五月(ごがつ)とメイド〜2ndシーズン〜

長月

01 東京五輪・築４０年

【東京五輪】

　日本選手団は史上最高のメダルを獲得し、リオ五輪が閉幕しました。

　連日寝不足の方も多かったのではないでしょうか。

「五月様、４１個のメダルはすごかったですね」

「うむ」

「パラリンピックではいくつ取れるでしょう？」

「たくさん取って欲しいな」

「４年後の東京五輪も楽しみですね」

「ああ」

「五月様、あまり興味がないご様子ですね」

「そんなことはない。施設やインフラの整備、開催までにやるべきことがたくさんある」

　先生、論点ちょっとずれた。

「それはそうでございます」

「都知事には期待している」

　４年は長いようで、短いですからね。

「あ、もしかして、１９６４年に一度見てるからですか？」

「ギリ見てない！　あっ」

「あっ」

　あ〜ぁ、五月先生、歳がバレますよ。

「・・・」

「大丈夫でございます。五月様は見た目よりずっと若いでございますよ」

「その慰（なぐさ）めいらない」

「あい……」

【築４０年】

　五月家は築４０年以上の木造家屋、こまめなメンテナンスが必要です。

「五月様ぁ、ゲリラ豪雨で天井の張り紙がふやけてしまいました……」

　一階、居間の天井がふにゃんふにゃんです。

　五月先生、大工さんを呼びました。

「どっから漏れてんのかなぁ？」

　大工の棟梁、天井裏に頭を突っ込んでいます。

「どうですか？」

　五月先生が脚立（きゃたつ）を押さえながら聞きました。

「んー、二階の雨戸の戸袋あたりが怪しいんだが……。よーし、水出してー」

　大工の棟梁、庭で待機の大工さんに声をかけます。

　庭の大工さんが、外水道の蛇口をひねります。

　二階の大工さんが、戸袋（とぶくろ）にホースの先を向けます。

　ジャーー、ジャーー……。

「お、お、キター！　ここだ！」

　雨漏りの箇所が見つかったようです。

「やりましたね！」

「見つかった見つかった」

　五月先生も大工さんも大喜びです。

「よかったよかった」

「よかったよかった」

　おふたり、喜びすぎです。

「……いいから雨漏り早く直して！」

　メイドさん、呆（あき）れ顔です。