ソーラー・イン・グラス 〜修道女に眼鏡を渡されて掛けたら適合が一致して転校した僕！〜

14話

　私は男たちによって両手を抑えられるように何処かへ連れて行こうとする。

「離してくださ！　あなた達みたいな婦女子相手に暴行は天罰ですわ！」

「おとなしくしろ！」

　私は暴れるように抵抗するが、筋骨な男たちには叶わない。地下室に繋がる階段から降り立つと、そこには今は使われていない場所で、赤レンガで出来た壁が半壊していて、ものすごい異臭が漂る。それに辺りは右や左は鉄柵の部屋だらけ、これじゃあまるで独房じゃないですか。すると突然歩くのを止めた。

「ここがお前の部屋だ」

　金属で出来たドアの前に立ち止まり、一人の男がドアに近づいてカギの鍵穴を差し込んでロックを解除、ガチャリとドアを開いた。

「入れ」

「キャア！？」

　私の背後にいた男の人が私を突き飛ばすように独房へ放り込んだ。そのすぐさまドアを素早く閉められ、素早くドアをロックした。

「何するんですか！」

「いいか小娘……ここで大人しくしてろ。大丈夫……お前だけでなく同じ部屋にいる奴と一緒にな……」

「同じ部屋にいる奴……？」

　男たちは嘲笑した声で立ち去る。彼らが話したというのは、今この部屋で収監されている他の人も。

「誰……か……いるの……」

「！？」

　独房の奥から人の声が聞こえた。やはり本当に部屋をおられたでしょう。私と同じ10代の少女の声らしい。

「誰かいますか？」

「はい」

　やはり人の声、他にも捕らわれた人もおられた。この独房の中には電気が付いておらず、辺りは薄暗くて何も見えない。すると奥から足音が聞こえ、人影が少し見えてこちらに近づいてくる。

「君も捕らわれたのか？」

「はい……そうでー」

　私は一端に途絶えるようにアゴを落ちる驚愕する。

「あなたは……」

　私はプルプルとお化けを見たような顔で畏怖になるように相手の顔を見覚えがあった。

「あなたは……昨日のテロリストの人じゃないですか！」

「え……それにあなたはシスターのお嬢さん」

　目の前に直視するように昨日のヨシノさんの学校を立てこもったテロリストを一掃達をした際、一人だけ逃してしまった物がいる。

「あなたは……」

　学園の生徒に化けた風紀委員の生徒の少年イヤ……少女は正真正銘の女の子だった。

「まさかあなた……女の子だったんですか！」

「え……あ、ちょっと恥ずかしい……」

　彼女は顔をリンゴのように赤くなる。慌てて両手で胸元を隠す。彼女の着ている服装はボロボロに破れた状態で露出度が少し高い。それに身体中の皮膚は鞭で打たれて腫れた痕が残っている。

