第63話「雨上がりの校庭」

「なんだか道みたいだなあ」


と、友達が僕に言った。

見ると、雨上がりの校庭には、あてのない水路がたくさん出来ていた。


「釣りしようぜ!」


と、枝を竿に見立てる友達。

水溜まりに、いるはずのない魚を思い浮かべ、釣っていた。


「うわ~!大物だ。銛(もり)を撃ち込め~」


どうやら、クジラを釣ってるらしい。


水溜まりに、流れる雲が映りこむ。

鏡のように反射していて、手を入れたらつかめるかな?と手を伸ばしていると、それに気付いたあの子も水溜まりをのぞきこむ。


その瞬間、僕らの姿が水溜まりの枠で切り取られ……


「一緒に写真に写ってるみたい」


と、あの子が言った。

ずーっと見ていると、今度はなんだか不思議な感じがした。

すると、あの子も思ったようで……


「「なんだか、空に浮いてるみたい」」


と、同じ事を言っていた。

お互いに目を合わせると、なんだか恥ずかしくって、僕は足元の小石を拾って水溜りに投げ込んだのだった。


おしまい

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