Episode3「裏切り」
住処に戻ると買ってきた食材でアンディが手料理を振舞ってくれた。お世辞にも美味しいとは言い難い料理だったが、久しぶりに食べた手料理が心に染みた。
その後、僕達は用意していた服をソフィアにプレゼントする。最初は驚き戸惑っていたソフィアだが、素直に受け取ってくれると早速着替えてくれた。ただの街着で飾り気もないものだが、それすら華麗に着こなすソフィアに僕とアンディは見惚れてしまう。
そして寝るまでの間に薬屋での出来事などを語らい、楽しい時間を過ごすと昨日決めた提案に則りソフィアは僕の寝床で、僕はアンディの寝床に入った。
この日は昨日の様に賑やかな会話もなく、静かに時間だけが過ぎていく。僕は天井を仰ぎ見ながら先程の男が言っていたことについて考えていた。
ヴァンパイアウィルス、この病気について僕達はあまりに無知だ。仮にソフィアが保菌者だとすると、男は昨日の行為で感染したようだが僕達の体には異変はない。つまりヴァンパイアウィルスは性交によって感染するという事になる。
現在もソドムは隔離措置を取られているが、それは保菌者がC地区などに流入するのを防ぐため?
だがそれにしては今も尚続くこの措置は大掛かりすぎる気がするし、何より先程の男のような症状が現れる病気だとしたら感染者の見分けは簡単につくはずだ。そしてヴァンパイアウィルス感染者が太陽に弱くなるとしたら、ソフィアはどうだろうか。今日は起きてから薬屋に出掛けるまで行動を共にしていたけど、彼女が太陽を恐れる素振りなんて一切無かったし、先程の男の様に肌が焼け焦げる事も無かった。
あの男の狂言である可能性は捨て切れないけど、しかし狂言のために体を焼いたとも考え難い。そうなると男の言ってる事は少なからず真実である可能性が高いが、感染の原因はソフィアでなく他の誰かだった可能性もある。ただそれだと今度は男の言っていたソフィアの傷についての矛盾が残った。
「シオン、起きてるか?」
その時、小声でアンディが囁いてくる。
「あぁ…アンディも起きてたんだ」
「ちょっと気になる事があるんだ」
一瞬何の事かと思ったが、すぐに僕は気付いた。
「…ソフィアの事?」
万が一ソフィアが起きている可能性も考えて、僕も小声でアンディへ返す。
「実はさっきの話…俺も聞いてたんだ」
それはフードの男が僕に絡んだ時の事だろう。アンディはこちらに気付いていなかったと思っていたが、どうやらアンディは足を止めた僕に気付いて聞き耳を立てていたらしい。
「シオンはどう思う? ずっと今も考えてたんだろ」
アンディも僕と同じくその件について考えていたらしい。僕はまだ考えがまとまっていないながらも、とりあえず考えていた事を伝える。
どれもまだ憶測の域を出ない話ばかりだが、話を聞いたアンディもソフィアの傷についての矛盾が気になっているようだった。
感染云々に関しては僕達に症状が出てないため何とも言えないけど、男の言っていた傷…この矛盾について考えようにもアンディは実際に彼女の傷をまだ見ていない。
「切り傷でも出血が凄かったって事は…今でもまだ傷は残ってるよな?」
「昨日見た限りだと…傷が消えるのには時間が掛かると思う」
僕の返事を聞くとアンディは静かに寝床を抜け出て、仕切りの向こうにいるソフィアの様子を伺った。
「アンディ…何を?」
「俺もその傷をこの目で確認しておきたいんだ」
「でも…彼女も薬草を使っていたらその傷はもう…」
「確かに俺の腕の傷はすぐに塞がったよ…でもまだ傷跡はしっかり残ってる」
そう言って昼間につけた傷跡を僕に見せてくるアンディ。確かに傷は塞がっているが生々しい傷跡はハッキリと残されている。
