第195話 『Last Calling』 2

 

「ナナ、STポイントを魔力とMPに振る。相手がデスレアだけならともかく、分裂体の相手をするなら油断は出来ない! 割り振りは任せる。最適な判断を頼む!」

「了解しました。お任せ下さい。念の為余らせた上で対処します」


 __________


【名前】

 紅姫 レイア

【年齢】

 21歳

【職業】

 女神

【レベル】

 232

【ステータス】

 HP 29435(44152)

 MP 26870(27070)

 力 38648(77296)

 体力 19273(38546)

 知力 25017(25317)

 精神力 15498

 器用さ 22520

 運 90/100


 残りSTポイント23000


【スキル】

 女神の眼Lv10

 女神の腕Lv10

 女神の翼Lv10

 女神の天倫Lv10

 女神の歌声Lv7

 ナナVer.3 Lv7

 狩人の鼻Lv10

 身体強化Lv10

 念話Lv10

 霞Lv8

 統率Lv7

 突進Lv9

 剛腕Lv8

 超感覚Lv4


【リミットスキル】

 限界突破

 女神の微笑み

 セーブセーフ

 天使召喚

 闇夜一世

 女神の騎士

 ゾーン

 剣王の覇気

 獄炎球

 心眼

 幸運と不幸の天秤

 一部身体変化

 聖絶界

 エアショット

 女神の心臓

 感覚倍加

 猿の手

 天道

 久遠

 追の一撃


【魔術】

 フレイム、フレイムウォール、シンフレイム、メルフレイムストーム

 アクア、シンアクア

 アイスアロー、アイスランス、メルアイスフォールン

 ヒール、ヒールアス、ディヒール

 ワールドポケット

 ファントムミスト


【称号補正】

「騙されたボール」知力-10

「1人ツッコミ」精神力+5

「泣き虫」精神力+10体力-5

「失った相棒」HP-50

「耐え忍ぶと書いて忍耐」体力+15精神力+10

「食いしん坊」力+10体力+10

「欲望の敗北者」精神力-20

「狙われた幼女」知力-10精神力-20

「慈愛の女神」全ステータス+50

「剣術のライバル」力、体力+20

「竜を喰らいし者」HP+500 力、体力+100

「奪われ続けた唇」知力、精神−50

「力を極める者」力+100 知力-50

「悪魔の所業」運−5

「断罪者」運−10 力+50 体力+50 器用さ+50 精神力−50

「犯された女神」精神−200

「Sランク魔獣討伐者」全ステータス+300 運+10

「鬼軍曹」精神+200

「殲滅者」全ステータス+500 運−15

「導きの光」運+10 精神+300

「悪神の邪魔者」全ステータス+1500

「ハーレム女神」 運+15 精神+1000

「乗っ取られし者」 全ステータス−500

「真祖の血」 ステータス、経験値引き継ぎ

「覚醒者」 全ステータス1.1倍

「ロボは男の浪漫」 精神力+1000

「キレやすい体質」 精神−200

「娘にデレアマ」 精神−500

「超越せし女神」 全ステータス1.2倍

「幼心」 精神力+300


【装備】

「深淵の魔剣」ランクS 覚醒時全ステータス1.3倍

