第111話「パチンコ(スリングショット)」

 僕の小学時代の話だ。パチンコと言っても、大衆遊技場の事ではなく、ゴムの力で弾を飛ばすオモチャの事だ。


 よく公園で、二股になった枝を拾って作った。ゴムは、ちゃんと作る時は、アメゴムというチューブになったゴムを使ったが、ちょっと作るのには普通の輪ゴムを作った。弾を持つ所には、主に布ガムテープを使ったが、手にはいれば革を使った。


 パチンコは時々、ブームになった。その都度、その時の技術力で作るので、様々なパチンコを作った。高校生ぐらいまで作っていたなあ。


 枝ではなく、針金を使い本体も作る時もあった。針金と木を組み合わせて、携帯式の折り畳み式のパチンコも作った。


 パチンコの弾には、紙を丸めたものや、木を削って作ったのを使ったり、公園では小石を拾って使った。実際やって見ると、当てるコツをつかむまでが、ナカナカ大変だった。

 2mぐらいならナントカ行けるが5m、10mとなると、銀玉鉄砲の方がよく当たった。だから、的にした空き缶に当たると、とても壮快な気分だった。


 癇癪玉(かんしゃくだま)も弾に使った。これが、メチャクチャ面白かった!!離れた所から友達の足元にやって驚かせたり、空き缶もスチール缶なら硬いので、癇癪玉が当たるとパーン!という音とともにはじけ飛んだ!!それは見ていて、まるで映画のガンシーンのようだった。


 壁に向けて、パチンコで癇癪玉を発射するのも面白かった!トンネルの中なんて、最高に響いた。高学年になると自転車に乗りながら、癇癪玉を発射!なんてのもやった。走りながら、友達の自転車のフレームめがけて発射!見事、癇癪玉が当たると……


パーン!


「うわっ」


 と、相手はびっくりしていたなあ。

 パチンコは、作るだけでなく買う時もあった。 駄菓子屋では、プラスチックの本体に輪ゴム式のパチンコ(よく壊れた!)を買った。

中学の時は、アメリカ製のスリングショットというパチンコを買った!これには、7mmぐらいの鉛玉が弾として付いてきて、ちょっと怖くなった。そういや中学の時に朝、学校に行くと校舎の窓ガラスにスリングショットの穴と、割れたガラスがあって、しかも警察が来てたなあ。もちろん僕じゃないですよ~。


 じゃあ、作ったのと買ったのと、どちらがよく当たりかというと……あまり差はなかった!(結局は腕という感じか?もっと、ちゃんとしたのを買えば違ったのかもしれないが)

 

そうだ書いてて思い出した。そういえば事件(事故)があった! 友達のカドとパチンコをしていた時、焼き鳥の串を弾にして飛ばしていたのだ。空き缶に串が突き刺さり、めちゃくちゃ面白かった!さてさてカドの番になり的を見ていたのだが、飛んだはずの串は的に突き刺さってなかった。そして横を向くとカドがうずくまっているではないか!見ると、パチンコを握った左手の親指の付け根に、焼き鳥の串が、しっかりとつき刺ささっていたのだった!(怖)


 これは、後に「カド串刺し事件」と呼ばれた出来事だったのだった。


おしまい



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