アンコールを君に

蒼生真

プロローグ

【吹奏楽部】

それは日本のほとんどの中学校、高等学校にある部活の1つ。

使われる楽器は大きく木管・金管・パーカッションに分けられ、さらに楽器ごとにもパートが分かれている。多くの場合、顧問や指導者が指揮を担当する場合が多いが、学校の方向性によっては学生の指揮者も存在する。

活動としては学校や地域行事での演奏。そしてコンクールがある。

年に一度だけ、夏に行われる全日本吹奏楽部コンクール。

部員たちはそれらを目指し、日々を過ごす。

部活動に青春を捧げる。

さわやかに、楽しく、可笑しく、

辛く、切なく、脆く、

バカらしく、儚く、煌めく、

そんな時間を過ごす。

それらは実際に体験した者にしか分からないことだ。

人生の中でほんのわずかな最高の時間。

最大の成長期。

自分が形成される期間。

希望と絶望を味わう瞬間。

己の未熟さを知る機会。

表現の仕方は十人十色。

得る物も失う物も人それぞれだ。

たった数年の短い間で何を得るのか。

それは環境と、自分の意思にかかっている。

そして未来へ繋がっていく。

これらに正解はない。

さらに言えば不正解もない。

だからこそ、彼らはしばしば迷う。

全力でぶつかる。

互いに協力し合う。

そうして日々を模索するのだ。

後悔しないために。

先へ進むために。

『何か』を目指す。


その小さな心に、不安と、希望と、大切なものを抱えて―――


  

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