第162話 「朱藍鉛筆(しゅあいえんぴつ)」
息子が、色鉛筆で絵を書いていた時の事だった。
「色鉛筆ってさあ、反対に違う色の鉛筆がついてたら便利なのにね!」
と、言っていた。なので僕が……
「赤と青の鉛筆なら昔、家にあったよ」
と、言うと……
「え~!本当にあるの~!?」
と、ビックリしていた。
僕の小学時代の話だ。
◇◇◇
昔、実家に赤鉛筆の反対が青鉛筆になっている鉛筆があった。当時、婆ちゃんに……
「何で、赤の反対に青があるの?他の色鉛筆にもそういうのがあるの!?」
と、聞いた。僕は、緑の反対が黄色の色鉛筆とかも、あるに違いないと考えていたからだ。婆ちゃんは……
「婆ちゃん、分かんないから、爺ちゃんに聞いてみな!」
と、言った。なので僕は早速、爺ちゃんに聞いた。
「爺ちゃん。緑の反対が黄色の色鉛筆はあるの?」
と、聞くと……
「???……無いと思うよ!」
と、言った。まあ、この質問なら答えはそうなるだろう!そしてそれで終わりだろう。でも爺ちゃんは……
「ミズキ君は、何から、そう思ったの?」
と、逆に僕に聞いた。僕は……
「赤の反対が青の色鉛筆があるから、他の色鉛筆もあると思った!」
と、言った。これで、爺ちゃんは話に合点が言ったらしく。
「ああ、分かった。赤と青がくっついてる鉛筆のことか!」
と、言ってそれから説明してくれた。
「あれは、確か朱藍鉛筆って言って、印刷所で使うやつだよ!爺ちゃんが、前にいっていた会社で、余ったのをもらったんだよ。青い鉛筆で原稿に書き込むんだよ。確か青だと、印刷の時に写んないだよ。だから、赤と青の色鉛筆はあるけど、緑と黄色の色鉛筆は無いんだよ」
と、爺ちゃんは言った。
「そっか~。でも、あったら面白いのに~!だって、色鉛筆ってさあ、絶対全部使わないよ!あれば、便利なのに!!」
と、僕が言うと……
「そうかあ~、ミズキ君!大発明かもしれないぞ!!そうだなあ、あったら凄いかもなあ」
と、言ってくれた。
「ミズキ君が、大人になったら、特許とってみたらいいかもなあ」
とも、爺ちゃんは付け加えていた。
僕が、初めて発明家を目指した、4年生の時の話だ。
おしまい
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