8話 

 昨日の迷惑美少女シスターが窓から飛び越えて現れた。


「大丈夫ですかヨシノさん! 怪我だらけじゃないですか!」

「お前に言われたくない!」

「なんですって!」


 メガネシスター黒髪美少女は威嚇するように近づいてくる。しかも窓に突入するのは映画俳優とスタントマンみたいな侵入の仕方だな。


「それに頭から血!」

「そうでしたわ!」


 エリスの頭からガラスの破片が刺さって出血している。破片を取り出して噴射のように流血し、ポケットから取り出したハンカチで自分の血液を拭く。

 

 重火器を持ったテロリストと人質になっている生徒と教師と委員長であるシアはポカンとした表情で目を向ける。


「侵入者め……蜂の巣にしてやる!」


 壁に張り付いていたテロリストが無事に立ち上がり、床に落ちていた機関銃を拾い上げ、他の仲間も射撃準備を構えをした。


「あなたたち……神聖なる学び舎でドンパチを起こしたでしょう。今すぐ人質を解放しなさい。さもなくば……何かしますわ!」

「何を?」

「それは……その……」

「口だけじゃないか!」


 このシスター……言葉だけだろう。テロリスト達は銃を乱射し、僕とエリスは弾を避けながら逃げる。倒れている花台の後ろに隠れた。


「なんですか! いきなり発砲してくるなんて……地獄に堕ちるといいですわ!」

「お前が適当な事を言うからこんな目に遭うんだ!」

「なんですってー!」


興奮しながら激怒するエリス、テロリストは花台を撃ち続け、何も持っていない丸腰状態の僕は手も足も出ない。このままだと……蜂の巣にされる。


「そうでした。ヨシノ・オオウチさん……これをお掛けください!」


 怒りを治まったエリスはポケットから何か取り出す。昨日と同じ眼鏡ケース、間違いなく同じラウンドフレームのソーラー・グラスが入っていた。ますます信用出来ないな。


「こんな状況で掛けている暇じゃないだろう!」

「だから今がチャンスです。これを掛ければ適合が一致が出来て、適合者になれます!」

「ダメだった場合は……」

「それは……祈るしかありません」

「出来るか!」


 もう花台は風穴だらけでもうもたないと脆くなっている。


「さあ出て来い! 俺の銃弾であぶり出してやろうか……」


 威嚇した顔で発砲を続けるテロリスト達、勝手にソーラー・グラスを掛けてもいいのか、適正判断の結果が必要だろう。


(お師匠様の事を思い出す……)


 昔は射撃と剣術の訓練をした記憶がある。テロリストの銃を使わずにしてしまうとは……すっかり忘れてしまったよ。


 お師匠様がこんな言葉を言ってったな、「ヨシノ……もしも自分が襲われそうになったらどうする……戦うか、逃げるか」と「逃げる」って答えた。

 

 しかし……「逃げるのはよくないな……戦って勝ち抜くんだ」と笑いながら言われたな。


「思い出したよ……お師匠様……」

「ヨシノさん?」

「エリス……眼鏡ケースをくれ」

「はい!」


 極端な顔をしたエリスは手に持っている眼鏡ケースを僕に渡した。ケースから取り出すと、赤いセルフレーム丸眼鏡を手にする。


「わかったよ。この眼鏡イヤ……ソーラー・グラスを掛けてみるよ……」

「本当ですか!」


 驚愕した態度で嬉しそうな顔をするエリスはガッツポーズを取る。


「もしも不適切だったら……」

「掛けてみてからです!」


 恐悦した顔をしながら汗を流すエリス、僕は両手でテンプルを持ち上げ、ソーラー・グラスを掛ける。ずれないように先セルを押し込む。人生初の眼鏡を掛けた。


 突然ソーラー・グラスのレンズから、文字と数字などのプログラムが流されるように映し出されていた。


「アレ……目の前のレンズから何か記載されているよ……?」

「それは適合判断の確認の分析と、あなたのオリジナル兵器のデザインと調整していますので……」


 そういえば、ソーラー・グラスを初めて掛けて発動した人間は能力と戦闘に必要な自分だけのオリジナルの武器が具現化する。僕のは一体どんな兵器だろう。


 大部時間が掛かるのか。そんな中……銃を持った不細工な面をした小柄なテロリストの男が近づいてきた。


「お前ら……抵抗したらどう……」

「するか!」

「後にしてください!」

「ブへバ!」


 怒鳴るように言い放ち、僕はエリスと一緒に不細工チビテロリストをキックでお見舞いし、顎に直撃して蹴り飛ばした。


 不細工チビは転がるように背後から数人のテロリストに直撃、テンピングの瓶のようにストライクする。


「ストライク……ってそれどころじゃない。今のうちにあそこの体育館倉庫まで走ろう!」

「わかりました!」



 すぐさま体育館倉庫に全力疾走する。ドアを開けてすぐさまドアの鍵を閉める。跳び箱とマットを集めてドアを防ぐバリケートを作った。しかしドアの外にはテロリスト達が発砲を続けていた。ドアと跳び箱が風穴だらけじゃないか。


