09 体育の日・おしゃれの秋

【体育の日】


 スポーツの秋でございます。

 パーン、パーン……。

 ドンドンドン……。

 わー、わー。

 晴れ渡った空の下、爽やかな風に乗って子供達の声が聞こえてきます。

 

「五月様、今日は、近くの小学校で運動会みたいですよ」

「ほー、赤勝て、白勝てだ」

 

「五月様はかけっこ速かったですか?」

「んー、まあ普通に」

 五月先生、普通に速いはどの程度の速さなんでしょう?


「お前は?」

「み〜んなで一等です」

「ほ、そーゆー時代ね……」

 そういう学校、ありますね。


 夕方になりました。

「白が勝ったな」

「え? 五月様、どうしてわかるのですか?」

「さっき赤い帽子の子がうつむいて歩いてた」

「そーゆー歩き方なのかも……」

 そうですね、ただの癖かもしれません。


「来年また頑張ればいいさ」

「六年生かも……」

「っもう!」

 五月先生、メイドさんのツッコミにへそ曲げました。



【おしゃれの秋】


 メイドさん、ファッション雑誌を見ています。

 ペラペラ……ペラペラ……。

「おしゃれの秋でもございます」

 特集ページ【今秋のトレンド】ですって。


「ほー、新しい服か?」

「はい、五月様。ワンピースや、フリルのブラウス、ショートパンツにブーツもいいですね」

「今年の流行はやりはどんなのだ?」

 流行りゅうこうのアイテムで、メイドさんもおしゃれしたいのですね。


「これなんか似合うんじゃないか?」

「うふ、可愛いです。これもいいし、こっちも可愛い……」

 ペラペラ……ペラペラ……。


「どうぞ、ごゆっくり」

 五月先生、飽きました。


「ん! これにしましょう!」

「どれ?」

「これでございます」

 メイドさん、コスプレ雑誌の写真を指差します。


「で、結局メイド服……」

「へへへ」

 メイドさん、これしか着れないのです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る