変わりもん、ときどきフツー

マサキチ

1 ダチョウの思い出

 あんまり大風呂敷広げてもなぁ、早々にネタ切れは避けたいな。そんなことを考えつつ、一番初めに持ってくるものは何にしようかなと思い浮かんだのがコレ。

「ダチョウ」

 でも、長くなりそう。案の定予想通りっていうか、書き始めたら文字数多っ(@_@)

 読むのしんどいと思います、ごめんなさい。

 そして、文中の知己という表現、ちょっと距離感があるように思われるかもしれませんが、マサキチを小さいころから知っている、相当年上ファミリーとのお話なので、どうしても友人と書くには抵抗があり…で、この形にさせてもらっていますことご了承ください。


 気を取り直して。

「ダチョウ」

 ……。

 ちょっと待って、何言ってるの!?

 アレ食べられるの!?

 …とお思いの皆さま、はい、食べられます。

 全国区にあるのかは調べてませんが、首都圏でも直売りしてるところがあるんですよ(愛でる牧場も場所は違えど首都圏にあるので、そこでカワイイ!と思っていた方には、大変申し訳ありません)。

 人によっては、小さい頃に読んだことのあるロングセラー絵本「かたあしだちょうのエルフ」などを思い浮かべることもあるでしょう。

 かくいうマサキチも、後で「あっ!(エルフ)」と思いました。

 それと昔某RPGの、洞窟系のダンジョンでダチョウまんまスタイルのモンスター1~4匹(羽?)に追いかけられ、散々な目に遭った苦い記憶も…。


 とはいえ「こんなんあるけど食べてみない~?」とお誘いなんてもらったら、このマサキチ、ノーと言うわけがない。

 命短し経験大事!好奇心は猫をも…とは言えどもそんなことより、とにかくどんな味なのか知りたいッス!


 …ので、知己宅でいざ、ダチョパ!

 刺身と卵にチャレンジ!


 卵はとにかくでかかった。

 というか殻。ものすごく硬い。ちょっとしたコンクリート並み。

 見た目も白っぽいコンクリートというか、触った感じがマサキチにとっては比較的馴染みのある素材、ホリゾントっぽい(舞台とか写真スタジオで使う壁)なという印象。

 けど、どうやって割るんだ??

 最初は綺麗に殻を取っておけたら、久々に何か工作でもしてやろうかな、なんてワクワクしながら思っていたものの、ひたすら硬い。

 硬い! !

 硬い!!!

 …無理(´;ω;`)

 切れる包丁でバーンとやれば割れるかもしれないけど…どうせなら目玉焼きだ!の野望は誰もが譲れず、黄身が壊れてしまっては本末転倒。

 そもそも中身は生の卵だからね、飛び散っても困るし。


 色々試してみたけれど、実際何が有効だったのかよく覚えておらず(夢中になりすぎで)。確かたがねと金づちみたいなもんでゴンゴンガリガリ…の末にようやく無事取り出すことに成功!ぐおぼぉって、どう考えても卵の音じゃないものをフライパンに落とせた時には、ちょっと感動した…。


 ダチョウの卵も鶏と同じで薄皮が内側にあるんですが、それも薄皮…?というような頑固な被膜で。黄身を壊さぬよう卵の表面ごとつついたり破いたりしているうちに、殻は1/3ほどとなり(ちょっとやそっとの隙間じゃ黄身の無事が保証できず) 

 …あえなく工作の夢は終了。※でも、小さくなった殻はしばし小物置きに使ってましたよ。

 説明書もなくネットで調べつつのほぼ手探りでやってたんですが、後々見たら販売元のサイトにも、おすすめの卵の出し方が書いてありました。

『用意するもの 金づち、釘、懐中電灯』

 やはり一般的に想像する「卵」に使うものではなく、不穏でしたけど。

 釘かあ…

 ま、その通りやっても黄身に保証はないかも?な書かれ方だったので、これも経験の醍醐味、運が良かったな!と後悔はしないのがらしいところ。


 卵は28センチくらいの大きなフライパンで目玉焼きに。

 あんまり強火だと焦げちゃうよなあ、そんなことを言いながら蓋を手に水を入れるタイミングをワクワクしながら待つ。

 …待つ。

 ……待つ……

 が!

 ちっとも固まらんのです。じわじわと白くなった部分が増えているにもかかわらず、全然透明な部分の容積が減っているように思えない…。

 なんたることだ。


 底だけでも混ぜてみるかな、けど、スクランブルエッグとなったら今までの苦労は水の泡だよな…。悩んだ末に「どうせ蒸し焼きにするんだし、待たなくていっか」で、ジャーっと水を注ぎ、蓋をして放置の方向へ。蓋は勿論、ぷっくりした黄身を押さえないように、高さのあるやつを乗っけましたよ。

 うん、いい仕事した。

 結構放置したかな…10分以上チョロチョロやってた気がする。

 これまた後で考えたら、まとまってて分厚いから火が通りにくかっただけで、ホットプレートみたいに広がるもので焼けば良かったんではないか…という今更な反省はあれど。

 やはりこれも経験だ。うむ、よし。


 見た目ちょっと、某ファストフード店の月見バーガーの卵みたいに、フライパン型きっちりに焼きあがっちゃった残念目玉焼き(なんかフリーダムに広がってる方が目玉焼きっぽいじゃないですか)と刺身を前に、いざ勝負!


 刺身は赤身で、馬刺しに似てます。

 鳥だけど赤身。脂肪も少ない。

 たとえ焼き肉であっても、内臓とか脂っぽい部分が得意ではないマサキチにとってはありがたい。

 調べてみたら平胸へいきょう類とか走鳥類なんて分類にもされているようで、鳥類でも原始的な位置づけとか。まあ恐竜を考えてもあまり白っぽい肉はなさそうだな(勝手な偏見)と思いつつ、添付のたれをちょっとつけていただきます。


 柔らかい。筋とかそういうのをまったく感じない。

 そしてすごくさっぱり。全然生臭くなくて美味しい。

 でも…

「…馬刺しだ」

「馬刺しだ」

「そういや、こないだ食べた時の馬刺しのたれ(しょうゆ)が残ってる」

「(なんでそんなものが!)」

 ※山梨県民からは馬刺しをよく食べるよと聞いていたけれど、地元民の家にあるのなんて見かけたことなかったので…

 別の小皿に垂らして食べる。

「うん、馬刺しだ」

 ダチョウの刺身、知己と共に馬刺しのお仲間認定。


 では、ダチョウの卵で目玉焼きの方はといえば。

 あまりにも大きいので、邪道ではあるけれど仕上がりの形状に合わせ、ピザのごとくカットしてもしゃもしゃ。

「目玉焼きだ」

「うん、目玉焼きだ」


 見た目を裏切る感想はなかった…。

 というよりも、パサパサはしていないけれど、鶏卵ほど濃い味ではなく、あっさりさっぱりの淡泊。悪く言えば大味。なんとなく印象として、あまり白身と黄身の味の差がない感じ。超うまいということもなければ、まずいということもない。

 あんなに時間かかったのに…

 塩かけたりなんだりで食べても、これはまあフツーだねってところに着地。


 そうして、卵、刺身、卵、刺身とひたすら片づけた後。

「…当分、馬刺しはいいや」

 だからダチョウだってば。そんなツッコミや胸やけさえなかったものの、誰もの意思からダチョパの趣旨は失せておりました。


 少人数で平らげるにはあまりにも量が多いのが仇となったか…。

 ダチョウ、これからチャレンジする方がもしいらっしゃるなら、量にお気を付けください。


 そんな思い出。

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