第222話「ひっかけ言葉」

小学校高学年の時。


「なあ、ミズキ。この間、パン作って美味しかった?」


と、カズに言われた。

ついこの間、家庭科の授業でパンを作ったのを思い出して……


「ああ」


と、答えた。すると……


「あははは!」


と、周りにいたヤツらが大笑いした。


「どんな味?」


「パンの味だよ」


また大笑い!


「歯ごたえは?」


「パリパリのサクサクかな」


「パリパリのサクサクだってよ~!」


みんな腹を抱えて、大笑いしていた。


「えっ!なんだよ?」


と、僕が言うと……


「ミズキ、パンツ食って美味しかったんだろ~!?」


「!!!」


やられた~!


と、思った。「、」句点の位置で意味が変わる、引っかけ言葉だったのだ。


ぱん、つくったことある?


と。


ぱんつ、くったことある?


の違いだ!クソ~。僕は悔しいから、カズの臭いを嗅ぎながら……


「ねえ、ちゃんと風呂入ってる?」


と、言ってやった!


「ちゃんと入ってるよ!昨日だって入ったよ」


と、カズは言った。聞いてた周りのヤツらは、一瞬考えて……


「あははは!カズ、昨日も姉ちゃんと入ったのかあ!?ガキだなあ~」


と、大笑いして言った。カズも、分かったようで苦笑いしながら……


「俺には姉ちゃんはいねえよ!」


と、言って頭をポリポリしていたのだった。それを見たイシが……


「頭痒いんだ?」


と、言ったら……


「ああ、ちょっとな!」


と、カズが答えたもんだから、また大爆笑となった!!イシが言った意味は……




あ、たま、かゆいんだ?


だったからだ!!


おしまい

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