超能力暗殺ヒットマン ポインセチア
坂入
超能力暗殺ヒットマン ポインセチア
コードネーム〝ポインセチア〟は超能力暗殺組織に属する超能力暗殺ヒットマンである。
超能力暗殺ヒットマンとは超能力で暗殺をする
彼女の持つ超能力は〝予知能力〟。文字通り未来を予め知る能力だ。
だから彼女に初任務が言い渡される二時間前には既にそのことを予知していたし、その任務の内容がある男の狙撃であることも、任務を言い渡したエージェントが最後に「健闘を祈る」と告げることも予知できていた。
初任務は簡単な仕事だった。指定された時刻に指定された場所に行き、指定された人物を用意された狙撃銃で狙撃する。初任務ということを考えても簡単な部類の仕事だったが、そのことに彼女が特別な意味や感情を抱くことはなかった。それは彼女がよく訓練された暗殺ヒットマンであることを示している。
彼女はただ
そう教えられ、求められるままに応えてきた。だからこそ彼女は優秀な暗殺ヒットマン候補として期待されている。
その期待に応えるために──などというような余計な感情は一切持たず、ただ彼女はオートマチックに初任務に就いた。指定された時刻に指定された電車に乗り、指定された駅で降りると指定されたロッカーから指定されたバッグを取り出し、指定されたバスに乗った。指定された停留所で降りると指定されたルートで指定された建物に行き、指定された手順で非常階段を登り指定された部屋に着く。
彼女はバッグから狙撃銃を取り出すと正しい手順で組み立て、指定された狙撃ポイントにセットした。
スコープを覗き、指定された目標が現われるのを待つ。
彼女はこれから自分が狙撃することになる男がどういう人物なのか、その容姿以外は何も知らなかった。名前も年齢も職業も趣味も家族構成も好きな食べ物も休日の過ごし方も何も、男が何者であるのかを知るための情報は一切聞かされていない。渡された写真からまだ若い男であることがわかるが、それ以上の情報は必要ないと組織が判断した。その男を狙撃するのに男の年収を知る必要が何処にあるというのか? 組織は常に合理的な判断をするのだ。
待つ時間はそれ程長くはなかった。窓ガラス越し、向かいの建物。目標の男が現われた。
ガラス越しに撃つとガラスを割る負荷が銃弾にかかる。その負荷は微々たるものだがそれで狙いがずれることもある。だからガラス越しに撃つときは二発連射で撃てと彼女は組織から教えられていた。とにかく相手が死ぬまで撃てとも教えられた。
その教えを忠実に守るべく彼女は狙撃銃の引き金に指を掛け──
未来を予知した。
目標の男がラフな格好で海沿いの道を散歩している。男の隣にはまだ少女くらいに見える女性がいて、男は少女の歩調に合わせてゆっくりと歩いているようだった。男が優しい眼差しを少女に向けると少女は甘えるように微笑みながら頭を男に預ける。それから二人で何か言葉をかわし、くすくすと笑い合う。
そうやって愛らしく笑う少女の顔に見覚えがあった。それは、自分自身の顔だった。
自分が目標の男と仲良く歩く未来を予知した。
「────っ!?」
彼女は立ち上がり、肉眼で向かいの建物を──目標の男を見た。けれど男までの距離は遠すぎて肉眼ではよく見えず、すぐに見失う。慌てて彼女はスコープを覗いたが、もう、男の姿は何処にも見当たらなかった。
///
「やっほー、初任務に失敗したんだって?」
ハイビスカスはまずからかうようにそう言った。
コードネーム〝ハイビスカス〟はエース級超能力暗殺ヒットマンだ。念動力スプーン曲げの超能力を使い数多の
「まあ、初任務の成功率ってそんなに高くもないんだから気にすることもないけどね」
そう言ってハイビスカスは適当な椅子に座ると子供のような笑みを見せるが、それとは対照的にポインセチアはその場で直立したまま緊張で体を強張らせている。初任務の失敗について呼び出されたのだから何を言われるものかと不安で仕方がなかった。
「それで、何が原因で任務に失敗したの?」
「それは……」
そう問われても彼女は上手く答えられなかった。あれをどう言い表せばいいのか、そもそもあれがなんだったのか彼女にもよくわかっていない。
彼女が困りながら口籠っているとハイビスカスは勝手に話を続けた。
「任務失敗の原因で意外に多いのは超能力の暴発──予期しない形で超能力が発現してそれが原因で失敗するケースね。実戦という緊張が超能力者の潜在能力を引き出した結果なんだけど、
「…………」
「ポインセチアの超能力は予知能力よね。ちゃんと
試すような眼差しを投げかけられ、彼女は一瞬の動揺を漏らしたがすぐに感情を
