第220話「鉛筆キャップロケット」

この遊びをしたのは、僕らの年代が最後なのかも知れない。なぜならセルロイドが、簡単に手に入ったからだ。


◇◇◇


「ミズキ、公園でロケット上げようぜ!」


コウが言った。コウとは、保育園からの付き合いだった。きっとコウの事だ、なんか楽しい予感がした!コウと一緒に公園に行く。小学2年生の時だったかと思う。コウには、2こ上の兄貴がいて色んな遊びを知っていた。その中に、鉛筆キャップロケットの思い出があった。


「ミズキ、この下敷きをハサミで切ってよ!」


と、コウに言われた。


「え~!?いいのかよ~」


「いいんだって!サイズはとにかく細かくな!!……」


僕は、コウに言われたサイズに、とにかく細かく下敷きを切っていった。コウは、切った下敷きを鉄製のキャップの中に入れていった。実は、この下敷きに秘密があった。


今では、ナカナカ売っていないが、昔の下敷きは、プラスチックは少なくて……「紙」か「セルロイド」が多かったのだ!このうち、セルロイドの下敷きが鉛筆キャップロケットの燃料になったのだ。そうそう、忘れてはいけない。鉛筆キャップは金属でなくてはならなかった!プラスチックや、同じセルロイドのキャップだと、溶けたり燃えたりしてしまうからだ。


あと、キャップを飛ばすためにはカタパルトも必要だった。つまりはレールだ。コウは、笹を割ったのを使っていた。キャップの中に、セルロイドの破片を入れた。(つまり、ちょうど良くつまる大きさに切るのだ)


そして、キャップの端をペンチでつぶし、カタパルトから少し、出した状態で、ロウソクであぶるのだ。そして、しばらく待つと……


ヒューン!


と、鉛筆キャップは飛んで行ったのだった。


補足。

セルロイドとは、合成樹脂の名前である。昔だと、映画のフイルムなどに使われていた。アニメのセル画なども、セルロイドからである。べっ甲の代わりに使われ、眼鏡のフレームなどにも使われた。ただし、燃えやすいのが、難点であり、その後プラスチックに代わっていった。(参考までに、当時のセルロイド製品を挙げると、ピンポン玉、筆箱、下敷き、眼鏡、くし、ギターのピック、人形、万年筆、象牙の代わりに判子。などがある)


補足2.

鉄製の鉛筆キャップは当時、スリットなしでした!なので、スリットなしでないと飛びません!あと、最近はピンポン玉は違うそうです!!ギターのピックが手に入りやすいかも!!!


おしまい

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