「ヒエー! 穴だらけじゃないですか!」

「このままだと……」

『適合判断の解析終了致しました……』


 突然耳元から美少女ゲームの声優みたいなのが聞こえた。


「アレ……頭から何か聞こえる?」

「え……頭から……まさか……」


 エリスが驚愕した表情で目を丸くしながら僕を見つめる。


『ヨシノ・オオウチの適性能力が適合になりしました……』


 え……ソーラー・グラスの適合が成功出来ただと、これは驚きだ。


『これより……武器の具現化を作成します』


 目の前のレンズから武器のプログラムが映し出され、突然目の前に粒子が集まってくる。


「オリジナルの武器を作成しているのか……」

「もちろんですわ。私たちの武器も粒子で出来ていますわ。早くしませんと、外にいる連中が……」

「ああ……」


 ドアの向こうからドンドン音をたてている突き破ろうとしていた。粒子からは小さく集まってくる。するとぴたりと止まった。


「ヨシノサン! 作成が止まりましたわ」

「何……まさかこれが僕の武器?」


 粒子が集まって作成したのは、丸い卵型の球体形状の立体だった。すると突然卵がピクピクと揺れるように震えながら動き出す。


「今度はなんだ!」


 中から人間の手らしいのが飛び出て、鳥みたいに産卵してきた。


「プハー! やっと出られた。イヤー……適合者が君だね、よろしく……」


 出てきたのは、僕と同じ人間みたいな同じ年代の美少女だった。


「私はあなたの掛けているソーラー・グラスのa.iです。よろしく……今すぐ出てくるね」


 球体全体が割れて破片を飛び散る。彼女の容姿は一糸まとわぬ姿で披露、腰まで伸びた赤髪、くりっとした目、桃色の唇をした壮絶な美少女だった。


「そんなエッチな目で見つめるのはやめて……」

「ごめん!」


 僕は少し目を逸らす。隣にいるエリスはプルプルと犬のように威嚇しながら震え上がった。


「なんですか! その破廉恥な登場の仕方は!」


 人間だけでなく非生物のa.iにも説教するのか。僕のソーラー・グラスのa.i美少女は胸元を両手で隠しながら話しをした。


「イヤー……人間が生まれてくるのが裸じゃないですか……」

「どういうことですかー!」

「今はそれどころじゃないだろう! 一体どうやって戦うんだ!」


 僕の武器が裸の美少女のa.iなのか、これじゃあ……世間から笑い者にされる。


「じゃあこれより……ご主人様の武器形態を変換します!」

「ご主人様って……ついでに服着てくれ」

「戦闘が終わり次第……」


 ソーラー・グラスのa.iは閃光のように輝き、人間の形から武器の形になっていく。


「まさか武器に変身してるのか?」

「そうです!」


 不機嫌そうな顔をするエリスは、顔にプクーと頬を膨らませている。そんなにセクハラまがいな事でもしたのか僕は。


 その時、ドアが突き破れ、バリケードがあっという間に壊される。入ってきたテロリスト達が僕とエリスは囲まれる。


「ヘイヘイ……もうこれまでだな……」

「死ねヤー!」


 もう僕の命はこれまでたど覚悟した。テロリストは機関銃を引き金を引いた。


 銃声音が響き、蜂の巣にされてしまい、身体中には、痛みが……なかった。


「アレ? 全然痛くない?」


 身体中をあちこち触ると、穴だらけにはなっていない。無傷のままである。隣にいるエリスも無事だ。エリスは怒号の声を上げた。


「ヨシノさん……右手を見てください!」

「右手……?」


 右手を見ると、細長い鋭い剣がいつの間にか僕の右手に握りしめられている。


「剣……イヤ違う!」


 これは普通の剣じゃない。形は少し細長い。


「これは……刀だ……」


 昔の中世アリス星で侍剣士が武器として使用したとされる……いわゆる……刀である。








「キャー!」

「体育倉庫から銃声!」

