第136話「冷やしトマト」

昨日は遅い勤務の為、ゆっくりと出勤いた。ふと見ると、プールバックをもった小学生が、小学校に向かっていた。その瞬間、僕の遠い遠い記憶がよみがえるのだった。


◇◇◇


小学校のプール開放に行くのに家の前の坂道を上がって行くと、前から上級生がなんとも美味しそうに、トマトにカブリつきながら歩いて来たのだった。

その瞬間から、僕の頭の中はトマトの事だけになった!


『ああ、食べたい!!』

プールにプカプカ浮かんでいる時も、トマトの事を思い浮かべていた。

家に帰ると早速、婆ちゃんに……


「トマト食べたい!」


と、言った。

すると婆ちゃんは冷蔵庫から、冷たいトマトを出して来てくれた。


「じゃあ、今切るよ!」


と、婆ちゃんが言うので……


「あっ!そのまんま、そのまんま!!」


と、僕は大慌てで婆ちゃんに言った。

良く洗った丸ごとのトマトに、僕はカブリついた!


「……!」


もう、最高の旨さに声も出なかった!僕の姿を見て婆ちゃんは言った……


「塩かけるともっと旨いよ!」


僕は早速、塩をかけた!


「……!!」


旨い。旨すぎる~!!

だから、3つあったトマトをペロリと食べてしまった。僕は、婆ちゃんに……


「もっと食べたい!」


と、言った。

婆ちゃんは早速、市場へ買い物に行ってくれた。

夕方、僕がトマトを食べていると、爺ちゃんが仕事から帰って来た。

(あっ、だから、多分2年生の時の話しだ)


「おっ!ミズキ君、美味しそうな物を食べているなあ」


と、爺ちゃんは言った。

しばらくして、お勝手から婆ちゃんと爺ちゃんの話し声が聞えた。


「婆ちゃん。俺にもトマトくれ。まるごとの奴で!!かなめん君が、食べているのを見ていたら、食べたくなった!!」


その後、お勝手に行くと爺ちゃんも、塩をかけて旨そうに食べていて……


「懐かしいなあ~!畑に忍びこんで、良く食べたよ」


と、爺ちゃんは言っていたのだった。


おしまい

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