第15話 父親のこと

「キミの父親はな…ワシの息子じゃ…」

「……うん……」

「驚かんのじゃな」

「薄々、感づいていたから…」

「そうか……」


 しばらく沈黙が続いた。

「あの~…どうして…その」

「あぁ…身体の弱いの子でな…それでも、キミの母さんと出会い、恋をして、キミが産まれる少し前に入院してしまった…退院したら籍を入れるつもりでおったようじゃが…退院は出来んかった。キミの母さんは未婚のままキミを産んで……すまんことをしたよ」


「俺…この池で、龍を見たんだ…」

「ん?龍…を?」

「うん…ヒロとね、満月の夜、2人で…」

「そうか…息子も子供頃、見たと言ってたよ……ワシは見たことはないが…」

「思うんだ…この池は、きっと時間を超えて繋がるんだ。多分…ナイアガラの底に…ほんの数分だけ…きっと龍神は戻り損ねた水棲爬虫類だよ……」

「面白いことを言うな…キミは」

「神主さんが発見した女性もきっと…」


「偶然、ここに飛ばされた…そういうのかい?」

「偶然じゃないよ…きっと…最初の龍神に引き寄せられるんじゃないかな…」

「そうか…うん…それが真実なのかもな…あの事件の」

「うん、そう思うんだ…」

「警察じゃ解決できんわけじゃな…」


 俺は神主さんと色んな話をした。

 父さんの事もだ。


 帰り道、俺は決めた。

 ヒロに電話をしよう……満月の晩…ここで逢おうって。


 龍に引き寄せられなくても…俺たちは逢えるんだから。

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