彼女の予知能力は数秒から数分先の未来を予知する力だ。最長でも数時間先の未来しか予知できず、予知した未来が遠ければ遠いほどその精度は下がっていく。
しかし任務の時に予知した未来は明らかに数時間よりもはるか先の未来だった。あれは数日から数ヶ月、もしかしたら数年先の未来なのかもしれない。今までにそんな遠くの未来を予知できたことは一度もなかった。
超能力の暴発。
意図せずして引き起こされる暴発はたいていの場合、普段よりも強大な力を以て発現するが、その威力がどんなに凄まじくとも
「……まあ、別にいいか」
読みとるべき情報を読みとったのか、それとも初めから答えを求めていなかったのかハイビスカスは彼女の返答を待たず話題を変えた。
「そういえば私は技術担当だったから詳しくは知らないんだけど、あなたの予知ってどれくらいの精度なの? 例えば予知した未来は絶対に変えられなかったりする?」
「いえ、私の予知能力は何事もなく時が進んだ状態の未来を知る力です。予知した未来に対して観測者である私自身が干渉することで未来は変動します」
「干渉……それって未来を予知することも干渉することになるんじゃないの?」
「はい、その通りです。私が予知した時点で未来への干渉は始まっているため私の未来予知は確定した未来を知る能力には為り得ません。なので正確に言えば未来予知ではなくその時点で一番発現確率の高い未来を予測する、ぐらいの力だと思います」
「謙虚ねぇ」
そう言ってハイビスカスは笑い声を上げた。
場を和ませるように軽く笑い、彼女に優しい眼差しを向ける。それを受けて彼女の緊張も少し解け──
一瞬で笑みを収めるとハイビスカスは目を細め彼女を値踏みする眼で見た。
「でも、それでわかったわ。あなたの持つ本当の力は未来予知ではなく予知した未来を変える力──未来を選び取る力なのね。あなたは無限に存在する未来を自在に変動させ、望む未来を手にすることができる。組織があなたに期待するわけだわ」
「……私は初任務に失敗しました。そこまでの評価をして頂けるような人間ではありません」
「そう? でもあなたの自己評価はどうであれ、今のあなたに必要なものは変わらないわ」
「必要なもの?」
「決断力よ」
ハイビスカスは椅子から立ち上がり、彼女の顔を覗き込むように近づく。
「未来を見るだけではダメ。どの未来を選ぶのか、それを決断する力を持たなくてはいけない。誰かに言われるがままではなく自分の意志で未来を選び、その未来を歩む覚悟を決める。あなたはその覚悟が足りていないのよ」
「…………」
困ったように黙っている彼女を見て軽く笑い、それからついと後ろに下がると笑みを浮かべたまま椅子に座った。
「初任務の失敗はいいけど次の任務も続けて失敗したら不味いことになるわよ。あなたは期待されてるだけに失敗したときの失望は大きくなる」
「もう失敗するつもりはありません」
「そう、それなら良いのよ」
そう言って手を振り、ハイビスカスは退出を促した。彼女が一礼して部屋の外に出ようとしたその背中にハイビスカスが言葉を投げる。
「最近、超能力警察が動いてるって噂があるの。だから不審な人間は精神汚染を疑われて検査にかけられるかもね」
彼女が振り向くとハイビスカスは変わらず笑みを浮かべたままだったけれど、その言葉は重く、彼女に向けた警告なのだとすぐにわかった。
///
超能力警察とは超能力を使う警察のことだ。警察は合法の範囲内であればあらゆる手を使う傾向があり、そして超能力に関する法整備は遅れていた。つまり超能力警察とは何の制限もなくありとあらゆる手を使いその職務を果たそうとする危険な組織のことだ。
その超能力警察がよく使う手として知られているのが精神汚染──洗脳だ。
対象の脳に超能力で干渉することで本人の自覚無しに警察に対して協力行動を取らせる。極めてグレーな行為であるが超能力による強制洗脳を禁止する法律がない以上、警察がそれを使わない理由がない。なので、使う。
言われてみれば確かに初任務のときのアレは精神攻撃だったのかもしれないと彼女は考え始めていた。
今までできなかった遠い未来の予知があのときに限りできたと考えるよりは動揺を引き出すための精神攻撃だったと考えた方が納得がいく。事実、彼女はあのイメージに動揺し任務を失敗したのだから成果は上々だ。
しかし──彼女は振り払うように考える。どちらでも同じことだ。超能力の暴発であろうと警察の精神攻撃であろうと任務が失敗したことに変わりはなく、もう失敗は許されないという事実も変わらない。
原因がなんであれ二度目はない。同じ失敗を繰り返す人間を許容するほど組織は寛容ではないことを彼女は知っている。
彼女はそういう覚悟を以て新しい任務に就いた。
