第10話電子魔道書的GWの過ごし方(闇鍋)
「ほな、ゴールデンウィークはジョーを入れた5人でザラメのペンションや!!!」
「がっぽり稼いだ割に人任せだな」
今回はゴールデンウィークのお話。
イマドキJKの電子魔道書込みのGWの過ごし方とはどうなのか?それを垣間見てみる。
「軽井沢やで~アウトレットたっくさんやで~」
くるくる回るシオ。
「いつも質に入れてるやつのほうが良い物そうですけれど…」
「自分好みのだったら自分で買うわ」
「金元がオジサンじゃないか」
ザラメのうんざりした表情。そうして出発した一行。
メンバーはいつもの4人に小町の計5人。
5秒後テレポートで軽井沢にチェックイン。
「いやぁ~さすがやわ~砂糖財閥のテレポートアプリ!渋滞もなんもなし!」
「え?え?渋滞中にゆっくりカイハンやる約束でわ?」
「ジョロちゃん、エンジョイシオモードにハメられたね…」
エストリカのいつもの流れと言うのが顔に出た表情に、小町はわけがわからず周りを見ている。
「これ使うのにMANA観測省への、使う目的とかの申請やるのめんどいんだからなぁ~」
「た、確かに初めて電子魔道書のテレポートって体験しましたけれど、これって政治家の人とかじゃないと使えないんですよね?MANAを大量に使うからとかなんとか…」
こむぎの質問にエストリカが丁寧に答える。
「そうそう。あんまり発達すると宅配便業者が潰れるとかあって、決められたもので決められた重さと大きさでないとダメとかいけないし、なによりテレポート系統の電子魔道書って大体禁止書籍…禁書になってるから、使用に電魔局に申請しないといけない」
そう電子魔道書があれば魔法が手軽に使える…世の中ではない。
MANAというナノマシンは無数にあるわけではなく、それを散布される時代になった現代においては、その使用量は厳重に管理されている。
そして禁止書籍「禁書」。電子魔道書を統括管理している通称電魔局が指定した使用が禁止されているものであり、かなり貴重な電子魔道書である。1冊数百万…では買えないぐらい貴重な物や、電魔局のマークから外れて埋もれているものもある。
「ではザラメさん、どうやってテレポートを?」
「うちはここらへん一帯の別荘管理してるんだ。だからこの時期になると急に持ち主が帰ってきたりするから掃除要員の転送や食べ物の輸送をしてる。そこで私は管理者として、シオ、エリカ、こむぎは使用人、ジョロは『ブート・ジョロキア』という食物で輸送した」
「なんで私だけ唐辛子名義なんですの!?」
「間違いはない。真面目に聞くが、ジョロこの前の春の体重測定の身長154センチ45キロというのは間違いないな?」
「?はあ、確かに間違いありませんが…」
「45キロのジョロキアがここに輸送されるんか…」
「さ、流石に死人でそう」
青い顔をするシオにエストリカ。
だがこむぎだけは小町を白い目で見る。
「あの身長で体重で…あの胸…」
だぼついたTシャツの上からでもわかる確かなふくらみが上下するたび、こむぎは小町を睨んだ。
「ほな!ショッピングや!」
「まてや遊び人、意地でも賢者にしてやる。泊まるペンションの掃除が先だ」
「え~」
「ここにリアル45キロのブート・ジョロキアがあるんだが…」
「いくで!なにしとるん!?箒を掲げろ!雑巾とバケツを両手に我々の反逆が始まるっ!!!」
「立場がいつもの逆ですわね」
「エンジョイモードのシオちゃん止められるの、土台固めたザラメちゃんだけだから」
「甘辛くはならないんですね…」
そうしてペンションに向かう一行。
「胸を張れっ!友の死に嘆き悲しむなっ!我々は勝ったのだ!この戦いに確かに勝ったのだ!」
箒を掲げ汚れ一つないシオが夕暮れに向かって叫ぶ。
「エリカ、今日の飯あのド阿呆にはこのキャロライナ・リーパーを種ごと丸呑みさせろ」
「し、死んじゃうよ!」
カプセルに入った唐辛子を渡されたエストリカが流石に慌てる。
「でもお掃除の殆どをエストリカさんが高いところと水回り、外と床、ガラス回りはジョロキアさんでしたからね…二人ともルックスもスタイルもスペックも良すぎる良妻だよ」
「わ、私は皆さんと早く楽しく遊びたかっただけですわ///」
こうして夕日が軽井沢の山に沈み、料理が出来るまでまだ涼しすぎる軽井沢の外にシオは叩き出されるのであった。
つづく
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