「朱雀の神剣」ランクS HP、力、器用さ+1000

「レイグラヴィス」 ランクS 重力変化 力+5000

「深淵の女王のネックレス」ランクB 状態変化無効

「名も無き剣豪のガントレット」ランクS 力2倍

「フェンリルの鎧」ランクS 真・神速常時発動

「ヴァルキリースカート」ランクB

「生命の指輪」ランクS HP自動回復

「黒炎の髪飾り」 ランクB MP+200 知力+300 オートフレイム

「名もなき剣豪のグリーブ」 ランクS 体力2倍

「生命神のブレスレット」 HP1.5倍

「迷死狐のローブ」 魔術ダメージ半減 自動修復


 __________


「さぁ、イザヨイ。パパと暴れようか! 背中に乗ってくれ」

「はいですの〜! 合体ですの〜!」

「が、合体とはちょっと違うから、今度しっかり教えてあげるからね」


 背中の鞘をワールドポケットにしまい、三刀流の状態へ移行すると背中から娘がロストスフィアで援護射撃をしてくれる。

 正直心強かった。此処までの威力があるとは予測していなかった紅光が次々と邪竜を撃ち貫いていく。常に神気を補充する事で弾切れは無い。


「あははっ! パパのプレゼントは最高ですの〜!」

「た、楽しそうで嬉しいけど程々にね……」

 ーー実際軽く引いてしまう程の破壊力。飛び込んで斬り裂こうにも先にイザヨイから放たれた神気に貫かれて黒竜は頭部を爆ぜさせて絶命した。


 盲目であるが故の超感覚に、ロストスフィアは合致したのだ。耳に聞こえる羽音、鳴き声、全てがイザヨイのソナーに相手の位置情報を正確に教える。

 近接するまでも無く、トリガーを引くだけで相手を絶命させる武器は最適過ぎた。


「コヒナタ……俺達はやっぱりやり過ぎたかもしれない」

 宙を舞いながら呟かれた悔恨はそのまま溶け去った。娘が黒竜を殲滅している間も己が凝視するは邪墜竜デスレア一点のみ。

 ーー余裕の笑みを浮かべながら、宙を漂う姿に歯軋りした。命を奪えないという絶対的な優位を握られている以上。動くわけにはいかない。


「あの野郎〜! 一泡吹かせてやる!」

「マスター。準備は出来てますよ? いきますか?」

「あぁ、『獄炎球』発動」

「ターゲット。ロック。ロック。ロック。ロック……」

 脳内レーダーにアップされた無数の黒竜にターゲットを絞る。

『お前がどれだけ増殖しようが無駄だ』ーー思い知らせてやろうと牽制した。


「いけえぇぇぇーーーー‼︎ 『滅裂火』!」

 巨大な球体から放たれた黒炎を纏う拡散砲は、螺旋を描きながら黒竜の頭部を貫いて絶命させた。百を超える増殖体は一瞬の間に地面へ崩れ去る。

 デスレアは愕然とし、その強大な力に怯むが態度は変わらない。

「ヒャハハハハハハ〜〜! すげぇ力だが、それを俺にぶつけられるのかぁ? 出来ねえよなぁ?」


 ーー言葉どおりだ。如何なる力も本体にぶつける訳にはいかない。確信していた。

(殺す事は出来る。でもそうしたらイザヨイが……)

 封印するしか手が無いと冷や汗が流れる中、デスレアは更なる黒竜を生み出し続ける。容易に排除した様に思えるが、この増殖による黒竜のレベルは嘗て相対した竜の山の黒竜と違い、各個体がレベル60を超えている。