任務の内容は前回と同じだった。前回の任務と同じ男を同じように狙撃する。
組織が彼女に同じ任務をあてたのは名誉挽回のチャンスを与えたとも忠義心を計るテストとも受け取れた。どちらであっても失敗は許されなかった。
前回と同じ手順で狙撃ポイントとなるビルの一室に到着するとすぐに狙撃銃を組み立て狙撃体勢に入った。狙う場所も前回とおなじように窓ガラス越しの狙撃だった。
ほとんどが前回と同じであり、手順もほとんど同じように進んでいったが一つだけ違うことがあった。それは彼女の心構え。
彼女は何があろうとも引き金を引くことに決めていた。前回のように動揺して引き金を引き損ねるだなんて醜態はもうさらさない。どんな状態でも必ず引き金を引き、任務を成功させるという強い意志がそこにはあった。
それは組織に言われるがまま動いてきた彼女が初めて抱いた自分の意志だったが、彼女にその自覚はなかった。
前回と同じように待ち、前回と同じくらいの時間が流れたとき、目標の男が現われた。
緊張はない。機械のような冷静さで照準を合わせ──
そしてまた、未来を予知する。
部屋着の男が両手にコーヒーカップを持って部屋を歩いている。男の向かう先にはソファに座った部屋着の少女──彼女自身がいて、にこにこと笑いながら男の持ってくるコーヒーを待っていた。
──こんな子供騙し、二度も通じるものか。
現在の彼女は内心でそう呟き、ゆっくりと引き金に掛けた指に力を入れる。
未来の彼女は男からコーヒーカップを受け取り、一口飲むと男の方を向いて何かを言う。そうすると男はそっと顔を近づけ、耳元で何かを囁き、じゃれるように二人で笑い合う。
現在の彼女はそれらのイメージに関心を払わず照準を現在の男の頭に合わせる。スコープ越しに男の顔が見えた。
未来の彼女は不意に黙ると潤んだ瞳で男を見上げる。それに応えて男は未来の彼女の頬に軽く手を当ててから顔を近づけ、そして二人は引き合うようにその唇を重ね──
「ああああああああああああっ!?」
彼女は立ち上がり、狙撃銃を床に叩きつけると走って部屋の外に出た。廊下を走り、階段を駆け上り、荒々しくドアを開けて屋上に出る。外は弱く風が吹いていて肌寒いくらいだ。けれど彼女の顔はどうしようもなく火照っていて少しの風ぐらいでは冷めてくれそうになかった。
ふらふらとした足取りで歩いていくとそのまま倒れるようにフェンスにもたれかかる。心臓が何かの病気であるかのように鼓動を強めていて息苦しさを感じた。
「あー……」
予知した未来で彼女と男の唇が重なったとき、現在の彼女の心は抗いようのない幸福感で満たされてしまった。
それは未来の彼女と現在の彼女が
「…………」
男がいるビルをフェンス越しに眺めながら彼女は男の顔を思い出してみた。途端、顔が今まで以上に火照り心拍数が跳ね上がる。信じられないくらい胸が苦しくなり涙も滲んできたが、彼女は何故かそれに気持ち良さを覚えていて、それを気持ち良いと思う自分の心に戸惑っていた。
同調したときに感じた幸福感の残滓が今もなお彼女の心をかき乱す。
自分で自分の感情に対処ができず、彼女は腰砕けになるとへなへなとその場にへたり込んだ。
///
「とても残念だわ」
精神汚染検査を受けることに決まり、彼女が検査待機室という名の独房に収容されてから面会に来たのはハイビスカス一人だけだった。
「あなたには期待していたから本当に残念だわ」
ハイビスカスは心からの哀れみを込めてそう言った。ハイビスカスが誰かを哀れんでいるところを初めて見た彼女はにわかに驚き、そして自分がそこまで哀れな存在であることを悟り表情を硬くした。
検査待機室には余分な物は何もない。だから彼女とハイビスカスの間の空間にも何もなく、彼女はハイビスカスと直接向き合う形になっていた。
「それで失敗した理由はなんなの?」
先程までささやかに浮かべていた哀れみを瞬間で消し去り、その真逆、〝指導教官〟の声音で短く訊く。声音は柔らかいが有無を言わせぬ圧迫感があった。
「……私が未熟だったからです」
少しの逡巡の後、彼女はそう答えた。失敗の理由を言葉で表現するのはとても難しかったが、一番適切なのは〝未熟〟という言葉だと彼女は思ったからだ。
けれど、ハイビスカスはにべもなく否定する。
「それはないわ」
ずしりと言葉の重さが増し、それに気圧されてか空気が重くなり息苦しさを覚える。
「私が期待するぐらいあなたは優秀だったのよ、だからあなたが未熟なんてことはありえない。それともなに? あなたが未熟なままカリキュラムを終えてしまうようなミスを私がしたとでも言いたいわけ?」
「いえ、そういうわけでは……」
「ポインセチア」
