第148話「スプリンクラー」
職場で水まきをしていると、同僚とスプリンクラーの話になった。
『そういや小学校にあったなあ』
と、思い返しているとその瞬間、僕の目の前に小学時代の風景が、姿を現すのだった。
◇◇◇
暑い日差しに、校庭は乾いていた。
パシュパシュパシュー!
と、水を一面に撒く、スプリンクラー!
当時の僕の小学校の校庭には、スプリンクラーの水まき装置が内蔵されていた。校舎はL字になっていて、校舎の真ん中の第二昇降口の脇に、スプリンクラーのスイッチがあった。
先生がスイッチを押すと、校庭のアチコチにある、直径20センチのプラスティックのフタが上がり出し、上がり終わると、中からピストルみたいな形の、スプリンクラーの噴き出し口から、水が勢い良く放水された。
シュパッパッパー!
と、水が吹き出す。一定のリズムでまかれる水。太陽の光に照らされて、見てると綺麗な虹が出来ていた。
スプリンクラーは、時計回りに水をまき、一周すると自動的に戻り、そしてまた水をまいた。まくタイミングは、午前のプールに入る前の体操の後と、午後のプールに入る前の体操の後に、スプリンクラーで水をまいていた。それ以外は、砂埃が凄いときにスプリンクラーで水をまいていた。
そうそう校庭開放中に、あまりにも砂埃がひどいので、スプリンクラーを教頭先生が動かした事があった。
「ついでにお前らも涼んで来い!」
本当は、スプリンクラーをやってる間は、校庭に入ってはいけなかった。校庭がデコボコになってしまうからだった。でもあまりに暑いし、砂埃もひどかったからと、教頭先生が許可してくれたのだった。
「やった~!!」
教頭先生のお墨付きをもらって、僕らはみんなでスプリンクラーの中に飛び出した。
キラキラ光る水の中を走り回ったり、スプリンクラーの放水に打たれて修行したり!とにかく水浴びして気持ちが良かった。
スプリンクラーが終わった後の校庭は、雨上がりと違う水道水の匂いと、ヒンヤリとした涼しさが、ただよっていたのを覚えている。
おしまい
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