僕はアンディの後ろに続いて仕切りの向こうを覗き見るが、ソフィアは安らかに眠っていた。気は進まないが、僕もこの点に関してはもう一度この目で傷を見て確かめておきたい。
僕達は気配を殺してソフィアの隣に座り、アイコンタクトで会話をする。昨日、傷があったのは間違いなく左の太腿だ。
罪悪感を覚えながらも僕はそっとスカートを捲り、左の太腿の傷を確認する。しかしいくら探してみても傷は何処にも見当たらなかった。言い知れぬ不安を覚えた僕達は彼女に布団を掛け直すと静かに寝床へ戻る。
「確かに昨日…傷はあったんだよな?」
「…あった、アンディより重傷だった」
「傷跡…まったくなかったな」
「…うん」
彼女を見つけてから傷口の手当をするまで、彼女が薬草を使った形跡はない。そして思い返してみれば彼女に付着していた血が彼女自身のものだとすると、負っていた怪我に対してあまりに出血量が多すぎる。もしも彼女がヴァンパイアウィルスの感染者で、傷の再生速度が普通の人間と異なるとすれば、僕が最初に傷を見た時には既にある程度回復していて、一夜明けて残った傷も完治した…そう考えると辻褄が合う。
ソフィアがヴァンパイアウィルスの保菌者かどうかはまだ定かではないが、彼女が普通の人間でないのは間違いなさそうだ。
同じ結論に至ったアンディの顔には迷いが見えた。ソフィアを信用したいが、言い得ぬ恐怖を彼女に抱いている。それは僕も同じ思いだ。彼女に直接聞いて確かめるのが一番確実だろうけど、そこに踏み込む勇気は今の僕達には無かった。
結局この日はこれ以上の進展は見込めないため、僕達はそれぞれ胸にわだかまりを残したまま眠りに就いた。
翌朝、朝食を摂るとアンディはヴァンパイアウィルスについて情報を集めてくると言って街へと繰り出した。その事を知らないソフィアは笑顔でアンディを見送る。ソフィアを騙してるような気がして、残された僕は居た堪れない気持ちになった。
その罪滅ぼしなのか、ソフィアと散歩がてらに街へ出ることにした。特に目的もなく散歩しているだけだったが、何処となくソフィアは嬉しそうな表情をしていた。
僕にとっては見慣れた汚い町並み。太陽が昇っている間、兵士の監視の目がある間だけは大人しい住民達。お世辞にもこれらは見ていて楽しいと呼べる風景ではない。
実際ソフィアだってこの街の本来の姿は体験しているはずだ。それでも何故彼女はこうして笑みを浮かべていられるのか分からなかった。
彼女はこの街にあって異質な存在だ。僕達がソフィアにプレゼントした服だって質素で、とてもじゃないけどお洒落とは言い難い。しかし服を着こなすとはこの事なのか、質素な服が美しい彼女をより引き立てている様な印象を覚える。
遠目から見れば何ら違和感なく街に溶け込んでいるようだが、間近で彼女を見てその優しい空気に触れると自分が今ソドムにいる事を忘れてしまいそうだった。
「シオン、この服本当にありがとうございます。アンディと二人で一杯考えて選んでくれて…とっても嬉しかったんですよ」
そう言ってその場でふわりと回るソフィア。その姿は本当に無邪気で、気が付けば彼女の無垢な笑顔に魅入っていた。美しい容貌に心を奪われた訳ではなく、彼女の笑顔には不思議な魅力があった。その笑顔を見ているだけで今までの苦労や悲しみも、全てがちっぽけな気がしてしまう。
ぼーっとしている僕に気が付いたのか、ソフィアが気を遣ってくれた。気を遣われる事すら今の僕には新鮮で、今も尚彼女を疑っている自分が恥ずかしくなってきた。余計な心配を掛けまいと気を切り替えて、純粋に彼女との散歩を楽しむ事にする。
話題が特に見当たらなかったため、歩きながら簡単に僕達が今こうして生きている経緯を説明した。戦争によって両親も家も失い、孤児院で過ごした事。そして孤児院もまた戦争によって失い、蛇の首に入らなかった僕とアンディが今まで盗みを繰り返して生きてきた事。
