第25話「春の花」

「春の小川は、さらさら行くよ。岸のスミレやレンゲの花に」


 は、音楽の授業で習った歌、「春の小川」だ。公園に行くと、植え込みの端の方にスミレやレンゲが、ほんの少しだけ咲いていた。僕の住んでた所は小川のなど、まったくない東京のコンクリートジャングルだったから、小川の脇で揺れるスミレやレンゲを思い浮かべたものだ。


3月から4月はサクラが咲いた。ソメイヨシノが散ったあとは、八重桜が花を咲かせた。

サクラが散って、少し寂しい気持ちになったあと、ニョキニョキとアチコチから生えくるタンポポ。本当にアチコチから生えているのでビックリしたものだ。タンポポは、笛にしたり綿毛を飛ばして遊んだ。


ハルシオンもこのぐらいに咲いた。この他、ナズナも(ぺんぺん草っていったなあ)近所の空き地や駐車場に咲いてたなあ。

今では街路樹として珍しくないハナミズキ。でも当時は、人の家の庭先でしか見た事しかなかった。だから庭に植えられる樹だと僕は思っていた。


サツキやツツジが咲くと、摘んで蜜をなめた。ツツジは滑り台の上からパラシュートにして遊んだ。

公園の砂場には日陰用の藤棚があった。普段は藤のツタによじ登るぐらいにしか、その存在感がなかったが。藤の花が咲き乱れると、砂場は華やかになり藤の存在が際立った。でも砂場で遊んでると……


ブーン!!


と、蜂がやって来るのでビックリしたものだ。

アジサイの葉が大きくなってきて、初夏の陽気がつづくようになると……

ああ、春はもう終わってしまっていて、夏がやって来るんだなあ、と思ったものだった。


おしまい



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