「中にはオオウチと飛びかかったシスターがいるじゃないか!」

「まさか……」

「そんな……ヨシノ君……」


 私を助ける為に自分で犠牲にするなんて、私が弱いからいけないの。


「なんで……なんで……ヨシノくーーーん!」


 私は悲鳴のように上げるように大声で叫んだ。


「ギャアー!」


 突然体育館倉庫からテロリストが飛び出てきた。ボールのように床に転がリ込む。


「テロリストが……」

「一体何が……?」

「わからない?」



 すると体育館倉庫から悲鳴を上げる声がする。


「ヒエー!」

「殺されるー!」

「早く出ろー!」


 体育倉庫に侵入したテロリスト達が怪物に追われているかのようにとに出てきた。


 私はすぐさま、体育館倉庫の視線を向くと、そこには……私の知る人物が体育館倉庫から出てきた。


(ヨシノ君!?)


 出てきたのは、私の知る人物……ヨシノ・オオウチの姿が現れ、顔には赤い丸メガネを掛けていて、右手には武器らしい剣が握るように持っていた。


 ヨシノ君の掛けている眼鏡、まさかソーラー・グラスを掛けているの? 彼も私と同じ適合者、私は心の底から驚愕する。


(ヨシノ君の隣にいるシスターは一体?)


 ヨシノ君の背後の右隣にいるシュールを羽織ったシスター美少女もいた。





「な……なんというパワー……」

「こりゃ凄いな……」

「イヤー……ヨシノ君の為に武器バージョンに変化したけど……これで戦えるでしょう」

「刀が喋った!?」


 右手に持っている刀がピクピクと震えるように喋り出した。


「私ですよ私……あなたのソーラー・グラスのa.iですよ……」

「その声は……お前なのか?」

「その通り!」


 耳を通して僕のソーラー・グラスのa.iの美少女の声に違いない。


「なんで刀に変身してるの?」

「アニメとラノベとマンガの主人公の武器は、剣と刀で戦うのが多くありますので、武器を刀に変形しました」

「そうか……」


 オリジナルの武器が刀とは、ラノベ原作アニメ『ラブ・イン・ライブ』を鑑賞した事がある。ヒロインのオーカの武器である剣を召還した能力者主人公のシローを思い出す。コミカルみたいな要素じゃないか。


「おい……こいつはソーラー・グラスの適合者だろ……?」

「ヤバいぞ!」


 テロリストは冷や汗をしながら怯えていた。


「ヨシノさん……私と一緒に戦いましょう!」

「どうして?」

「私もソーラー・グラスの適合者です」

「何……お前もか?」

「もちろん」


 エリスの掛けている丸眼鏡……ソーラー・グラスなのか、彼女も適合者だったのか。


「どうして最初から使わなかったんだ。僕を捕まえたり、立てこもった体育館に侵入出来たりしただろ!」

「一般人には危害を加えない為です! これは学園の規則ですわ!」

「お前はいつ侵入したんだ……まさか……」

「違います。ガラクタ置き場の謎めいた機械がいけませんのですわ!」

(機械……それってまさか……科学部が開発した人間ロケット砲、まさかあの部長……まだ捨ててなかったのか!)


 僕は白衣を羽織った男子生徒を向くようにギロリと睨みつける。こいつが科学部部長だ。後でしめてやる。


「エリス! 話しは一旦それぐらいにして……お前はどんな能力があるのか?」

「これです」

「十字架?」


 エリスの首に掛けている十字架のペンダントを手に持った。


「これが私の武器です。自分の身を守るための防御専用ですわ」

「防御ね……その十字架のペンダントがエリスの武器なのか……変わってるね」


 これはシスターであるエリスの大切な武器だと心から思った。宗教は普段お祈りと懺悔などを行いで神様を信じる。お師匠様から聞かされた。


 全ソレール系の宇宙と惑星とその生物を生み出してくれたアース神、宗教アースラ教が誕生した。星際信教としてソレール系が多くアース神を信じている。彼女もその一人なのか。