ひょっとしたら嫌われるのではないか、変な目で見られるのではないかという不安はあったものの、何故かソフィアになら話しても大丈夫だと思えた。
どうやら僕は彼女を疑っているくせに、心の奥では随分と信用しているようだった。そしてソフィアは僕の過去を聞いて哀れむ事も、盗みに対して怒る様な事もなかった。ただ何処か悲しげな優しい笑顔で、今まで頑張ってきたんですね、と言った。
変な空気になってしまうが、その空気を払拭するためにも僕は露店で売っているリンゴを一つ買ってそれを半分に割りソフィアに手渡す。ソフィアのおかげでこうしてちゃんとお金を払って商品を買えるようになった事を改めて感謝すると、先程までの悲しげな雰囲気は微塵も無くなった。
これから二人でリンゴを齧りながら、思い出がある場所を見つけてはそれをいちいちソフィアに説明していた。どれも下らない、どうでもいい話ばかりだ。でもそんな話でもソフィアは驚いたり、笑ったり、悲しんだりと今まで見た事のないぐらい様々な表情を見せてくれる。元々は罪滅ぼしのようなつもりだったが、いつの間にか僕はソフィアとの散歩を純粋に楽しんでいた。
楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、気が付けば日が暮れ始めていた。若干名残惜しかったが、僕達は帰宅する事にする。
楽しいのも昼の間だけで、夜は狂気の街へと化す。二度とソフィアをあんな目に遭わせたくないし、悲しむ顔も見たくない。出会ってからほんの数日だけど、何故か彼女は心の底から信用出来た。だから僕達を救ってくれた恩返しとして、何があってもソフィアを護ろうと心の中で誓う。
例えアンディがどんな情報を手に入れようと構うものか。アンディならきっとこの気持ちを分かってくれるはずだ。
明るい未来しか僕の目には映っていなかった。しかしこの時、僕は大事な事を忘れていた。この街には救いなんてない。希望なんて持つだけ無駄な事だと。
住処に戻ってしばらく経ってもアンディは中々帰ってこなかった。辺りはすっかり暗くなっており、段々とアンディの身が心配になってくる。
ヴァンパイアウィルスについて調べる…簡単そうな事だが実際この病気についてはっきりとした知識を持っている人はこの街にほとんどいないだろう。何故なら国からの発表がないからだ。住民達はただヴァンパイアウィルスと呼ばれる謎の病気が流行っているため隔離措置を施された事しか知らない。そうなるとこの病気が具体的にどういうものか調べるとなると、それなりの危険を冒さなければならないだろう。この時ようやく僕はアンディが如何に危険な場所へ飛び込もうとしていたのか気付き後悔した。
日が沈みかけているのに未だアンディは戻ってきていない。ソフィアにはアンディを探してくると伝えて住処を飛び出そうとする。だが戸に手をかけた瞬間に妙な気配を感じた。まるで何人もの人間に監視されているような、そんな圧迫感。ただの気のせいだと思いたいが、ここは最低最悪の街ソドム。何が起きてもおかしくはないし、ソフィアを狙っている組織も存在している。
危険を察知した僕は寝床の私物箱から二つの煙幕弾を取り出した。
いつか訪れるであろう危機に備えて、戦後の焼け野原から見つけて残していた物だ。戦闘の役には立たないだろうが、逃げるだけなら十分に役立つだろう。
ソフィアに住処が包囲されている可能性がある事を伝えると逃げる準備を整える。
「ソフィア…誰かは分からないけど…僕達を狙っている連中が近くにいるかもしれない」
「そうですか…」
「ソフィアを狙っている連中なのか、僕達への報復か、薬草を狙ってきたのか…目的は分からないけれど、とにかくここにいると危険だ」
「…分かりました」