「それにあなた……そんなにボロボロで身体中が怪我しているじゃありませんか！」

「大丈夫……こんな傷で大したことじゃない。拷問されて……」

「拷問！？　あの人たちー」

　私は彼女の傷だらけを見ると可哀そうと思いつつ、婦女子相手にこんなにも傷つけるなんて、なんたる連中ですわ。いつか地獄を落として制裁しなければいけませんわ。

「でも……何故あなたが捕らわれているのですか？」

「それは……潜入したから……」

「はい？」

　彼女が語った潜入とは一体どういうことですか、彼女はここのテロリストの一員ではないのか目をじっくり凝視するように彼女を見つめた。

「隠す事が出来ないから全て話すよ」

「はい？」

　彼女は覚悟を決めた顔で立ち上がり、声を放つように全てを話す。

「私はソーラー学園高等部の潜入調査クラスのジャンヌ・ダリア、あなたと同じ学生なの……初めて見る顔だけどよろしく」

「え……えええ―――――！！！」

　まさか彼女も私と同じソーラー学園の生徒、しかも高等部の先輩！？　どうして今まで気づかなかったのかしら私……。

「なんで先輩であるあなたがここにおられるんですか！」

　私は緊張で慌てるように彼女の事と潜入をしたのか気になって話した。すると彼女は口に語り掛けようとした。

「それは……私の意志だから……敵を取るためよ……」

「どうしてですか！　エリスの居所がわからないのは！」

「もう一度言うぞ、エリスのソーラー・グラスに反応がないと言っている」

「ＧＰＳでわかるはずだろ！」

　僕は抗議する声でゼニガタ先輩に弁論する。するとゼニガタ先輩は言えない事情がある顔をしながら口述する。

「それは無理な相談だ」

「理由はなんですか！」

「それは……ソーラー・グラスが反応出来ないのは……生命反応が確認できない。つまりエリスは殺されて死んでいるかもしれない」

「え……そ……それって……」

　僕はゼニガタ先輩の声で一切口が出なかった。

「もしくは外されてソーラー・グラスの本人以外起動が出来ない場合がある」

「なんですかそれは！　心配して損したよ！」

　ソーラー・グラスを着用した適合者の生命反応が確認出来て、病気になった場合、どんな細菌やウイルスの原因を検診したり、怪我したところの治療を加療を検診したり、聴覚や味覚、視覚と嗅覚など、ソーラー・グラスで目の前のレンズが点滅して映し出されて確認が取れる。本人が死亡あるいはソーラー・グラスが外された場合は生命反応が消える事が途絶える。

　僕は心配して損した。というと……エリスはまだ生きているのか死んでいるのか詳細不明じゃないか。

「またはエリスのソーラー・グラスのＧＰＳが起動すれば居場所がわかるはずだ……」

「それなら早く突き止めないと……」

　僕はベッドの隣の机に置いているソーラー・グラスを掛けようとしたら、ゼニガタ先輩に止められた。

「しかし……きわめて成功率は……10%と出来たのはたったの……少数だ」

「そんな……」

　ソーラー・グラスで居場所を突き止めるのにそんな無茶な場合もあるのか、成功率が低いのか、けど僕はどうしても……。

「それでもやります！」

　僕は悩んでいても時間の無駄だ、僕は咄嗟にして自分のソーラー・グラスでエリスのソーラー・グラスの居場所を突き止めようと決意する。

「そんな……ヨシノさんいいんですか！　成功しない場合もあります。失敗した人たちはソーラー・レンズが砕けるように割れてその破片で怪我した人もいます」

「それでも僕はエリスを助けたいんだ！」

「何故……エリスを助けるのか？」

「僕とシアとそれに学校の奴らが助かったのは……エリスが僕に渡したソーラー・グラスのおかげなんだ」

　僕は隣の机に置いている赤い丸眼鏡のソーラー・グラスを手に持った。これのおかげで僕は適合者になった。もしもエリスが飛び出てくれなかったらシアと僕と学校の奴らは助からなかった。

　彼女にはどうしても聞きたい事が山ほどある。エリスの家族と故郷が思い出せない記憶と、彼女の黒髪の事と、初めて眼鏡（ソーラー・グラス）を掛けた事、ソーラー・グラスのおかげで生き残った感謝の事、それに……。

「僕は……誰も死なせたくないから」

　元御曹司の頃……義理の弟に殺されて死を遂げた両親、僕のおでこ辺りに切り傷痕が残り、施設の病院でお師匠様と出会い、散々な地獄の特訓、お師匠様の突然の蒸発、孤独な学園生活と問題行動、それが僕を一変してくれたドジなメガネっ娘黒髪美少女シスターの出会い。

　彼女は最初にソーラー・グラスを渡された不審で断った。彼女も同じ孤独な人生を送っていた。エリスも僕と同じ一人ぼっちにはさせない。

「だから僕は……彼女を守りたい」

　僕は手に持ったソーラー・グラスを掛けた。

“頼む……エリスが捕らわれている居場所を教えてくれ……エリスーウッ！？”

