メーダー 不思議な世界

※前回のあらすじ※

空さんの話を聞き、愛理栖は興奮する。料理を手伝い、3人で食事を楽しんだ後、空さんは二人を高台へと案内する。

※あらすじ 終わり※



「わあ、綺麗……」

愛理栖の瞳が、満天の星に吸い込まれそうだった。


今まで見たことのないような、深くて澄んだ青色に、思わず息をのむ。


「すごいでしょう? この高台から見る星空は格別なんだ」

空さんは満面の笑みを浮かべ、愛理栖の肩にそっと手を置いた。


「はい、本当に。まるで宝石箱みたい…」

愛理栖は、空さんの優しさに包まれながら、

心からそう思った。


「そうだ、 ねえ、知ってる?

あの星たちは、あたしたちが生まれるずっと前から輝いていて…」

空さんは、まるで秘密を打ち明けるように、静かに語り始めた。


「え、本当ですか?」

愛理栖は、空さんの言葉に耳を傾ける。

宇宙の神秘に、心が躍る。


「うん。宇宙って、本当に広くて、神秘的で…。そんな宇宙の一部であるあたしたちって、

奇跡みたいな存在なんだよね」

空さんの言葉に、愛理栖は深く共感した。


「私もそう思います。

些細な悩みなんてちっぽけに思えてきますよね」

愛理栖は、澄み切った満天の夜空を見上げながら、

心の底からそう感じているようだった。


「そうだよね。僕もそう思う」

僕は愛理栖の言葉につられ、自然とそう呟いた。


「ねえ、ひかる。

あの星、こと座のベガ。織姫星だよね?」


空さんは、興奮気味に空を見上げながら、

僕に語りかけた。

「ああ、そうですね。

あの星は、夏の大三角形の一角を担う重要な星です」

僕はつい職業柄、天文学者としての知識をひけらかすように、得意げに説明をした。


「へえー、すごい!

ひかる詳しいんだね!」

空さんは、僕にそう言うと、

キラキラした澄んだ目で満天の夜空を見上げていた。


「まあ、少しですけどね」

僕は照れながらそう答えた。


「もー、ひかるさんと空さん、楽しそうでずるいです!」

愛理栖は、ふくれっ面をして、僕たちを見つめた。


「ごめんね。

愛理栖も一緒に楽しもうね」

僕は、愛理栖の頭を優しく撫でた。


「ところで、愛理栖?

五次元って、どんなところだと思う?」

僕は、話題を変えて、愛理栖に尋ねてみた。


「え? 五次元?」

愛理栖は、少し考え込んだ後、にやりと笑った。

「それは、秘密です。

でも、ひかるさんになら特別に」


そう言うと、愛理栖は右の人差し指を天高く掲げ、空に向かって一点を指さした。


次の瞬間、彼女の指先から、不思議な光が溢れ出し、周囲の空間が歪み始めた。


まるで、絵画が溶けていくように、

現実は歪み、そして、別の世界へと変貌を遂げていく。

僕は、その光景に言葉を失った。



※今回の要約※

ひかると愛理栖、空は星空を見ながら会話する。愛理栖は最後にひかるに五次元の不思議な世界を見せると言って空間を歪ませた。

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