目の前にハイビスカスがいた。言葉に圧迫され、その空気に圧迫され、今は物理的な圧迫を感じている。ハイビスカスという存在そのものに気圧されている。
「あなたが任務に成功するために必要なことは全部教えた。あなたはとても優秀で私が教えたことを全部体得した。それなのに任務に失敗した、しかも二度続けて」
「…………」
「もう一度訊くわ──失敗した理由はなんなの?」
その質問こそが、ハイビスカスがここに来た理由なのだと彼女は知った。
別に彼女を哀れむためにこんなところに来たのではない。ハイビスカスは本当に知りたいだけなのだ。何故彼女が任務に失敗したのか、その理由を。
ハイビスカスの言ってることはとても正しい。彼女は未熟なんかではなく任務に成功するために必要な技術は全て習得していた。その技術を正しく活かせるだけの能力もあった。それなのに任務に失敗するのは明らかにおかしい。
任務の難易度が高いわけでもなく運が悪いわけでもなかった。初任務の緊張という理由は最初は通用したが二度続けて失敗した理由にはならなかった。
失敗する理由がないのに失敗を重ねる。失敗した理由を彼女自身も上手く説明できない。
だから彼女が精神汚染されていると疑われるのは至極当然のことだった。それ以外に考えられる失敗の理由がない。
「……私が精神汚染されているとでも言いたいんですか?」
「それもないわ」
皮肉を込めて言った彼女の言葉を、ハイビスカスはまたも即座に一蹴した。
「あなたは優秀だったから特別カリキュラムを組んで
「……そんな技術のこと初めて聞きました」
「本部にもまだ報告してないぐらい未完成の技術だからよ。技術というよりは能力の底上げね、元の能力が低いと逆効果になるから本当に優秀だと思った生徒にしか仕込まないわ」
「ただの実験台じゃないですか」
「生徒なんてみんな実験台よ、今ごろ気づいたの?」
心の底から本気で言っているハイビスカスを見て、もう彼女に続ける言葉はなかった。
言葉がなくなれば無言になり、無言は沈黙を生み、沈黙してしまえば質問に答える以外の言葉は選べなくなる。
任務に失敗したその理由。
「…………」
彼女が答えられず、沈黙の中に籠もり続けているのを見てハイビスカスは一歩下がった。数秒彼女のことを睨むと身を翻し検査待機室から出て行った。
ドアが閉まり、ハイビスカスの存在が部屋から消えるとようやく圧迫感から解放された。深く息を吐き、空気の軽さを感じる。
やはり失敗の理由は〝未熟〟だったからなのだと、彼女は改めて思っていた。
ハイビスカスは任務を達成するのに必要なことは全て教えたと言っていたし、それは本当だった。けれどハイビスカスから──誰からも教えられていないことがあった。
未来の自分と同調したときに感じた〝幸福感〟。
この世界にあんなものがあるだなんて彼女は知らなかった、想像もしていなかったのだ。
だからそれに直面したとき動揺を抑えきれず、感情の波に屈してしまった。人が大自然の荒波に抗っても無力なようにあの時に感じた気持ちはどうにも抗いようがなく、あの時の彼女はただただ感情の奔流に押し流されてしまった。
だから一言で言えば〝未熟〟だったのであり、経験が足りなかった。それだけのことなのだと彼女は努めて思おうとしていた。
「────」
人の気配を感じ、続けて足音が聞こえた。それが彼女を検査室に連行するための警備員の足音であることは予知するまでもなく察することができた。
目を閉じ、軽く息を吸う。
目を開けたとき、もう、覚悟は決まっていた。
///
精神汚染の検査は拷問のようだ、という言い方は正しくない。精神汚染の検査は拷問だ、これが正しい。
超能力警察に精神汚染された仲間が原因で壊滅した組織もあると聞けば組織が精神汚染の疑いがある者にどれだけ過敏になっているかも想像がつくだろう。それだけに精神汚染の検査は苛烈を極めた。本当に精神汚染されているのであれば絶対に検査漏れは許されないだけに現代の魔女狩りと呼ばれるほどの過酷な検査──否、拷問であった。
「…………」
検査が休憩に入り検査待機室に戻された彼女はそのまま簡易ベッドに倒れ込んだ。洗濯もろくにされていないシーツからは黴の臭いがしたがそれを厭う気持ちが沸き上がらないほど疲弊しきっている。
検査に肉体的な拷問は含まれていない。しかし被験者は超能力を駆使したあらゆる精神的拷問を間断なく受け続ける。発狂寸前で拷問は止められることになっているが、発狂に至らずとも心を壊し人格に深刻な
彼女はよく耐えている方だがそれでも長くは保たないだろう。検査が終わるのが先か、心が壊れるのが先か、それは微妙なラインだった。
「…………」
