第141話「冷凍バナナ」

「ミズキ!冷凍バナナあるよ」


夏の暑い日に良く食べた物を思い出した。冷凍バナナを良く食べていたのだ。冷凍バナナは、保育園の頃から食べていた。

婆ちゃんがしょっちゅう、冷凍庫にバナナを入れて、カチンコチンに凍らせておいてくれた。小学校に入ってからは、夏休みの間……


プールから帰った時。

図書館からの帰り。

塾から帰って。

遊びから帰ったあと。


などなど、冷凍庫から出しては食べたのだった。食べ方はこうだった。


冷凍バナナを、まな板に乗せる。

輪切りに切ってから、皿に盛り付け……

フォークで、つっと刺して食べるのであった。

一切れの冷凍バナナを、口に入れる。まずは、ヒンヤリと冷た~い!噛むと、バナナの甘味が口の中に広がった。冷気とともに、バナナの甘い匂いが、鼻の奥をくすぐった。バナナの甘味は、冷やしておいたお陰で、さらに増していた!


「婆ちゃん、切ったほうがもっと美味しいよ!」


「あっ!ほうとだねえ」


冷凍バナナは、まるごと一本を冷凍していたが、途中から、切っておき冷凍すると、シャーベットぽくなるのが分かった。これもまた美味しかった!

いろんな時間帯で食べた冷凍バナナ。一番美味しい食べ頃は、なんと言っても……風呂上がりだった!

親父が、ビールを旨そうに飲んでいる脇で、僕は冷凍バナナをほおばるのであった。


おしまい

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