第151話「サファリジャケット」
子どもの服を買いに行った。今の子ども服は、とってもおしゃれで、色々な服があるので楽しいものだ。
「パパこれ探検隊みたい!」
向うから、息子の声がした。見に行ってみると、サファリジャケットがあった。手にとってみる。
『懐かしいなあ』
と思った瞬間、僕の周りは小学時代のあの時、戻っているのだった。僕の小学時代の話だ。
◇◇◇
当時の我が家には、親父のサファリジャケットがあった。小学校6年になった時だったと思う。その頃には僕の背も、親父と同じぐらいになっていて、親父の服も着る事が出来たのだ。
半袖のサファリジャケットの、あの独特なフォルムを、僕はとても気に入っていた。特に肩にあるボタンなんて、何に使うのかよく解らないが、何かしらの機能を感じワクワクした。
ポケットが4つというのも、普段の服にはない機能だ。左右の胸のポケット。そして、下にもポケットが2つついていた。全てのポケットにボタンがあり、そのボタンも普通よりも大きくてワクワクした。
ジーンズに白いTシャツ、そしてサファリジャケットで、虫取りに出かけたなあ。まるで、サファリでライオンやシマウマを追いかける気分で!そして時には、ファーブルの気分で!!でも、帽子は赤いカープの野球帽だった。
「またお父さんの服をきて~!!」
と、婆ちゃんに見つかっては文句を言われた。だから、黙ってサファリジャケットを楽しんだ後は、こっそりと洋服ダンスに返していたのだった。
おしまい
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