やけに落ち着いている彼女の姿に違和感を覚えたが、今はそんな事を気にしている場合ではない。住処の出入り口は一つだけ。ここから逃げ出す事が出来れば、秘密の抜け道を使ってセインガルドの外へも逃げ出す事が可能のはずだ。
この抜け道を知っているのはごく一部の人間達だけで、僕とアンディもたまたまその会話を盗み聞きしただけだった。故に真偽は分からないけれど、少なくともここに残っているより生き残れる可能性は高い。最悪でも僕が敵の足止めをして、ソフィアだけでも絶対に逃がしてみせる。もしかしたらアンディも同じ状況に陥っているのかもしれない。
まずはソフィアを外へ逃がし、すぐにアンディを救出しなければ。
今はただアンディが無事である事を願いながら、僕はソフィアを連れて住処から出ようとする。ゆっくり戸を開いて外を確認してみるが、人影は見当たらない。だが近くの塀から僅かな物音を確認出来た。
周囲を更に注意深く見渡してみると、隠れてこちらの様子を伺っている気配を確かに感じた。どうやら全員武装しているようだ。
「ソフィア…僕が煙幕弾を使ったら一気に走り抜ける」
後ろにいるソフィアに視線を移すと、その表情にははっきりと不安が見て取れた。彼女を安心させるためにも、僕はそっと手を差し伸べる。
「絶対に護ってみせる。だから僕を…信じてくれ」
今朝まで彼女を疑っていた自分が何を言っているのだろうと思う。でも今は何が何でも彼女を護りたかった。
依然不安な表情でソフィアは迷いながらも僕の手を握ってくれる。
「無理だけは…しないでください。きっとあの人達は私を追って…」
「だったら尚更だ。絶対にソフィアを見捨てたりはしない」
そう、彼女だって今じゃ僕の大切な家族だ。アンディもソフィアも必ず助けてみせる。
覚悟を決めると僕は煙幕弾のピンを抜いて戸の外へ投げ付けた。一瞬隠れている人影に動きが生じると直後に煙幕が巻き上がり、周囲一帯の視界が奪われる。同時に色んな方向から怒声が聞こえてくるが、ソフィアの手をしっかりと握って住処から飛び出すと、感覚を頼りに気配の少ない方向へ走り出す。すぐ近くに武器を持った敵がいたが、何とか気付かれずに煙幕の中から抜け出す事に成功した。
追手が無いのを確認しつつ、大通りを避けて人気のない裏道をひたすら疾走して抜け道のある場所を目指す。
体力のない僕はすぐに息が上がるが、決して足を止めようとはしない。握られた手をしっかり握り締めて、何も考えずひたすら足を動かす。通行人達が何事かと振り返るが、そんな事は気にも留めず走り続けた。
しかしもうすぐで抜け道のある場所へ辿り着こうとしていた時、突然ソフィアが声を上げた。
「シオン…!」
その声で何事かと足を止めて振り返ると、いつの間にか追手に囲まれていた。後ろはすでに包囲され、前からもぞろぞろと武装した敵が行く手を遮る。
その男達の中には見知った顔があった。先日、僕とアンディの盗みがバレた時に僕達に暴行を加えた蛇の首の団員の一人だ。
「ようガキ、こんな時間にお出掛けかい?」
前も後ろも完全に包囲されていた。ここから逃げ出すのは容易でないと悟った僕は、息を整えながら男へ返す。
「…何か用ですか?」
「いや、今日はお前に用はないんだよ」
どうやら男達の狙いはソフィアらしい。握られたままのソフィアの手が微かに震えていた。
逃げ出す突破口を模索しながらも、男と会話を続ける。
「…彼女に何の用が?」
「俺達はその女を捕まえるよう言われただけだ、何の用があるのかなんざ知らねーよ」
「…何で彼女が僕の所にいるって分かったんだ」
「何でって、そりゃお前の相方が教えてくれたからだよ」
僕の相方って…まさか…
「貴重な協力者だぜぇ。うちのボスもご機嫌でな、お前達にはたっぷり謝礼金を払うとよ。な、アンディ君?」
