第2話 旅立ち
-Mayは空に浮かんでいる。
ぐるっと周囲を見渡すと月が沈む方角へ。
そこは住宅街。
まだ灯りの点いている家がちらほらある。
-Mayはその中の古く小さな一軒家へと降りてゆく。
帰ってきたよ。-Mayはそう言っているかのようだ。
縁側から家に入ったーMayが見たものは年老いた女性の姿だった。
その女性は古い写真を見ていた、そこには親子四人の笑顔が刻まれていた。
そして床にはたくさんのアルバムらしきものがある。
-Mayはその光景を見て立ちすくんでいた。
すると襖が開いて年老いた男性が現れた。
男性は女性を気遣うように何やら言葉をかけると彼女は泣き出した。
長年の労苦は二人の顔と身体に多くの皺と傷を残したが、その面影まで奪い去るものではなかった。
この二人は夫婦だ、写真に写っているあの若々しい夫婦だったのだ。
ーMayは老夫婦が交わしているある言葉に反応した。
そしてーMayの目からたくさんの涙がこぼれおちた。
あなたを丈夫な子に産んであげられなくてごめんなさい。
あなたの自由にさせたかった。でも、私たちはあなたを失うのが怖かった。
あなたがたくさんの友達に囲まれ楽しい毎日を過ごせますように。
あなたが今日もどこかの町で元気に暮らしていますように。
あなたを心から愛してくれる人と出会えますように。
私たちはただそれだけを願っています。
-Mayはうなだれまるで苦しむように胸を押さえ言葉を発しなかった。
そして縁側から外に出るとわき目も振らずある方角へ飛び立った。
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