「それじゃあせっかくなので……行きますか……」

「わかりました!」


 僕とエリスは全力前回でテロリスト狩りを行う。エリスの掛けているソーラー・グラスのすじを押した。


「目覚めよ……十字架の守りサザンクロス・プロテクション


 ペンダントの縄が解いて、十字架からは光り輝くように大きく変化する。しかしサイズは手の大きさしかならなかった。


「それだけ? 何も変わっていないじゃないか?」

「いいえ……これも私の兵器です」

「どうやって戦うの?」

「見ててください……」


 エリスはいきなり前に出る。苦戦しているテロリスト達に声を掛ける。


「そこの愚か者達! 私とヨシノさんを殺そうとしたのですね! 今度はあなた方がお仕置きをされる番ですわ!」


 指を突きつけながら説教するエリス、しかしテロリスト達は……。


「ほざけー!」


 テロリストは聞く耳持たず、一人の男が持っていた機関銃でエリスを殴り掛かろうとしてきた。


「甘いですわ!」


 エリスは十字架を手前を向ける。すると機関銃が破裂するように木っ端みじんになってしまい、エリスの十字架が輝いていて、僕はエリスを熱戦の目で見る。


「機関銃が……バラバラ……」

「あいつもソーラー・グラスの適合者だったのか!」

「まあ……なんて失礼な!」


 エリスを殴り掛かろうとしたテロリストの男は足をガクガクと震えながら腰を抜かした。


「どうですか……私のソーラー・グラスの能力は神に救われたみたいでしょう……」

「お前……とんでもない能力者だな……」


 エリスの武器である十字架は、バリアを発動する防御力、物を当てるとバラバラになる仕組みとは、仰天するだろう。


 僕は散らばった銃を蹴飛ばして、エリスを殴り掛かろうとしたテロリストに近づいて怒気した態度を取る。


「さっきはよくもボコボコにしてくれたな……エリスに手を出すとは良い度胸だな……」

「ヒイッ! 俺はタダ……気絶させようと……」

「問答無用!?」

「グホッ!?」


 僕の足でテロリストの顔面をキッカーのように蹴り飛ばした。


「くそったれ!」

「こうなったらヤケだヤケ! やっちまえー!」


 テロリスト達は一斉に襲いかかってきた。一体何人いるんだろう。


「全力で戦いますか」

「ヨシノさん、無茶はやめてください!」

「わかってるって!」


 僕とエリスは応戦した。テロリストは重火器と銃器を取り出して殺す気満々だ。


「この野郎……生意気なガキめ! 一度殺してやる!」

「最初から襲ってきたのはお前らなんだけど……」

「神の鉄槌を下しなさい!」


 僕は刀を両手を構える。エリスと一緒にテロリストに立ち向かった。


「まずはお前らの所持している武器からだ!」

「「「「「「「ほざけー!!!」」」」」」」


 愚かな猛者共に襲いかかってくる。僕とエリスは応戦に取りかかって戦闘状態にする。


「防御を頼むぞエリス!」

「だから私に命令しないでもらえませんか」


 エリスは十字架でバリアを発動して防御をしつつ、僕は刀でテロリストを戦う。


「食らえー!」


 最初は筋肉質で角刈り頭の大男が殴りかかっててくる。


「甘いね……」

「何……グ……」


 刀で相手の肘に近く少し切り傷程度で済ませ、男は痛みで身体のバランスが崩れる。


「足にキスしな」

「ベブッ!?」


 僕の足裏で大男の顔面に直撃した。


「クソが! よそ見してんじゃねーぞ!」

「しまッ……!?」


 突然背後から褐色肌の男が棍棒で殴り掛かってくる。


「危ないですわー!」


 エリスがバリアで防御壁を作り、テロリストの手に持っている棍棒を火花を散らすように吹き飛ばす。


「グワ! 貴様ー!」


 手の痛みを感じ、男はエリスに向けて拳を振ろうとした。


「危ない!?」


 僕は褐色男の腕を刀で貫く。


「痛てー!」


 刀を引き抜いて、奴の腕は流血し、左手で出血を止めている。


「ワリーな!」

「こちらこそ……」


 僕は武器である刀で次々とテロリストの銃器を剣術で野菜のように切り刻み、テロリストは降参してしまい、あっという間に打倒する。


「馬鹿な……」

「この二人……本当に強すぎる」


 テロリストは次々と戦闘不能となってしまい、失神するように倒れる。


 残る一人は……あの裏切りのクソイケメン風紀委員だけだ。


「まさか……こんな大勢を倒すなんて……」

「怖じけ付いたのか? 抵抗しなければ危害は加えねーけど……」

「それ私の台詞」

「抵抗……」


 イケメン風紀委員の様子がおかしいすると太剣を前に出す。


「まだやる気か?」

「イヤ……今回はこれぐらいにしておいてあげる……」

「逃すか!」

「逃げられませんわ! 外には警察がいます……袋のネズミです!」