検査に消耗しきった精神では何も考えられず彼女はただ空洞の心で壁を見ていた。壁の染みに目を留め、何の気無しにじっと見る。するとその染みが段々と形を変え人の顔に見えてきた。ある、男の顔に。
「────っ」
それが誰の顔であるかを悟ると彼女は固く目を瞑った。瞼の裏の暗闇に逃げ込み、壁に見えた顔を忘れようとする。けれど壁に見えた顔は消えることなく瞼の裏に写りこみ、彼女に優しく笑いかけてきた。
「…………」
その内に抗う気力もなくした彼女は男の顔を浮かべるままにした。男が彼女に笑いかけてくるので、気が向けば心の中で笑い返すこともした。心の中で手を振り返すこともした。
自分が何をして、何を想っているのか。それを考える心の余裕はなかった。ただ疲労と男の顔だけがあり、気がつけば彼女は深い眠りに落ちていた。
暗く、暗く、ただ暗いだけの夢。
何故こんなにも真っ暗なのかと夢の中の彼女は考える。ああそうか、私は目を瞑ったままなんだ。だからこんなにも世界は暗闇なんだ。
そう気づいた彼女は目を開ける。すると視界に飛び込んできた一面の光に目が眩んだ。こんなにも世界は光で溢れていたのか。そう驚きながら彼女は少しずつ光に目を慣らし、世界に目を向ける。光。その中に人影。目の前に誰かがいて、それが誰であるかを彼女は知っていた。
彼女はその誰かの名前を呼ぼうとして、自分がその誰かの名前を知らないことに気づく。だから代わりに彼女は手を伸ばした。光の中、手を伸ばしてその誰かの手を掴もうとした。けれどその手が届く前に──
けたたましく非常ベルが鳴り響いた。
「────っ!?」
反射的に跳ね起きると彼女はスピーカーからなんらかのアナウンスが流れるのを待った。しかし間断を置かず爆発音が鳴り響き建物全体が揺れた。
──近い。
揺れの大きさに膝をついた彼女はその爆発が建物の内部で起きたものであることを察する。
──何が起こっている?
今の爆発の影響か非常ベルは鳴り止んだが、非常事態の気配は消えていない。そしてそれも爆発の影響か、外からしか開けられないはずの電動ロック式ドアが開いていた。彼女は一瞬の逡巡の後ドアから外に出た。
廊下にも警備員詰所にも人はいなかった。彼女は詰所にあった
襲撃を受けているのだと彼女は考えていた。襲撃してきたのは噂のあった超能力警察か、もしくはそれ以外の対立組織なのかはわからないが、この建物に攻撃が加えられているのは確かだ。遠くから戦いの騒音が微かに聞こえる。戦いの気配を感じる。何よりも彼女の心の奥底にある何かがここは既に戦場だと告げていた。
廊下を駆け抜ける途中、人の気配を察した彼女は足を止め素早くそちらに銃口を向けた。廊下の角から二人の男が現われ銃を構える彼女を見て一瞬体を強張らせたが、それは彼女の同僚だった。彼女はすぐに構えを解き二人に近づく。
「状況は」
「襲撃を受けている、相手は不明だ。屋上と地上の二カ所から攻めてきている」
「指揮は誰が?」
「敵に電脳使いがいるらしく電子機器は使い物にならん、精神感応も
「我々もハイビスカスと合流してから下の階に向かう」
「わかった」
頷き、合意が取れたことを確認すると三人は連れだって走り出した。ハイビスカスとの合流地点を知らない彼女は二人の後に続く形となる。
と、爆発音。
「────っ!?」
爆発音の大きさと振動からかなり近いことがわかる。遠くに聞こえていた戦いの音が今ではかなりはっきりと聞こえる。最早この階も戦場に──前線になったのかもしれなかった。
──おそらくは混戦だ。
聞こえてくる戦いの音に秩序が感じられない。襲撃を受けた組織は突然のことに浮き足立っているが、襲撃をかけた側にも混乱が見られるようだ。
混戦になっているのならば体勢を立て直せば先手を取られた組織にも勝機はある。しかし混戦では何が起こるのかわからないというリスクがある。
こんなときこそ未来予知が役立つのではないかと彼女は思い、しかしこのような混沌とした場では精度も低くなるだろうと内心で舌打ちをする。
それでもしないよりはマシか、と彼女は移動しながら意識を集中する。心の中で未来を見通す眼を開き、遠くの未来に目を凝らす。
人が見える。男の姿だ。ぼやけていた像が次第にくっきりとし、その顔がはっきりと見えた。それは──彼女が二度も仕留め損ねたあの男の顔だった。
「────っ」
まただ、と彼女は思う。また埒もなく、状況もわきまえずあの男のことを考えてしまう。そうして考えるたびに顔が火照り、心臓の鼓動が早くなる。
これは何かの病気ではないだろうかとすら思い始めてきた。
かぶりを振り、意識を切り替える。集中しろと自分に言い聞かせながら角を曲がった。
男がいた。