男に呼ばれ、その場に姿を現したのは紛れも無くアンディだった。
「ア…アンディ…」
「シオン…ごめん…」
「何で…アンディ…」
「仕方なかったんだ! 彼女のせいで俺だけじゃなくシオン、お前だって…!」
「彼女は僕達の家族じゃないのか!」
「ソフィアを蛇の首に引き渡せば…俺達はこれから何一つ不自由のない生活が手に入るんだ…! 殺されることも…もうないんだよ!」
それを聞いた瞬間、僕は怒りが込み上げてきた。その怒りの矛先はアンディではなく、蛇の首へ向けられたものだ。
「…あんた達、アンディに何を吹き込んだ…?」
アンディがソフィアを裏切るとはとてもじゃないが思えない。過ごした時間は浅くても、アンディも僕と同じくソフィアに対して何か特別な思いがあった。
「俺はボスに言われた事をこいつにそのまま伝えただけだぜ? ヴァンパイアウィルス保持者の情報をな」
「そんな事を言ってるんじゃない! 他に何をアンディに吹き込んだんだ!」
「ったく、人聞きが悪いな。俺はその女の情報を提供してくれた奴に報酬を支払うって言っただけだぜ。これもボスに言われてる通りさ」
「シオン、ヴァンパイアウィルスはお前が思っているよりも危険…なんだ。今ソフィアを蛇の首に引き渡せば俺達の身は保証されるし、生活だって変わる…」
「アンディ…君は家族よりも保身を優先させるのか」
「違う、本当はお前が…」
「おーっと、アンディ君余計なことは言わなくていいんだ。分かってるよな?」
遮られ口を閉ざすアンディを前に、それ以上かける言葉が思い付かなかった。だがその時、憤る僕の手をそっとソフィアは手放す。
「アンディ、あなたの考えは間違っていません…。全ては私が招いた災厄」
「ソフィア…俺だって本当は…」
「いいんですよアンディ、どうか自分を責めないでください」
そう言いながらソフィアは男達の元へ歩を進めた。
「私が素直に捕まれば…この二人には絶対に手を出さないと約束してくれますか?」
「あぁ、当然だ。何よりボスからたっぷり報酬も支払われるだろうからな。こいつらがC地区に移住して生きていくことだって容易だろうさ」
「…分かりました」
男の前で立ち止まり、隣にいるアンディにソフィアは優しい声で話しかける。
「アンディ…あなたの判断は間違っていません。二人とも絶対に…生きてください」
「…はい」
俯き拳を強く握るアンディの表情は伺えないが、微かに聞こえた声は確かに震えていた。しかしソフィアは変わらず優しくアンディに語り掛ける。
「二人には短い間だったけどたくさんの幸せをもらいました、ありがとうアンディ…強くなったわね…」
二人の会話を聞くだけで成す術もなく、ただ立ち尽くす僕の方へソフィアは振り返り笑顔を向けてくる。
「シオン、素敵な時間をありがとう」
だがその瞳には初めて彼女を見た時のような、自らの運命を諦観したような悲壮感が漂っていた。
彼女が僕達の住処から出て行こうとした時に感じた感覚、予感。ここで彼女を引き渡して本当に良いのだろうか?
いくら考えても最善の答えは出ない。でも一つだけ確かな事がある。僕は…彼女を守り抜きたい。
「ソフィア!」
声を荒げると、男達と共にその場を去ろうとしていたソフィアが足を止める。
「僕は…君を護ると決めたんだ」
素早く残った煙幕弾のピンを抜きとり、男達の方へ投げ込んだ。そして煙幕が上がったと同時に走り出し、煙の中からソフィアの手を掴むと脇道へ逃げ込む。アンディの制止する声を無視して僕は再び走り出した。
「シオン! 待ってくれ…シオンー!」
アンディの悲痛な声が耳に届くが振り返ることなくその場から逃げ出した。
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