心層科学ファンタジー《イーハトーヴ》 5次元少女 ★第【1】部★

憮然野郎

彼らは……

?????

『そっか。つまり次元の錯覚によって、

本当の姿と人にみえている姿は全く違うってわけだね?』


?????

『そうなんです。この世界はみえない”かたち”でできていますから』


『え?彼らは誰かって?

宇宙がリセットされたから覚えていないのは無理無いよね?

彼らは……君……だよ』


—これはさ、あくまで例えば……の話しだよ。


君の『脳』がもし、

目にはみえない別の場所にいるキミの『意識』から何か大切なメッセージを受け取っているんだとしたら。


ボクがこのを君に真剣に話したとして……

君はボクの話を信じてくれるかい?—

————————————————————


「ねえ、お父さん?

どうしてもわからないから教えて!」


「どうしたんだ、ひかる?」


「ボク、夏休みの自由研究でサイコロみたいなりっぽうたいを描いているんだけどね、途中からわからないことがあるんだ。

点を平行移動したら線になるよね?」


「ああ、線分な」


「このセンブンだっけ?

この線をまた平行移動したら、今度は四角形になる。ここまではわかるんだ。

 だけど、その四角形をまた平行移動しようとしたら難しくって……」


「ああ、そこは全く同じやり方で同じサイズの四角形を描いて、2つの四角形角の点それぞれを繋いでみたらどうだ?」


「あ、なんかサイコロみたいになった!

でも……、これってずいぶん横長なサイコロだね」


「あはは、そこは四角形をもう一つ書く時に、

最初の四角形の角と新しく描こうとする四角形の角との間の長さを、線分の長さと同じにしてみるとどうだ?」


「あ、ほんとだ!

今度はさっきよりもサイコロっぽくなった」


「おー!

ひかる、凄いぞ、頑張ったな」


「ありがとう、お父さん♪」


「なあ、ひかる。

仕事の都合でお前としばらく会えていなかったから実は父さん心配だったんだ。

しばらく見ない間にお前も大きくなったんだな」


「ねえ父さん!

ボク、もう一つかわらないことが出てきたんだけど、聞いていい?」


「ああ、いいぞ」


「あのね、今度はこのサイコロを平行に動かそうとしてるんだけど絵がぐちゃぐちゃになって上手くかけないんだ。

どうやって描いたら上手くかけるのかな?」


「それはひかるにはまだ早いと思うぞ」


「そんなことない。教えてよ、お父さん」


「わかった。

父さんがサイコロを平行移動した図を描いてあげるよ」


「父さん、何この図?

アスレチック?」


「いいや、違うよ。

これはさっきのサイコロを今までの縦•横•奥行きとはまた別の方向に向かって平行移動した図だよ」


「え、嘘でしょ?

だって、内側のサイコロは小さいし、

外側の大きなサイコロと内側の小さなサイコロを結ぶ線だって今までの線と長さも角度も違うじゃん」


「えーとこれはぁな、小学生のひかるに理解できる言葉で説明するのは難しいかな。

低い次元のキャンバスを使ってより高い次元の存在を表現しようとすれば、

表現はどうしても歪められてしまうんだ。

ひかるの部屋には地球儀と世界地図があるだろ?」


「あ、うん」


「世界地図にあるロシアと地球儀のロシア、

よーく観察すると形が違うのがわかるか?」


「あー!

確かに違うね」


「地球という丸いキャンバスの上にある国の形を平面の世界地図へはそのままの形では上手に当てはめることはできないんだよ」


「なるほど!

父さん、ボクなんとなくわかったよ!」


「賢いな、ひかる」


「ところで、ねえ父さん?」


「サイコロを平行移動して作った図形を紙に描くとどうしてもゆがんじゃうのはなんとなくわかったよ。

 だけどさ、縦方向•横方向•奥行きはサイコロを書くときに使ってしまったよね。

じゃあさ、縦•横•奥行きとは違う方向にっていうのはどの向きになるの?」


「次の方向か。その方向については父さんにも実はまだわからないな。

 ただしな、父さんはこう思っているんだ。人間には気づくことが出来ないだけで、実際には案外すぐ身近にあるのかもしれないとな」




※第1章は、

『AIR』や『planetarian』の作風をイメージして、


アニソン『夏影~あの飛行機雲を超えた、その先へ~』

などの曲から想像を膨らませて書いています。

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