43 嫌な予感・水族館

【嫌な予感】


「五月様、けいちつってなんですか?」

「ああ、二十四節気の一つだ。こも巻きを外す地方もあるな」

 今日は啓蟄です。


「あ、俺それ知ってます。松の木にわらを巻くあれですね」

「ヒロシも知ってるの?」

「言葉の意味は知らない」

 おやおやヒロシくんったら。


「こういう字を書く」

「うーん。さすが五月先生、博学ですね」

「なんか、響も字からも、嫌な予感がいたします……。どういう意味なのですか?」

 それは聞かないほうが……。


「ほほー。さすがメイド、鋭いな」

「ドキドキ、ドキドキ……」

「冬眠していた虫が、地中から這い出る頃ってことだ」

「やっぱり」

 ほらね。


「Gも這い出てくるな」

「言わないで」

「ほら愛糸、言ってるそばから出てきたぞ!」

「いやぁ〜ん」

「私もいやぁ〜ん」

「うっそー」

 意地悪ヒロシです。


「五月様、気持ち悪い」

「うんうん」

「すまん……」




【水族館】


「いい天気だな」

「あい五月様、いいお天気です」

 すっかり春の陽気です。


「ん、今日は水族館に行こう」

「いいっすね」

「行きましょ、行きましょ」

 お三方、揃ってお出かけです。

 大きな水槽、珍しい魚たち、イルカのショーも観ました。


「五月様、キレイなお魚いっぱいいましたね」

「ん、そうだな」

「サメやマンタは迫力あったっすね」

「ああ、珍しい魚は勉強になった」

 それぞれが楽しんだようです。


「先生、腹減りました」

「わたくしも」

「たまの外出だ、奮発していいぞ」

 よっ、五月先生太っ腹!


「やったぁ〜」

「俺、フグ食べてみたいっす!」

 ヒ、ヒロシくん、それはあまりにも……。


「泳いでるお魚見たばかりなのに……」

「お財布が寂しくなる……」

 最後に、ちょっと凹んだお二人です。

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