ついさっき予知したままの姿で──銃を持ち、超能力警察のロゴが入った防弾着を着た男が、角を曲がったすぐそこにいてはち合わせの格好となる。
「────」
男は超能力警察に所属する捜査官で襲撃チームの一員だが混戦の中で仲間とはぐれ、現在地も状況も掴めずにいたところで彼女達と遭遇した。
そう、現在の彼女が知るはずのない情報を一瞬で把握する。
これと似た体験は既にしている。二度目の任務のとき彼女は予知の中で見た未来の彼女と同調し、未来の彼女が感じた気持ちをその場で体験した。未来の
超能力の暴発は潜在能力が引き出された結果だとハイビスカスは言っていた。それは言い換えれば超能力の成長だ。彼女自身が気づいていなかっただけで彼女の超能力は進化していたのだ。
彼女が自身の成長に驚く間もなく更に連続して未来を予知する。彼女が男と二人、手を繋いでショッピングモールを歩く未来の情景。それと重なるように見える、男が撃ち殺される情景。
男が殺されるのはとても近い未来の出来事だ。それはほんの数秒先の未来。
「────っ!」
はち合わせの驚愕が過ぎるとその場にいた全員が反射的に銃を構える。けれど男は一瞬反応が遅れている。彼女の同僚の二人が銃を構える方が早い。二人が躊躇なく引き金を引くこと、その銃弾が男の喉と腹、心臓をに撃ち込まれることを予知していた。そしてその結果、彼女が男と共に生きる未来が消えることもわかっていた。
「────」
未来を選び取る力、とハイビスカスは言っていた。未来を選ぶための決断力が必要なのだとも。
けれど実際は何一つ自覚して選ぶことはなく、決断もなかった。何も考えなかった。
何も、何一つとして考えなかった。
ただ真っ白な心があり、体がその心に従うままに動いただけだった。
右手の銃を右にいた同僚に、左手の銃を左にいた同僚に向け、引き金を引く。同時に発射された銃弾が二人の膝を同時に撃ち抜き、体勢を崩した二人のこめかみを同時に銃で殴り気絶させた。
二人の同僚は崩れ落ち、男と向かい合う形で彼女だけが残る。
「…………」
目の前で脈絡もなく仲間割れが起こるという状況に男は混乱しているようだった。それはそうだろう、何故こんなことになったのか彼女自身にもよくわかっていないのだ。
とにかく何か言葉をかけようとして、ふと、彼女は男と初めて対面していることに気がついた。スコープ越しに男を見たことはあっても、未来の情景の中で笑い合ったことはあっても、ちゃんと出会ったことは今まで一度もなかった。男の名前すら知らなかった。
彼女は今までに幾度となく男のことを想ってきたが、男は彼女という存在を今の今まで知ることすらなかったのだと思うと淋しかった。理由もわからず、どうしようもなく淋しかった。
感情を押し殺すように口を開き、言葉を発する。けれどそれが意味ある形を持つ前に銃声が響き、背後から放たれた一発の銃弾が彼女の心臓を貫いた。
「────っ!?」
否、それは現実の出来事ではない、自分の死を予知したのだ。実際ははまだ銃声は聞こえず、彼女も即死していない。しかしすぐにそれが現実になることを彼女は知っていた。
その場から飛び退きながら振り返る。その
彼女は両手の銃を廊下の先に向け、引き金を引く。けれど左の銃は引き金を引く前に再度放たれた銃弾によって弾き飛ばされた。右の銃は三発撃てたがそれは相手にかすりもしない。撃っても当たらないことは予知していたが、撃って牽制しなければ続けて放たれる四発目の銃弾で撃ち殺されることを予知していたので撃たざるを得なかった。
彼女の持つ
対峙する相手がたった一発の弾丸で勝てる相手ではないことを彼女は予知するまでもなく知っていた。
「──理由があるなら聞いておくけど」
廊下の先から現われる、ハイビスカス。暗殺部隊のリーダーであり不敗を誇るヒットマンは鮫のように彼女を睨みつける。
「本当に精神汚染されてたの? それとも最初からスパイだった? もしくは裏切った?」
ハイビスカスの質問に、彼女は何も答えられなかった。
自分で自分のことがわからない。自分が何をしているのか、何をしたいのかもわからない。精神汚染されているのではないかという疑惑は自分でも捨てきれなかった。知らないうちに洗脳されスパイに仕立て上げられている可能性も否定できない。裏切ったのかどうか、それもわからない。何も、何もわからなかった。
「答えられないならそこをどきなさい。今なら見逃してあげてもいいわ」
彼女の戸惑いを見て取ったのか、ハイビスカスがそう言った。その言葉が嘘ではないこと、その言葉に従えばこの場を生き延びられることは予知でわかった。
けれど。
彼女の後ろには男がいる。名前も知らない、ほとんど初めて会った男が。