　頭から響く痛痒が感じる。鼻から血が流れている。自分の鼻血だ。

「ヨシノさん！？」

「イカン！？　無茶はよせ！」

　ゼニガタ先輩とサリアは畏怖をした顔で驚愕し、私たちは慌ててオオウチのソーラー・グラスを外そうとしたら、彼に手を叩かれてしまう。

「駄目……エリス……を……」

　ソーラー・グラスでエリスを探す為に必死で頑張る姿を見ると辛い思いになる。

“エリス……エリス……頼む……繋がってくれー！”

　ピピー……突然耳元から保留音が聞こえる。

『ソーラー・グラスのエリス・ザビエルのＧＰＳを作動します。しばらくお待ちください」

「！？」

　今エリスのソーラー・グラスのＧＰＳ、まさか居所がわかったのか、すると目の前のレンズ越しにマップが映し出された。どうやら探索を開始しようとしている。すると赤い矢印も点滅し、その矢印に示しているのを目にする。

『場所は……山奥にある旧連邦軍の強制収容所跡……」

「成功した！」

　僕はソーラー・グラスを外した。歓喜をした声でサリアとゼニガタ先輩に話をした。

「エリスの居所がわかりました」

「何！　本当か！」

「何処ですの！」

「山奥の収容所あるいは廃墟とか……」

「収容所と廃墟……確かこの町の山奥は……」

　ゼニガタ先輩はティアドロップセルサングラスのすじを押している。どうやら地図で収容所を調べているらしい。隣にいるサリアは手に持っているティッシュを渡され、僕は急いで鼻血を拭き取る。

「ヨシノさん……すごいですね、けど……無茶は禁物ですわよ」

「まあ……奇跡が起きたのは有難い」

　これで僕も少数の仲間入り、するとゼニガタ先輩はソーラー・グラスを外した。

「エリスの居場所がわかった」

「本当ですか！」

「町外れの山奥にある旧連邦軍の収容所兼基地がある。だが今は廃墟と化している」

「その廃墟、幽霊が出ると噂されている心霊スポットですよ」

　エリスが捕らわれている廃墟はは数十年前の昔に旧連邦が反乱分子を収容する場所、たくさんの人間が死に絶え、終戦後は何も使われていない廃墟と化した。死んだ収容者の幽霊が出ると噂される心霊スポット、亡霊たちは自分が死んでると気づかないまま彷徨い続けている。目撃した人間は何人か行方不明になっている。