 雑魚と呼ぶには舐めていられない力を保っていた。だからこそ絶対に国へ近付ける訳にはいかない。そこへーー

「そろそろいくぜ〜?」

 ーーデスレアが翼を羽ばたかせて襲い掛かった。疾風の如き巨躯の突進を喰らい、防御すると共に一メートルにも満たない距離で背後のイザヨイとデスレアの視線が交差する。

「いい匂いだ〜! 流石は俺の同一体だな〜! お前を食って俺は完成する!」

「……お断りしますの!」

「その通りだ。させる訳ねぇだろうが!」


 娘は意図を汲み取ってくれたかの様に神力のレベルをあげ、ロストスフィアを放って四肢を貫いた。同時に再度『絶界』を展開させて空間固定と相まってその身体を縛り付ける。

「グオオオオオォォォーー!!」

「そのまま固まってろおぉぉぉーー!」


 再度インフィニットプリズンに閉じ込めようと試みたが、焼かれた四肢が徐々に回復していくと共にデスレアの様相が変貌していく。

 生えた手足は先程よりも艶を帯びており、黒鱗の刃は更に長く、太く、その鋭さを増していた。


 ーー理解する。『女神の眼』に映ったステータスが安易にその答えを物語っていた。



 __________


【名前】

 邪墜竜デスレア

【レベル】

 162

【ステータス】

 HP 27663

 MP 15562

 平均値 20013

【スキル】

 ダメージ経験値変換

 破壊部分硬質変化

 カオスブレス

 経験値獲得量10倍

 限界突破

 増殖

 __________


「今のイザヨイの攻撃だけで、これだけステータスが上がんのかよ……やべぇな」

 はっきりとした確信をもった。本来一撃で絶命させれば問題無いのだが、それが出来ない以上、こちらからのダメージが大きい攻撃は此奴の餌にしかならない。


 ーーそして、それは繰り返せば己のステータスに届き得る可能性を秘めていた。


「イザヨイ。ちょっと攻撃中止! エルクロスのみんなを拾って撤退する!」

「あいあいさーですの!」

 二メートルを超える巨体な魔獣を指先一本で摘み上げ、空を舞いながら超高速で城へと翔ける。

 既に城門の外には仲間達が控えていた。ナナが『念話』で状況を伝えてくれていたのだ。


「悪い! 封印は失敗した! 更に邪竜を攻撃した時のステータスの上がり幅がヤバ過ぎる!」

 ーー「済まん! それはわいの所為でもある!」

 突如見知らぬ声が聞こえ、皆が視線を集中させた先にいたのは剣神ランガイだ。


「間に合ったか……いや、それも微妙な所だのう」

「あんたは?」

「わいはGSランク冒険者の資格を持つ剣神ランガイ! アミテアを襲った厄災が此処レグルスに向かったと知って、助太刀に参った次第だ!」

「…………」

『心眼』を発動して真偽を図るが驚いた。静寂……心を決して乱さず、波紋を起こした湖程度にしか揺るがない精神力。


「嘘じゃ無いのは確認した。宜しく頼む。ランガイ! だが、先程のお前の所為と言うのはどう言う事だ? 説明してくれ!」

「……あの邪竜の特性を掴むのに遅れて、瀕死まで追い込んでしまった」

「おい、じゃあ彼奴があそこまで成長したのはディーナのお義父さんとお前の所為か……」


 その瞬間、ゼハードとランガイは容赦なく冷酷な視線を向けられ、胸元を抑えて項垂れた。

「だって、知らなかったんだもんね〜」

「そうじゃのう。知らなかったんだものしょうがないわな〜」

 二人は宙を見上げながら口笛を吹いて知らぬ顔を決め込んだ。その態度に誰より苛ついたのは予想外にもディーナだ。


「父上……謝らぬと親子の縁を切るぞ。そしてそこの剣士、お主もある程度責任のある立場にある者なのじゃろう? 他国に対してその様な態度が通じるのは、絶対的な強者のみじゃ。その眼(マナコ)で改めて我等を見よ。『紅姫』を舐めるで無いぞ」

 白竜姫から放たれた威圧に乗じて聖天使、ドワーフの巫女、女神の騎士、魔術の王、ペット達は覇気を発して警告した。


 思わず味方であるはずのカムイやヘルデリックさえ後退る程の圧力に、ランガイは一筋の汗を流す。各々が自分の力量に並ぶ程の強者。そしてそれが魔人の一国で『パーティー』を組んでいる事実。


 あり得ない事だ……卓越したした強者は群れない。その常識が覆されると同時に、それを纏めているリーダーに視線を向けた。

「こらこら、くすぐったいから止めて〜!」

「すりすりですの〜! この隙にパパに甘えますの〜!」

 銀髪の美姫。レグルスの女王。新女神教の教祖。様々な噂は聞いていたが、ーー子連れだとは知らなかった。

「いかん、わいにはネネちゃんがおるのだ。しかし美しい……どうしたらいいのだ」

「取り敢えず、お前ら正座!」


 冗談でも何でも無く女神から発せられた言葉に素直に正座する白竜王と剣神。ランガイは瞬時に理解した。圧倒的なステータス。ザンシロウを打ち負かした力量。

 ーーだからこそ、この強者達は纏まっているのだ。


「これ以上デスレアへの攻撃は禁止で! 黒竜の殲滅に力を貸してくれ。本体の封印には失敗した! 素直に言うとあいつのレベルは160を超えてる! 決して無茶をしない様に」

「レイア様? それでは肝心の解決策はどうなさるのでしょう?」

「…………」

「逃げます?」

「それしか無いかもなぁ〜。正直殺せない以上、一つの手だ」

 そこへランガイが手を挙げた。


「何故、それ程の力をもっていながら奴を滅さんのだ?」

『あのな、俺の背中にいる娘の魂があの邪竜と繋がってるんだよ。だから、彼奴を殺すとイザヨイが死んでしまう。クソ神の悪戯なのさ』

 背後の娘に気を使って『念話』でランガイの問いに答えた。静かに状況を理解したGSランク冒険者はアイコンタクトを交わして頷く。


「了解した」

 皆が逃走を考えて押し黙る中、穏やかに微笑みながら一歩前に踏み出す存在がいた。

「旦那様。私の禁術なら彼奴を封印出来るから、任せてくれないかな?」

「ええっ? 大丈夫?」

「任せて!」

 ビナスは細い腕を捲り上げるとムンっと構えた。


 この時に気付けば良かった。ーーほんの少しだけ眉を顰めて困る彼女の苦笑いに……






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