「どきません」
気がついたらそう口走っていた。
「絶対に」
ハイビスカスは小さく息を吐き──ため息だったのかもしれない──目を細めた。
「残念だわ」
無造作に──殺気はおろかなんの気配も予備動作もなくハイビスカスは引き金を引き、銃弾を放った。機械的になんの感情もなく放たれた一撃はそれ故に冷酷であり、無慈悲だった。
その銃撃を予知していた彼女は身を捻り銃弾をかわすが、予知で回避することを見越したハイビスカスが続けて二発目の銃弾を放つこと、その二発目は回避行動をとった直後を狙われるために回避不能であることも予知していた。
彼女が握る、一発だけ装填された銃。たった一発の銃弾。
その一発をハイビスカスに向けて、撃つ。
発射された銃弾がハイビスカスにかすりもしないことは予知していた。そして銃弾を回避したハイビスカスは予知した通りに必中の銃弾を放つ。
「────」
引き金にかけた指から力を緩め、外す。そして彼女は持っていた銃をハイビスカスに向けて投げつけた。
彼女が投げた銃は予知通りハイビスカスが放った二発目の銃弾に当たり弾道を逸らした。けれどそれはほんの少し逸らせただけに過ぎない。心臓に直撃するはずだった弾丸は彼女の胸に撃ち込まれた。
苦痛に息だけが漏れる。痛みと衝撃で体がくの字に折れ曲がり、堪えようもなく体が後ろに崩れていく。持ちこたえようとしても無駄なこと、立ち上がれないほどの
初めて感じた男の体温はとても温かで、一瞬、全てを忘れた。
彼女が男の腰に手を伸ばすとそこには予知していた通り
とにかく相手が死ぬまで撃てと組織には教えられた。だからそのようにした。がむしゃらに弾倉が空になるまで引き金を引き続けた。
ハイビスカスが撃ち返してきた弾が彼女に二発命中するが即死はしないこと、彼女が盾になったおかげで男は無傷でこの場を切り抜けられることを予知していた。彼女が撃った弾の一発がハイビスカスの肩を撃ち抜くがそれ以外は全て念動力スプーン曲げで防がれること、負傷したハイビスカスがこの場は退くことも予知していた。
けれど、自分の生死だけはどうにも見通すことができなかった。
///
教室の電気のスイッチに手を伸ばし、教官が彼女に聞く。
「このスイッチを切るとどうなると思いますか?」
超能力指導教官のそのバカバカしい質問にポインセチアは律儀に答えた。
「電気が消えます」
「その通り」
言ってスイッチを切ると教室に薄暗い闇が降りた。窓からの光があるため完全な暗闇ではない。ぼんやりと、薄暗く、よく見えず、曖昧に。
「あなたは私がスイッチを切る前からその結果を予測できていた、これも一種の未来予知です。普通の人は私がスイッチに手を伸ばした時点で私がスイッチを切ること、その結果として電気が消え部屋が暗くなることを予測できるでしょう。けれどあなたは私がこの教室に来る前からその結果を予知できる──それがあなたの超能力です」
薄暗さの向こうから教官の言葉が聞こえてくる。ぼんやりとそこにいるのはわかるが、本当はいないのではないかと思えるぐらいに曖昧で、それでも声だけははっきりと聞こえてくる。
「あなたは人よりも先に未来を知ることができる、けれどそれだけではただ知るのが遅いか早いかの違いでしかない。この超能力は人よりも先に手に入れた未来という情報を活用することによって初めて意味を為します。今の場合で言えば部屋の電気を消されたくないのなら普通の人は私がスイッチに手を伸ばした瞬間に殺すことで阻止できますが、あなたなら私が教室に入ってきた瞬間に殺すことができる」
トン、と机を指で叩いた音が響いた。少しの間を置き、もう一度音がする。トン。
「では、それでも電気が消えてしまった場合どうすればいいでしょうか」
「……もう一度電気のスイッチを入れればいいと思います」
「その通り」
教官は電気のスイッチに手を伸ばした。しかしスイッチは入れず、ただその表面を指でなぞる。
「部屋が暗いのなら電気をつければいい、そうすれば明るくなる。これは予知するまでもなく誰もが知っていることです。
けれど、これは優秀なあなたがまだ知らないことの一つでもあります。あなたは電気のスイッチも、明るさも、暗さも、まだわかっていない。だからあなたの未来予知はただの先行情報入手能力に留まっている」
薄闇に言葉が漂う。声ははっきりと聞こえるがそのときはまだ言葉の意味を捉えきることができなかった。ただ、薄闇の向こうを凝視していた。
「あなたの前にはスイッチがあって、それに手を伸ばすだけで部屋を明るくすることができる。そのことをあなたは知るべきなのです」
