このお話の主人公、徳井くんの巻き込まれる日常はとんでもないことの連続です。普通の放課後にさらっと魔法があり、普通の授業にさらっと源平合戦があり、何でもあり……。
でも荒唐無稽じゃないんです、みんな高校生だから。
これは現実世界じゃないと痛いほどわかるのに、そこに生きる人たちが普通の時間を生きていると感じずにいられない。だから不思議な事件の合間にある、恋したり、めっちゃ怒ったりが凄まじくストレートに心に刺さってきます。没入感があって、それから「思えば自分の高校生活もこんなに不思議だったよな…」と謎の感慨まで湧いてきたりして。
エブリデイマジックってこんなに面白かったのかとびっくりしました。読者の経験と本の世界を夢幻が繋ぎ、あの頃の嫌な思い出を解きほぐし、自由な気分で浸らせてくれる、すごいなあと素直に感動。
オムニバスということで一篇一篇起伏があり、気軽に読み進めることができます。最後の怒涛の展開もお見事って感じです。みなさんもぜひ読んでください。
あとさらっとボクっ娘も出てきます。尊い。