「亡霊騒ぎで消息不明になった人がいるけど、まさか……」

「捕らわれて殺された。死体は埋められたに違いない……」

「幽霊の正体はテロリストの連中じゃないかと……」

「可能性は極めて高い……」

　ゼニガタ先輩はスライドして指を動かす。彼女はどうやマップで廃墟の住所と行き先のルートを辿っている。

「奴らのアジトに踏み込むチャンスだ……早速特殊部隊課に連絡を……」

「ゼニガタ先輩！？　僕も行かせてください！」

　ベッドから飛び出すように起き上がったヨシノは間近にして顔を直視する。

「無理だ。お前には無茶してくれたおかげでエリスとそのテロリストの居所がわかったが、それにお前は怪我をしているぞ」

「ウウッ」

　ゼニガタ先輩の言う通りだ、僕の背中の傷はまだ回復していない。それに鼻血を出してしまい頭が少しクラクラして貧血気味になりがちで身体中が疲労で倒れそう。

「でも……エリスを攫われたのは僕の責任だ！　ゼニガタ先輩お願いだ！　僕も一緒に連れて行ってください！」

「ヨシノさん……」

「オオウチ……どうしてもエリスを助けに行きたいのか？」

「はい！」

　こんなに無茶な問題を起こす生徒は見た事がない。彼の勇気差を見ていると誰かと似ている。

（あの先生を思い出す……）

　昔は私達を地獄の訓練の日々で学園に恐れられている教師、彼女の行為は生徒を強くする為、悪ふざけをする生徒に制裁したり、弱気の人間を助けたりする事も覚えている。

（アイツも先生に似ているな）

　私は顔負けであの先生を思い出す。オオウチの熱心な態度で心配してもしょうがない。

「わかった……好きにしろ！」

「ゼニガタ先輩」

「ただし……一つ条件と約束は守れ」

「約束って？」

「エリスを助け出したら……死ぬんじゃない」

「はい！」

　許可が出来た嬉しさで僕はベッドから起き上がる。するとサリアはタンスの戸を開いて服装を取り出して僕に渡した。

「これは……」

「これはソーラー・学園の制服です。着替えは更衣室で……」

「おう……」

　僕はソーラー・学園の制服を手渡す。青緑色の上着はブレザー、黒色の長ズボン、赤色の長い布はネクタイである。

「じゃあ着替えたら出発だ、時間はたっぷりあるから」

「はい」

　僕は病室のドアを開いて更衣室へと向かう。

「そうですか……あなたの家族があのテロリストに殺されたの」

「ええ……」

　私は覚悟を決めて後輩のエリスに全て告白する。

　私はジャンヌ・ダリアはヴィーナス星出身で私の家族は5人の弟と妹がいる。

　豊かでも貧しさでも貧富の差ではない。でも家族は幸せだった。しかしその幸せはある事件で崩壊してしまった。

　私は家族と一緒にショッピングモールに出掛けた。私はトイレに済ませた後、家族がいたモールでテロリストの銃撃戦で多数の死者が出てしまい、私の家族は奴らに殺された。

　私は家族が目の前に殺されて泣き崩れて啼泣する。テロリストの一人が私に頭に銃を突きつけられて私を殺そうとしたら突然、制服を着た眼鏡を掛けた女子学生がテロリストの男の頭をキックでお見舞い、私はソーラー・学園の生徒に救助されれ助かった。

　すると一人の役員の男がこちらに近づいて事情徴収なのかと連れていかれる。私はソーラー・グラスの適合反応が一致し、身寄りがいなくなった私はアリス星のディストピア皇国のトーエにあるソーラー学園へ転校した。

　私は決意した。私の家族を奪った奴らへの復讐を果たす。長い髪の毛を断髪、少年風のショートカットの短髪に変えた。

　転校先のソーラー学園で努力した。武術、勉学、剣術、護身術、変装学、自分の能力の発動、ソーラー・グラスでのスパイ活動の任務を果たす学園生活を送っていた。

　そんなある日、転校して何年が経つと、学園の任務一覧で運命を果たす時が来た。家族を奪った例のテロリスト集団の潜入捜査、奴らは護送中に襲撃で逃亡中と早耳する。学園側は諜報科が居所を突き止め、捕獲計画の為に私だけ一人で潜入すると先生に頼み込んだ。教師は許可をくれた。私は潜入する事に成功した。

　私は潜入している間、この町の中等学園で男子に偽って転校生として風紀委員の学園生活を送った。テロリストの一員の振りをして情報収集を揃える作業を行う。

　でも私の本当の目的は……テロリストを捕縛するだけでなく、奴らに贖ってもらう。

　私は奴らの計画に加わる事で私がこの町に通っている中等学園への立てこもり計画へ実行し、私は決行の日に学園占領を制圧に成功した奴らが許せなかった。

　私はもうこれ以上奴らに好き勝手が許せず、ソーラー・グラスを発動しようとしたその時、緊急な仰天に変化する。

　見張りのテロリストが何者かに襲撃を受けて通信途絶、トラブルを避けたい事で私は仕方なく人質の振りをして襲撃者を捕らえる。

　その襲撃者の正体はこの学園の問題児の男子生徒のヨシノ・オオウチという少年だ。

　彼は孤独で不良と噂で有名だ、病院送りにしたワルは多い。誰にも会話せずに一人で過ごすのが多い。それがなんで彼がこんな事もするのかわからない。

　しかし計画は失敗に終わった。突然別の襲撃者が飛び掛かって突入してきた。私は修道服のシスターである同じ学園の後輩のエリス・ザビエルに押し倒され、ヨシノ・オオウチをソーラー・グラスを渡されて二人仲良くテロリストを一掃し、全員拘束されてしまい、私は二人を恐れて一人だけ逃亡した。