 僕とエリスは逃げ出すクソイケメン風紀委員を捕らえようとしたら、奴のポケットから取り出したボールの形をした物をこっちに向けて投げ出す。


「ウワー!」

「キャー!」


 ボールが突然と破裂し、煙が噴き出る。クソイケメンが突進するようにドアを突き破る。火の壁が一瞬で消え去った。


「火が消えた?」

「誰が出てきたぞ!」

「おい……大丈夫か」


 警察官がクソイケメンを人質だと思い込み保護しようと近づいてくる。


「おまわりさん気をつけろ!」

「その人を捕まえてくださーい! 彼も仲間です」


 僕とエリスは大声を上げてクソイケメンをテロの仲間だと告げた。


「なんだと! おい待て!」

「観念し……グアッ!?」


 しかしクソイケメンは襲いかかってくる警察官を突き飛ばす。そして


「炎のファイアー・ボール


 クソイケメンの持っている太剣の先に溢れた炎が球のような形を取る。太剣を振ってパトカーに向けて飛ばした。パトカーが球に命中して爆破した。近くにいた警察官は少しは飛ばされた。


「ウワー!」

「パトカーが!」

「こいつ……炎を出した……ソーラー・グラスの適合者なのか? 早く捕らえろ!」


 クソイケメンがまたポケットから取り出した。また煙が出るボールを周りに投げる。噴き出る煙幕は視界が全く何も見えない。


「ク……見えない……探せ!」


 ようやく煙が消え去ると、あのくそイケメンの姿が何処にもいなかった。


「逃げられたか……」

「そうですわ……一人取り逃がしましたわ」


 ドアの外に出た僕とエリスは煙が消えて奴の姿を眩ました。


「動くな貴様ら!」


 大勢の警察隊が近づいてきて、僕とエリスを囲むように銃を構えている。


「手を挙げろ! お前らも仲間か!」

「待ってくださーい! 私はソーラー学園中等部のエリス・ザビエルですわ!」

「嘘を付け!」


 ダメだ、誰にも信頼してもらえない。どうすれば……。


「どうしてお前が体育館の中にいるんだエリス……?」


 その時、少女らしい声が聞こえ、警察隊の後ろを退かすように十代中頃の女子高生が僕とエリスの前に出てくる。


 隣にいるエリスは目蓋を大きく開く。青白い顔をしながら驚愕に包まれた。


「先輩……」

「先輩?」


 一体どういう事だ、まさか彼女もソーラー学園の生徒なのか、彼女の着ている服装は青緑色のブレザーを羽織り、紅のネクタイを少し緩むように締めている。黒いプリーツスカートを履いている。


 それに彼女の手に持っているのは十手だ、中世のアリスで活躍した奉行隊の武器に使用したと言われている。


 顔は鋭い目つき、太い眉毛に桃色の唇をした壮絶な美少女である。


 赤いティアドロップセルフレームのサングラスを掛けていた。彼女もソーラー・グラスの適合者に違いない。エリスの先輩なら心配ない。


「エリス……お前には厳しい懲罰の刑……覚悟はいいかな……」

「ヒイイイイ! ゼニガタ先輩許してください!」


 心配だ、彼女は規則を破って怒っているのか、先輩の女子は苛立つようにエリスの顔を右手で握り持つ。


「先輩……頭が……頭が……」

「うるせえ! お前はいつも問題を起こしてばかり……今度という今度は……」

「その辺にしろよ!」


 僕は口を動かしながら、その先輩の肩を叩いてやめさせる。


「誰だ貴様!」

「僕の名前はヨシノ・オオウチ……新しいソーラー・グラスの適合者だ!」


 僕は仕方なく正直に自己紹介をした。


「適合者……?」


 ゼニガタと名乗る女子は頭を握りしめているエリスを引き離す。エリスは両手で頭を押さえ込む。よほど痛かったのか。


 今度は僕の顔を近く見つめるゼニガタ。


「貴様……ソーラー・グラスを掛けたのか?」

「その通り……」


 ゼニガタはすぐさま、近くにいた連絡係に耳を貸した。


 すると突然、2人組のソーラー学園の制服を着た男子生徒に近づいてきた。僕の両手を拘束される。


「ヨシノ・オオウチと名乗ったな……貴様を連行する」

「なんで……?」

「ちょっと待ってください! 彼は適合者ですよ!」


 近くにいたエリスは恐る恐るゼニガタに抗議した。


「ついでにエリス……お前もだ!」

「なんで私も!」


 同じ制服を着た2人組の女子生徒かエリスに近づいて、エリスも両手を拘束される。


「何するんですか! 離してください!」

「よし……連れて行け!」

「どういう事ですかー!?」

「コッチが聞きたい!?」


 僕はエリスと仲良く一緒にソーラー学園の生徒に引きづりながら連行される。
















 



























 



 







 











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