9月9日

 本日は乳房山登山から始まった訳ですが、麓では曇りでも山頂はガスが出てざあざあ降りになってしまいました。この当たり予測が甘かったと反省です。雨合羽は用意しておくべきでしたね。

 生憎の天候ではありますが、ガスで乳白色に染まった島並や尾根も神秘的で中々得難い景色でした。

 サバイバル知識で、タオルを腕などに巻き付けて雨上がりや朝露を植物から回収するという水確保法を聞きますが今回意図せずこれをやることになりました。これは実際に使えるなと確認が取れましたから、拙作「魔王に転生したけど誰もいない件について」等にも生かせればと思います。


 雨も昼頃までには、降ったり止んだりしながら落ち着いてきたので、山頂からはある程度楽な下山になりました。風も出て来たので濡れたシャツやタオルが冷えて涼しい道行です。道が滑りやすいのは玉に瑕ですが、雨の日ならではの風景に出会えます。

 小笠原はカタツムリの固有種が多く、藪を抜けたらふと腕に付いていた等も有り、途中道を外れた水源地の玉川ダムと船木山の滝に寄った際は子ガエルだらけで足の踏み場もない有様です。

 玉川ダムはジャングルの奥の秘密の池と言った体で、静かに水鳥が泳いでいたり、神秘的な様子でした。滝はとても可愛らしい雫と言う感じでしたね。

 初めて島に漂着した人はあの池を見つけた時どんな気分だったろうと想像してしまいます。


 乳房山登山を終え、昼食の後に勝手に命名したスクーター「ラガン号」にて北港へ向かいます。母島は本来北港と沖港の二つの集落があったのですが、米軍から返還された後、沖港だけに住む事になったそうです。

 荷物を登山用からシュノーケリング用に変えて、ラガン号で30分程かけてアップダウンの激しい国道を行きます。所々に戦跡や石門と言うジャングル等面白そうな場所はあるのですが、今回はパスします。

 母島なんて狭いから三日もあれば余裕と思った時代が私にもありましたが、全然時間足らないです。見どころ多すぎです。

 ちなみに道中に二つトンネルが有りますが、夕暮れになると真っ暗でヤバいです。帰り道に闇に包まれたトンネルを、スクーターのライトだけで走るとホラーゲームのワンシーンですね。目の前にライトに引かれた蛾が飛んできて本気で事故になる所でした。明るい内の移動をお勧めします。


 母島北端の北港に着きました。ここでも泳げるのですが今回はさらに奥に行きます。西側の遊歩道を30分ほど歩くと行ける、大沢海岸と言う浜辺です。

 遊歩道は雨のせいもあってズルズル滑る岩場もあり、登山靴で行ったのは正解でした。道のり自体は大したことは無いのですが、シュノーケリング用品を持ってだと歩きにくいですね。荷物のまとめ方に一考の余地ありです。


 辿り着いた大沢海岸はパッと見吹き溜まりという印象でしたが、潜って見るとテーブルサンゴで一杯で溺れても足の着けられる場所が無いほどです。魚も多く、岩場には文字通り岩をよじ登るオガサワラヨシノボリ、長細い体のヤガラ、圧巻は5、60匹にはなろうかというスジクロハギの群れでした。

 大変レアな体験でしたが、岩場の潮流はぶつかり合って複雑なので注意が必要です。

 整備された浜ではないのでシャワーなどは当然ありませんが、真水の滝が一本流れており、おそらく雨の影響で水量も増えていたので、タオルに滲み込ませて頭の上で絞るという簡易シャワーが出来ました。

 苦労させられた雨でしたが最後にサプライズを用意してくれました。


 本日はここまで。明日は島の南半分の南崎、小富士辺りを攻める予定です。 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る