　彼は問題児なのにどうして人助けをするのかわからない。全力で疾走しながらアジトまで戻ってきたが、そこで地獄が訪れた。

　私がいない間に勝手に荒らされて潜入調査だとバレてしまい、ここから逃れようとしたらリーダー格にやられてしまう拘束される。すぐ様拷問を受けてしまい、酷い鞭打ちを受ける。激痛で疲労になった私を暗い地下室の牢獄で監禁される。その次の日にもう一人捕らわれた人間が牢獄へはいって来た。あまりにも彼女に再会するとは思いも寄らなかった。

　ヨシノ・オオウチと一緒に学園に制圧したテロリストを一掃したソーラー学園の生徒であるエリス・ザビエルと再会するとは。

「それがあなたの運命ですか？」

「そう……これは私の決意を果たす事、だからアイツらは理由もなくパパとママ、幼かった弟と妹の報いを贖ってもらうしかない」

「だからってこんな事をしてたら……天界にいる家族が喜ぶはずがありません！」

「あなたに何がわかるの！」

　私は咄嗟に逆らうように多言をした声で口述する。

「私はどれだけの苦しみを味わったの、必死で鍛えたり、必死で勉強して誰にも相手をしないで任務ばかりの日々だった。あなたに何がわかる！」

「わかります。私もヨシノさんも同じですから！」

「同じ……？」

　私は彼女の顔は泣きそうな面で私に近づく、しかも彼女は涙目をして直視しながら御子する。

「ヨシノさんもあなたと同じですよ、家族は殺されて失いましたが、でも私は家族の記憶はありません。だから敵討ちであなたの家族は喜びません！」

「エリスさん……」

　エリスの目には涙を流すように感泣して差し含む。私は彼女とヨシノの過去をちゃんと聴衆するように耳で聞く。私は少しは落ち着きを取り戻した。

「そうだったの……あなたは本当の故郷と家族を覚えていないの」

「ええ……全然覚えていません」

　私はエリス・ザビエルと会話を続けた。すっかり女子トークに変えた。彼女は記憶喪失で自分が誰なのかわからない。それに彼女の髪の毛は腰まで伸びた黒髪なのは珍しい。

「エリスさんって……神様と同じ髪の毛の色ですね」

「え……そうでしょうか？」

「ホラッ！　創世記の絵本に出てきた神様……あなたと同じ黒髪だったでしょう」

「そうでした。よく神父様とシスター達と一緒に読んでいました」

　私とジャンヌさんが読書した絵本『創世記』、神話に伝わる生命を誕生させた神様の物語。昔のソレール系は元々何もない惑星、黒髪の神様が生命をソレール系にいくつかの惑星を創り出した。木、水、大気、風、空気、光、闇、大地、動物、植物、昆虫、鉱石、そして人間などが誕生し、8つの惑星を誕生した。その神様は暮らしていた惑星は死に絶えてしまい、誰もいなくなったと流伝されている。その星というのはソレール系で謎に包まれたアースラー、神様は忽然と消えてしまう場面で物語は終わる。

「神様の故郷がアースラーですか……可哀そうに」

「まさかエリスさんってもしや……」

「冗談は止めてね」

「はい」

　彼女の女子トークをしたおかげでスッキリした。私とエリスさんは小さな窓で外の日光が赤く染めて反射している。外にはもう夕方で日が暮れそうだ。するとエリスさんが私の手を握った。エリスさんは勇気する顔で直面する。

