第147話「合宿の後で」
僕の小学時代の話だ。
夏に塾の合宿があった。その次の日、僕はとても苦しかった。夏合宿で知り合った女の子、アネキの事を好きになってしまったかrだ。
『なんで、目の前にアネキがいないんだろう?』
と、とにかく不思議で切なくなかった。
『昨日まで、手を伸ばせばすぐそこにアネキがいて、笑っていたのに』
空虚感を胸に、その夏の夏休みは過ぎた。始業式になり僕は学校に行った。朝の集会、全校生徒が集まる中、僕はアネキの姿を探した。
『どっかにいるけど、見つからないや』
僕は、授業中考えた。どうしたら、又、会えるのだろう?と。ずっとずっと思っていたら……いつの間にか、僕は6年生の階にいた。5年生が行くのなんて凄い事で、何事か!?と上級生が、僕の様子をうかがっていた。
アネキがいるかと思って、来てしまったのだが、そんな時に限ってアネキのクラスは、音楽室だか美術室に移動していていなかった。
その時の僕は、気持ちは会いたいのだが、会ってもなんて言ったらいいか分からなかった。塾でまた会えるかな?と思っていたが、そもそも5年と6年は勉強の日時が全く違っていた。今にして思えば、塾の時間で待っていれば良いのだが、当時の僕は、だからもう、僕は二度と会えないんだと思っていた。
その一週間後、塾も終わり、さて帰ろうとすると……
「ミズキ~!」
と、馴染みのある声がした!振り向くと、アネキがいたのだった。その時、会いたいと思っていても、いざ会えると、声が出なくなる事を知った。
「ミズキ、始業式の集会で探していたんだよ!」
『僕も!』
と、心で返事した。
「ミズキ、これ!」
と、アネキは分厚い封筒をくれた。
「写真!撮ったの焼き増ししたからあげる!!」
僕の心臓は、ドキドキした。
「あっ、ありがとう……」
と、言うのが関の山だった。家に帰ると、さっそく封筒を開けた。可愛いシールが貼られていたので、とにかく綺麗にはがした。中には、たくさんの写真と共に手紙が入っていて、『一緒に合宿に行って楽しかったよ!』って事が書かれていた。
写真を見終わると、また僕の胸は苦しくなった、アネキとバイバイした合宿の日から、胸に穴が開いたままなのだ。
そんな気持ちを抱いたまま、僕は写真を宝物箱にしまったのだった。
おしまい
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます