ディアーナ フラクタルの雲

ふわふわと空に浮かぶ、形がそっくりな雲たち。


ちいさな雲が集まって、大きな雲を作っている。


1/fゆらぎを静かに奏でるフラクタルの雲。


その不思議な形を見つめているうちに、

僕は夢中になっていった。


まるで、ずっと探し求めていたパズルを見つけたような気持ちで。


静かで特別な時間がゆっくりと流れていく中、彼女は僕に話してくれた。


ちいさな砂粒の中にさえ、宇宙が広がっていること。


ロシア人形みたいに、宇宙の中に宇宙がいくつも重なっていること。


世界は、たくさんのパズルがバラバラに散らばったようなものだって。


でも、僕たちはいつも、そのパズルのほんの一部しか見ることができない。


この世界は、目に見えないものでできているから。


彼女は、5次元の存在で、僕たちの宇宙そのものだって言う。


そんな話、普通信じられるわけがない。


でも、彼女は確かに僕の目の前にいた。


彼女は僕に何かを伝えようとしていたけれど、


眩しい光が僕の意識を包み込んだ。


そして、彼女の姿は消えてしまった。


必死に彼女を探したけれど、

どこにもいなかった。


まるで、僕が彼女を忘れるように、

僕の心は真っ白になっていった。


ぼんやりとした意識の中に、誰かの声が響いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る