第39話「クモの巣の作り方」

僕の小学時代の話しだ。小学校3年の頃。図書室で読んだ図鑑に、クモが巣を作る様子の図が描かれていた。


まずは縦糸を張って作り。そしてそこに横糸を足して、あの「クモの巣」模様を作のだ。その作り方を見て、僕も作ってみたくなった。


学校から帰り、公園に行ってY字になった枝を拾って家に帰った。僕は裁縫箱から黒い木綿糸を出してY字の枝に結び付けて行った。

まずは、Y字の両先に糸を結び張った。張った糸の真ん中に糸を結び、Y字の股の部分まで糸を張った。この張った糸の中央から四方八方に糸を出し張って「縦糸」を作った。


「何か面白いもん作ってんなあ」


そこに、仕事から帰って来た爺ちゃんが来た。


「クモの巣、作ってるんだ」


と、僕は答えた。あとは横糸を張って「クモの巣」の完成だ。


「出来たら見せてくれよ」


と、言って爺ちゃんはネクタイを緩め2階の自分の部屋へ行った。僕は中心からグルグルと横糸を張っりだした。張り出すと、本当にクモの巣らしくなっていく。最後を枝に結び付けると……「クモの巣」が完成した。

早速、爺ちゃんに見せに行った。爺ちゃんに見せると……


「おお!よく作ったね」


と、クモの巣を持って、ひっくり返したり、逆さにしたりと、よーく見ていた。そして……


「クモの巣って不思議なもんで、巣を作った蜘蛛自身はくっつかないんだよなあ!不思議なもんだ」


と、言った。そこで僕は、図鑑に書いてある事を思い出した。


「それは縦糸と横糸で違うんだって!横糸はネバネバだから、横糸にクモがくっついたらクモも糸に絡んじゃうんだってさ!」


と、自慢気に言った。すると爺ちゃんは……


「そうなのかあ!知らなかったよ~!!」


と、驚いていたのだった。


まあ本当は、知ってて驚いたのかも知れないが、その時の爺ちゃんの搬送が、妙に嬉しかったのを覚えている。


おしまい

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