「ジャンヌさん安心して、助けが来ますから」

「え……？」

「彼がいますわ」

「彼……？」

　私はまだ信じない。ヨシノ・オオウチは生きていると信じている。

「ハックション！」

「ヨシノさん……風邪ですか？」

「ああ……大丈夫」

　誰かが僕に噂をしているのか、それに何か忘れていないと頭に浮かんですぐさま思い出した。

「しまった！　サリア……シアとアンジロウはどうした？」

「大丈夫です。道端で倒れているところに地元の警察官に保護されて、今はこの病院の病室で寝ています」

「そうか……よかった」

　僕とエリスのデートで尾行したシアとアンジロウの二人を任せていたと忘れていた。それに二人が無事で安心した。どうやら睡眠薬で眠らせたのだろう。

「ヨシノさん、制服似合いますね」

「ああ……ありがとう」

　ソーラー学園の制服はブレザー、僕の通っている学園は学ランだ、でも僕はネクタイは少し下ろしている。

「早く集合時点へ集まりましょう」

「ああ……」

　僕とサリアはゼニガタ先輩がいる隣の駐車場広場に向かった。

　駐車場広場に着くと、そこにはソーラー学園の制服を着た生徒と、スーツを着た人間、それから武装服を着用した特殊部隊が大勢いた。そう……全員眼鏡とゴーグルとサングラスを掛けていた。

「全員眼鏡掛けている。殆ど《ほとん》ソーラー・グラスの適合者なのか？」

「そうです」

「まさか学園のОＢも含まれているのか？」

「はい」

　その人達は全員ソーラー・グラスを着用している適合者、スーツを着た人たちは公安と治安などの警察関係の人たち。武装服の人間は軍関係者あるいは軍人か警察特殊部隊の人たちだと思う。

「あ……ゼニガタ先輩だ」

　ゼニガタ先輩がこちらにやってくる。彼女は茶色いコートを羽織って、顔にはサングラス《ソーラー・グラス》を掛けている。右手にはメガホンを持っている。口で声を上げる。

「あーあ……みんなー注目―！」

　周囲の学生と大人たちは全員ゼニガタに視線を向けて注目する。

「みんなに新しい仲間を紹介する。オオウチ……こっちに来い」

「あ……はい」

　僕はゼニガタ先輩の方へ向かい、するとゼニガタ先輩にメガホンを渡される。メガホンの音声を合わす。みんなに向けて自己紹介を開始した。

「あーあ……僕の名前はヨシノ・オオウチ、今日からソーラー学園に転校します。よろしく……以上」

　僕は紹介を終えたところで、ゼニガタ先輩にメガホンを返す。

「聞いたか……」

「転校生ですって？」

「新しい適合者は一人？」

「イヤもう一人いるだろう？」

　学生たちはヒソヒソと会話しつつ、突然オーバルメタルフレームの眼鏡を掛けたエルメス星人の女子生徒が手を上げてきた。

「すみませーん……もう一人はどうしたのですか？」

「あ……それは……急に疲れて休んでいる」

「そうですか」

　正直に言えない状態、エリスと一緒にいたシアは、テロに睡眠薬スプレーをかけられて眠らせたと言ったら、恥を晒すかもしれないから、シアの事を適当に誤魔化す事にした。

「みんな……この町に潜伏してるテロリストのアジトを発見した。我々は現場へ向かい、奴らのアジトに突入して拘束する！」

「「「はい！！！」」」

　ゼニガタ先輩はメガホンで怒号を上げるように開口する。

「みんな……奴らのアジトへ現場直行する。油断は禁物だぞ！」

「「「「「はい！！！！」」」」」

　全員かなり気合入っているな、心配してくれるのはありがたすぎるけど、アジトを発見したのは僕だけど、でも……誰にも正直に言えないから秘密にするしかない。

「よーし！　話は以上だ、解散！」

　周囲にいる人間はネズミのように散らばるように、全員トラック又はジープとバイクに乗車する。

「よし……私達も現場へ向かうぞ」

「はい！」

「ＯＫ！」

　ゼニガタ先輩のジープをすぐさま乗車、後部座席に座り込みシートベルトを閉めた。ゼニガタ先輩は運転をサリアは助手席に座る。

「よし……シートベルトは閉めたか」

「はい！」

「バッチリ！」

「出発だ！」

　ゼニガタ先輩はアクセルを踏んでジープを発車した。エリスが捕らわれている廃墟に向けて出発した。

（エリス……無事でいてくれ）

　僕は心から神様を祈った。生まれて初めての懺悔（ざんげ）をした。