Ⅲ
「もちろん、それは嘘なんだろう?」
アイスティーを一口含んでからクライスがデュークに問いかけた。
「もちろんだとも、だけど、翌日は本当に店を開けなかったんだ」
「まあ、ひょっこり来られたら、困るもんな。実際に」
「それもあるけど、これはチャンスだと思ってね。店を休みにして、ウェールズ支店まで同じナイフをもう一本取りに行ったんだ」
デュークは首を傾げるクライスをよそに、得意げにウィンナーコーヒーを一口飲んだ。
「(なんか難しい…ムシャラ…話だなぁ…ムシャラ…)」
蜂蜜だくだくのハニートーストを頬張りながらペンを走らせるレイチェル。
「(うーん…ムシャラ…『ひょっこり』とかなかなか聞かないなぁ…ムシャラ…ムシャラ…そう言うお婆ちゃん言葉で言えば…ムシャラ…エマにはクライスさんかなぁ…ムシャラ…あっ!メモ帳に蜂蜜ガッ‼)」
レイチェルはメモ帳にふんだんに落ちた蜂蜜を慌ててハンカチで拭った。が、
「あうー」
蜂蜜はページ一杯に伸びただけで、ほとんど拭えなかったのであった。
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