第135話「映画~転校生~を見て」
久しぶりにDVDを借りてみた。映画が終り、僕は泣いていた。とにかくとにかく、切なくて悲しかった。改めて見た映画「転校生」の女の子は……
その気持ちは僕を、あの小学時代へと、いざなうのだった。
◇◇◇
僕がその驚きを感じたのは、小学5年の時だった。テレビで映画を見ていた時だ。映画の名前は「転校生」大林監督の作品だった。
塾の夏合宿で知り合った、一コ上の先輩アネキ。僕はこの夏、アネキが大好きになっていたのだ。でも学年が違うし、会いたくても、もう会えないと思っていたのだ。
そう思っていた矢先に、TVのロードショウで、映画「転校生」が流れたのだった。その時の驚きといったら、どう表したらいいのだろう!?
『えっ!?アネキって映画に出てたの!?』
めちゃくちゃビックリの驚きだった。とにかく、そっくりだったのだ!すぐに僕の気持ちは嬉しさで満ち溢れていた。だってもう一度、アネキに出会えた気持ちになったからだ。
映画は、男女が体が入れ替わる話だ。そしてドタバタの話が始まる。テレビ画面に映る女の子。女優は小林里見と言った。アネキにそっくりで、声も似ていた。本当に目の前で、動いているようだった。
でも……時間はどんどん進んでいく。そしてとうとうラストのシーン。
「さよなら私!」
と、言いながら追いかけるシーン。またサヨナラに悲しくなった。
わずか映画の中の時間の事だが、もう一度、アネキに会えた気がしたのだが、またサヨナラだった。僕が泣いていると……
「何、泣いているんだよ、ミズキ」
と、親父が言った。
ほんの少し過ごしただけなのに、なぜ好きになったりするのだろう?なぜこうも、胸が張り裂けそうに切なくなってしまうのだろう?僕は不思議で不思議でたまらなかった。惹かれていくかが不思議だったのだった。
◇◇◇
それから、20年とちょっとが経った。僕が結婚した人は、小林里見に似ていた!(そんなつもりはなかったが))
つまりはアネキに似ているという事か!?それとも小林里見が好きなのか!?(まあ好きなのだが)偶数の一致!?卵が先かニワトリが先か!?今にしてもうと、似たような人を求めるという事なのだろうか?
おしまい
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