ワークショップ

 ワークショップの日。


 その前の 用事が、結構 時間かかってしまったので、イベント会場へは

ギリギリの時間にしか 着けなかった。もう 講座始まってしまってる。

 会場は 1フロアーを、各ブース毎に 分けて、出展するスタイルです。

ちなみに、I氏 も M氏も、出展されています。


 ワークショップのブースは 丁度、I氏が 出展しているブースの真後ろ。

『あぁ~ 作品見たいぃ』

と思いつつ、まずは 説明を!


 皮製品を 作らせてもらえる、ワークショップだったです。

シルバーと皮は 相性が良いから、どちらも 加工できると良いと思って。

前前から 興味があったんです。まずは どんな感じなのかだけでも

知れる、良い チャンスだと思いました。


 製作するのは ベルト等に付ける、モバイルケースを作ります。

おおよその 作り方は、わかっていたので 説明を受けると、すぐ

取りかかれます。

 だけど 旦那様は、全く 関わって来なかったから、道具の持ち方

から 1つ1つ手に取って、再実演しないと 出来ない感じです。

手を貸そうにも 席の配置が、講師の方の すぐ前、左右に分かれて

向い合って 座ったから、届かないし。先生が 丁寧に、お教え下さってる

から、私は 私で、ドンドン進めていけて。

 デザインを 追加する許可をもらって、旦那様の 終わるスピードに

合わせようとしました。


 先生が 部品を取りに、席を離れた時。旦那様は 俯いて

集中して、作業しているし。


 振り返れば I氏のブースが、内側から見れる と思って

そっちを向くと


 I氏の ブース前に、G  が!!



 I氏が 他のお客様に、説明をして 取り込んでいるから

それが終わるのを 待っている感じ。


 ? 私に 気付いてる?

ココは 端っこのブースで、この先は無い。先程からの 人の気配だと

こっちに 人が来た記憶が無いし。I氏 のブース側からは、何か

やってそうだとわかると思うけど、はっきり見えはしない 角度。

 

 どうなんだろう…


 咄嗟に 向き直り、背中向けておこう。

G の性格上 ワークショップの事まで、わざわざ 覗きこんで来るとは

思えないから。

 どうか 気付きません様に…


 もうそれからは、後ろや 人の気配を、気にしながら 終わりまで

やり通しました。完成! 

 参加者は 私以外、全員 男性だったので、ハードな感じの仕上がりの品

の中、私一人 女性エッセンスを入れた感じに 出来たと思うし。

デザインを 追加してあるから、見本通りでない オリジナルが

出来たから、ほぼ満足!


 そ~っと I氏のブースの方を見ると。 G は居なくなってた。

このブースは 行き止まりの所なので、こっちに 来た気配は無い。

帰ったかな?

 I氏は 相変わらず、接客で お忙しそう。


 別のアートイベントで、時計を買った 作家さんも、出展して

おられて、時計を 修理して欲しくて、持ってきていたんです。

その作家さんの ブースは、ここの 反対コーナーになる。

 旦那様に 会場内、ゆっくり観て回ってもらう様に お願いして

私は 時計屋さんのブースへ。


 ちょっと 進んだ所で、後ろ姿の G を発見。

会場内に 居たんだ。


 見つからない様に 別の脇道から、時計屋さんブースへ。

修理内容を 伝え、作った ケースを見せたりしていて。

フっと その方の視線が、後ろへ 移動した感じがした。


 真後ろに G 。

『G …』

いつもと変わらぬ いたずらな含み笑いの顔です。


 うっそッ あそこに居たなら、この時間で ココまで

来てるとは思えないんだけど… これは 完全に、バレてたんだな。


 作った ケースを、自慢気に 見せて

「こんなん 作れるんや」

『いいでしょっ 見本のより、デザイン凝らせてもらったの』

「ほぉ」

それから その時計屋さんで、買った 時計も見せたり

作家さんを 交えて、話しをしていると… 


 その背後から 旦那様が、こちらへ 来る様子が見えてきた。

どうしよう・・・


 いっそこのまま 旦那様の事を、G に紹介してしまおうか。

と思っていたら… 急に 背中を、叩かれた。

ン? と振り返ると、その時計を 買った時に、私を担当して

下さっていた方でした。

 とても 賑やかな方で、大声の方なんです。

「あ~ あん時の、最後の1個買った人でしょ?」

って 振り向き様言われた。

『あぁ はい』

「あれ 良かったでしょっ?」

『えぇ 良かったんだけど、抜けやすくて 直してもらおうと思って』

「えっ どうにかなるの?」

作家さんが 

「お預かりする事にしたよ」

等と 周りにも聞こえる、声で 話すから、注目浴びてしまって。


 そぉ~っと 旦那様の方を見たら、避ける様に 向こうへ行ってるみたい。

G はというと、圧倒されて 動けなくなってる。結局 4人交えて 

しばらく作り手談義が 繰り広げられました。


 旦那様の事が 気になったけど、離してくれないんだ。


 ようやく 解放されて、G と 一緒に。

『I氏と 話しした?』

「いや まだ出来てない」

『M氏とは?』

「さっき ちょっと話出来た、絵のお礼を言えて 良かった」

『そうなんや』

と 言いながら、入口正面の M氏のブースの方へ。

M氏は居られず、見渡しても 気配が無い。


 「帰るわ」

『えっ I氏には?』

「7月の終わりに 店行ったんや、そやからいいわ」

『そうなんや 一人で?』

「おん」

『それで いつ結婚するのよ?』

「向こうの家で 不幸があったって、伸びてるんやわ」

『あらまぁ 彼女側は、急いでないの?』

「まぁ そうみたいやな」

『そっかぁ』

「ほんならな」


 G が そういうから、もう1度 I氏のブースの方を見ると

どうやら I氏の接客長引きそう。

 その間に G は、出口へと 移動していた。

目が 「ダメやろ?」って、語っていて 

「ほなな」って感じで 片手を、頭の横まで


 『あぁ~あ 一人やったら、引き留めるんやけどな』

と 切なく、私も 手をあげる

!!!

 G の背後から 旦那様の姿が、、、


 会場前は すぐエレベーターホール。丁度 やってきた

エレベーターに 

「ンなら 乗るな」って 感じの、少し おじぎをしながら

G は行く。


 その横を 私の顔を見ながら、旦那様が 寄ってくるのが

わかっているけど、チラっとだけ 視線を送って。とりあえず

G の合図に 応えておく。

 扉が 閉って、行ってしまった。


 

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