スイッチを入れる音がする。電気がつき、薄闇に慣れた目にはまぶしいほどの光が──
目を開けると白い天井が見えた。
ぼんやりとした頭で二、三度瞬きをする。自分がベッドで横になっていることに気づくと反射的に起き上がろうとしたが撃たれたところに激痛が走り、呼吸を詰まらせながら元のベッドに倒れた。痛みに涙をにじませながら呼吸を整えていると、隣から声。
「急所は外れてるけど怪我人なんだから安静にしてた方がいいわよ」
そう、素っ気なく言われる。傷が痛まないようゆっくりと声のした方を向くとすぐ隣にハイビスカスがいた。ベッドの横にある椅子に座り、ナイフでリンゴの皮を剥いている。
ハイビスカスはいつもと同じ穏やかな態度で、いつもとは違い何故かナース服を着ていた。
「……似合ってますね」
目覚めたばかりの回らない頭で吐いた言葉は自分でも驚くほど意味のない感想だった。そんな無意味な言葉にハイビスカスはおざなりな声音で応える。
「でしょ? 部屋の入り口に警察の監視がついてるんだけどこの服着てたらノーチェックで入れたわ。着こなしって大事よね」
皮を剥き終わったリンゴを八等分に切り分け、皿に並べる。一切れを手に取るとハイビスカスは自分で食べた。
「──私を殺しに来たんですか?」
ハイビスカスから殺意は感じなかったが、だからこそ不気味であり気圧される形でそう訊いていた。けれどそれとは対照的なほどゆるい態度でハイビスカスが言う。
「最初はそうしようと思ってたんだけどね。でもあの襲撃で組織は壊滅状態だし、立て直しも無理そうだからもういいわ。組織がなくなったならあなたを殺す理由もないもの。だから今日ここに来たのはただのお見舞い、そこそこ元気そうで良かったわ」
もう一切れ食べると残ったリンゴを皿ごとポインセチアに渡した。お見舞いの品のつもりなのかもしれない。
お礼を言うべきか迷っていると先にハイビスカスが訊いた。
「それで、あなたはどうするの?」
リンゴを切り分けたナイフをハンカチでぬぐい、懐にしまう。椅子から立ち上がり、目を見て、言葉を続ける。
「私はまた似たような組織を探して似たような仕事をするつもりだけど……あなたも一緒に来る?」
「────」
その言葉に覚えず、笑顔を浮かべた。
「ありがとうございます」
ハイビスカスがここに来た目的が自分を誘うことだと知り、嬉しくなった。そこまで自分を買ってくれていたことを知り、誇らしかった。
「でも、ごめんなさい」
けれど、頭を振ってハイビスカスの誘いを断る。
その結果は予想できていたのかハイビスカスに残念そうな様子はあまりなかった。ただ、一つの質問をする。
「それってさ、ここに残った方がいいって未来を予知したってこと?」
それは思ってもみなかった言葉だったので一瞬きょとんとした後、小さく息を吐いた。
「未来のことなんてわかりませんよ」
覚えず、苦笑を漏らしていた。
「私は未来を知ることができます。でもそれは書物で得た知識と同じで、ただ知っているだけなんです。知識と現実が違うように予知で得た未来と本当の未来はやっぱり違うんです。だから私は未来を知ってますが、未来のことは何もわからないんです」
スイッチを入れれば電気がつくことを予知していても現実にそれを目の当たりにすると明るさに目がくらんでしまうように、本物の未来は、手に負えない。
吟味するような沈黙の後、呟くように訊いた。
「よくわからないわね」
「私も同じですよ」
それで一応納得したのか、ハイビスカスは最後に「じゃあね」とだけ言うと背を向け、そのまま正面のドアから堂々と出て行った。ドアの外にいる監視役の警官と挨拶を交わし、足音が遠ざかっていき、やがて何も聞こえなくなった。
大きく息を吐く。
胸を手で押さえたがそれは傷口が痛んだからではなく心臓の鼓動が痛いくらい高鳴っているからだ。
今から四十七秒後に彼が見舞いに来る未来を予知していた。
目を覚ましているポインセチアを見て驚くこと、慌てて医者を呼ぶこと、ドタバタしながら初めての挨拶を交わすことを予知していたが、どうしようもなかった。その予知はいたずらに心を惑わすばかりだった。
がんばって呼吸を整え平静を装おうとする。みっともない姿を見られたくなかった。顔が赤いのは怪我の所為ということにできないだろうか。胸の鼓動が伝わらないことを祈った。
顔を上げる。
ドアが開く。
彼になんと言葉をかければいいのかわからなくてとっさに未来を予知しようとしたけれど、ただ、真っ白な未来が広がっているだけだった。
超能力暗殺ヒットマン ポインセチア 坂入 @sakairi_s
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます