魔法世界の騎士道(シヴァルリィ)
レシル
(プロローグ) 騎士道は誰がために
「騎士道が己を騎士たらしめる」
古来より騎士たちの間で語り継がれる有名な言葉だ。
自らが認めた君主に仕え、武勇と魔法を持ってその忠誠を示すことを己の生き方とする「騎士」と呼ばれる者達は、自分達の生き様を「騎士道」と呼んだ。
自らの「騎士道」を掲げる者達は、どのような想いを胸に、戦場を駆け、数多の敵と戦ってきたのであろうか。
国のため、金のため、己の存在の誇示のため、家族の幸せのため…。
それはきっと、騎士の数だけ異なっているのであろう。
しかし、たとえそれがどんな「騎士道」であっても、それに貴賎はない。
大切なのは、そのただ一つの「騎士道」を、己の一生の内に見つけ出し、それを貫くことに自らの命を掛けること。
それが騎士としての義務であり、誇りなのである。
ここには、そんな騎士を目指す一人の少年がいた。
これは、そんな一人の少年が、魔法世界の中で、様々な人と出会い、自らの運命との戦いの果てに、己の「騎士道」を見つけるための物語である。
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