかオフかの二パターンしかない。猛烈に熱いか冷え切っているか。ぼんやり温かいということは、いまこいつは稼働していないということなのだろう。あらかじめ私と南波はそこにソックスと戦闘服を載せておいた。乾けば異臭も多少は抑えられるだろう、と。見ると、ソックスはパリパリになって塩を吹いていた。臭いのことは考えずに足を通した。ブーツの湿気はどうしようもない。あと三十分。

「おはよう、姉さん」

 南波。

 ベストは着けていなかったが、戦闘服姿だ。隙のない格好。ただ、4716自動小銃は持っていなかった。拳銃も、部屋の片隅の机の上に載せたままだ。

「すっきりしたか、多少は」

「多少は」

「晴れたな」

「そうなのか、」

「快晴さ。気づいたら」

「お前は寝たのか」

「俺は十分ほど前に起きたんだ。しっかり寝たよ」

 私はベッドを降りる。戦闘服を身につける。

「気分はどうだ」

 南波はタクティカルベストを着ける。メルクア・ポラリスMG-7Aをホルスターに挿し、自分の4716自動小銃を取ると、ベッドに腰かけた。

「いい」

「俺もだ。でも寝たりないな」

「それは同感だ」

「夢でも見たか」

 私ははっとして南波を見返した。

「なんで」

「眼が赤い。ちゃんと眠れてない証拠だ……それともあんたも夢を見ない子どもなのかな」

「違う」

「冗談だよ。ムキになるな。分かってるから」

 南波は低く笑った。おそらく本音だろう。私たちの間に疑念や秘密は存在しないからだ。そんな雑念のために判断が鈍ってはかなわない。ただし、知らなくてもいいことはお互いに知らない関係だ。知る必要がないことは無理に知ろうとしない。それが不文律だ。

「どこに行ってた」

「売店(PX)」

「そんなものがここにあるのか」

「キオスクみたいなのがあったぜ」

 言いながら、南波は私にチョコレートとコーラを差し出した。

「悪い」

 コーラの缶はよく冷えていた。

「高泊に帰ったら返してくれればいい」

「自分のは」

「ちゃんといただいた。気にするな」

 私はプルタブを引き、コーラをあおった。炭酸が喉を灼く。喉が鳴った。旨かった。

「こういうのを見ると、日常が帰ってきたって気がする」

 ぼんやりと思う。

「姉さんでもそんなことを考えるんだな」

「なぜ」

「どこに行っても非日常に文句を言ってる、そういう印象だからな」

「ひどいな。なんだ、その『どこに行っても非日常』って」

「表裏なんだろう。あんたにとって、日常ってのは。どこに行っても日常の延長で、帰ってくるときは、いままでの日常が非日常になってるんだろう」

「難しいことを言うんだな」

「難しいことを言うのは、あんただけの得意技じゃないんだよ」

 南波の声が穏やかに私の耳へ届く。CIDSもインターコムも何も通さない肉声だ。銃声も間に割って入らず、ジェットエンジンの轟音は聞こえるが、ここは私がなんとなく理解できる日常の世界だと思う。思いながら、チョコレートをかじった。これも旨かった。

「悪いが、コーラとチョコレートは、合わないな」

「そうか?」

「コーラが……ただの炭酸水に感じる。チョコレートの甘さに負けてさ。なんか残念な気がしないか」

「それって真理じゃないか?」

「なにが」

「強い甘みの前に、弱い甘みは無味になる、ってね」

「意味が分からない。なんだ、入地准尉の格言集その一か」

「いいんだ。気にするな」

 気にしようがなかった。

「さっさと食え。行くぞ」

 私はチョコレートを口に放り込み、無理矢理咀嚼して、それをコーラで流し込んだ。もう少しゆっくり味わいたいと思ったのは、口の中にチョコレートの余韻を確かめてからだった。

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