空から落ちてきた君は。
ある日、彼女が街を歩いていると上空から人が落ちて来ました。その人は彼女を狙って落ちた訳ではないのですが、偶然落下地点に彼女がいたのです。
彼女はその時、歩きスマホをしていた為、上空の異変に全く気付いていませんでした。
「あぶなーい!」
周りの声に気付いた時、最悪な事に彼女は歩みを止めてしまいます。もしここでその声を無視して歩き続けていたならあんな事は起こらなかった事でしょう。
おまけに彼女はこんな時に限って勘が鋭く、無意識の内に上空を眺めてしまったのです。そのせいで彼女は落下する人と目が合ってしまいます。
こうなってしまうともう最悪です。彼女は一歩も動く事が出来なくなってしまいました。
次の瞬間、落下して来た人と彼女はごっつんこ。その接触の衝撃で2人共病院に運ばれる結果と――なるはずでした。
が、その時に奇跡的な何かが起こり、2人はぶつかってふっとんだものの、お互いに無事でした。あるひとつの異常事態だけを残して。それは――。
「あいててて……全く酷い目に……あれ? なんで私が倒れてるの?」
「あれ?死んでない、どうして? って言うか僕の姿を僕が見ている?」
そう、2人は心と体が入れ替わっていたのです。お約束です。
「君は……どうして自殺なんか?」
「はは……これが女性の体……」
「話を聞けよ!」
彼女に入れ替わったその人は某映画のように胸を揉みまくっています。女性の体になったのがよっぽど嬉しかったのでしょう。逆にその人に入れ替わった彼女はすごく不服そうです。何故なら話を無視されたから。
一通り胸を揉みまくって満足した彼女に入れ替わったその人は改めて彼女の手をがっしりと握ってお礼を言います。
「ありがとうございます。この御恩は一生忘れません!」
「ちょ、どう言う意味?」
「僕はゲイだったんです。それが周りにバレて行き場を失って自殺する事にしました」
この話を聞いた彼女は大体の事情を察しました。
「そんな僕にこんな女性の体を与えてくださり感謝します!」
「ちょ、じゃあ私は……」
彼女は困惑します。色んな意味で。
「あなたは僕の体では不服ですか?」
「そ、そんな事、ないけど……」
「良かったら僕の体、自由に使ってください」
彼女の体に入れ替わった彼はそう言ってにっこり笑いました。改めて彼女は鏡的なもので入れ替わった自分の姿を確認します。そこには立派な男性の姿になった自分の姿がありました。
体もきっちり鍛えられており、腹筋も6つに割れています。元ゲイの人の体でしたが、身体は立派な男性そのものでした。
「私、この体使っていい?」
「ええ、僕の体で良ければ」
そう、実は彼女もまた自分の性別に悩む性同一性障害者だったのです。お互いに望む体を得られたと言う事で2人は入れ替わって生活する事に同意しました。
それから2人は自分の性別に悩む事がなくなり、自由に生きる事が出来たと言う話です。
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