第4話今の塩麹の流行りはデェトなバイト
「ほな、じゃあなー」
「ばいば~い」
麹シオ。いつものごとく放課後を早めに去る。
「いつも早くに帰りますよねシオさん」
「バイトだからっていってたけれど」
「中学からやってるからな」
「そんなにお金にこまってるんですか!?」
勢いで出たこむぎの大声にザラメが耳をふさぐ。
「違う、趣味みたいなもんだと援こむぎゅ」
そこでエストリカが口を抑える。
「えんこ?」
ひきつった笑顔でうなづくエストリカ。
「なにする」
「本人の許可がないとそういうの言わないほうがいいよぉ」
「アイツに限ってそんな必要ないと思うが…気になるならこむぎ見に行くか?」
「え?どっかのお店ですか?」
「いや、アイツ移動してるな…えっとこの方向だと池袋か…」
「ザラメちゃんのそのアプリのほうが犯罪だとエストリカだと思うな」
3人は池袋に向かった。
「ターゲット確認しました!」
やけに興奮した様子のこむぎ。その視線の先には何かを待っているかのようなシオ。
「こうするのもエストリカの入学以来だな」
「1回見て安心したよ」
そしてシオの元にスーツを着たオジサンがやってくる。
「お父さんでしょうか?」
「シオは地方からの上京組だ。実家は大阪でお祭りでたこ焼き売り回ってる一家」
「そういうのしてるのってなんとか組っていうんじゃないですか?」
こむぎの浅い知識からくる結論をスルーするザラメ。だが、遠くに居るシオの態度を見て不思議に感じた。
「あ、なんか謝ってる」
「相変わらずの塩対応だね」
エストリカが乾いた笑いでシオを見る。
「私より人間不信レベルの裏表激しいやつだからな」
「あ!近くのブランド店に入って…なんか凄い大きな紙袋お父さんに持たせてます!」
「馴染みの人じゃないのかな?遅刻にしてもかなり辛い対応だね」
「さっきまで不機嫌ってわけじゃなかったからな」
そしてさらに後をついていく3人。
「な、なんか凄いレストランに入っていきましたけれど…」
「ミシュランガイドに乗ってたね」
「何回か行ったことあるけど、あそこの魚料理はおすすめしない」
「お寿司屋さんですよ?」
「卵が美味しかったんだ」
「はぁい、そこのマクドで買ってきたやつだけれど~」
「その呼び方完全にシオさんの影響ですよね?」
こむぎのエストリカへのつっこみはスルーされ、ハグハグ立ち食いしながら出てくるのを待っていた。
そして出てきたところで、シオがかなり怒った様子で紙袋を持って出てきた。
「怒ってますね」
「るね」
「だから魚料理はおすすめしないと」
「だからお寿司屋さんですよ?ってあれ?別れてそのまま…質屋?」
そうして質屋から出てきたシオは隠れていた三人を見つけると笑顔で迎えた。
「なんや?3人もこっちで遊んでたん?」
「いや、シオさんが心配で」
「こむぎらしいなぁ…」
チラリと他の二人を見る。
どこ吹く風のザラメとごめんと手を合わせるエストリカ。
それをみてシオはため息をつくとザラメの手をとった。
「ほな、美味いもんでも食べにいこか~」
「もうカロリーオーバー」
ザラメの反応が面白いのか、シオが頭をくしゃくしゃといじり倒す。
「バイトって結局なんだったんでしょう?」
「ん~塩対応専門お遊び?」
「なんですかそれ?」
「シオちゃんのお友達にはわからないことだよぉ~」
最後までわからないままこむぎは他の3人についていった。
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