第2話 30年前の記憶

 2016年 満月の日。

 僕は家に帰るとパソコンで早速、検索した。

 8/18(木) 3週間も先だ。


 毎日、ダラダラと過ごしていると、母さんが晩御飯のときに小言ばかり言う。

「宿題は終わらせたのか?じいちゃんの手伝いくらいしなさい、明日はばあちゃんと畑に行きなさい……」

 僕の家は、じいちゃんが自転車屋さんをやっている。

 ばあちゃんの畑は、趣味みたいなもので、母さんは専門学校の講師だ。

 父親はいない。

 適当に返事していたら、明日の予定が決まってしまった。

 午前中は、ばあちゃんの畑で野菜を収穫する。

 午後からは、じいちゃんのお使いで、神社に自転車を配達する。


 なんだかな……まぁ絵日記のネタが出来たと思えばいい。

 その日は早く寝た。


 翌朝、ばあちゃんの畑で野菜をカゴに入れる。

 きゅうりが沢山採れた。

 僕はモグラを初めて見た…想像より、獣っぽい…モグラとは土の竜と書くことを、ばあちゃんから教えてもらった。

 お昼は、ばあちゃんが冷やし中華を作ってくれた。


 ちょっと昼寝してるとじいちゃんが起こしに来た。

 軽トラックに修理を終えた自転車が積まれている。

 助手席に乗り、神社に向かう。

 車だと早い、歩けば20分だけど車だと5分で着く。


 神社の敷地に車を停めて、神主さんを呼ぶ。

「あぁよく来たね」

 神主さんはニコニコしながら麦茶を出してくれた。

 じいちゃんと神主さんは同級生で仲が良い。

 境内で話し出したので、僕は龍神池をグルリと歩く。

 400mはある池、底も深そうだ…。

(ホントに幽霊がでるのかな?)

 僕は走って境内に戻り、神主さんに聞いてみた。

「ここの池に幽霊がでるってホント?」

「幽霊?どんな?」

「女の人の幽霊…」

 神主さんは白い顎鬚を撫でながら、30年前の話をしてくれた。

「……この池で起きた事件が、そんなカタチで今、伝わっているんだろうな……」

 神主さんは境内から池を悲しそうに見つめていた。

 その時のことを思いだしていたのだと思う。

 死体を発見した日のことを……。

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