作戦会議
「………次はじわじわ来る系がいいと思う」
「………何の話だ?何の話だ!?」
今、俺は再び最強魔法少女決定戦への出場を決意し、橘さんに連絡、橘さん宅へ来ていた。
またあのガラクタの山を進んだ先にあるリビングで正座をしている。
もちろん服は脱いできた。
今回は最初から脱いできた。
玄関入るなり、ここまで身につけていたもの全てを脱ぎ捨て、以前借りたブーメランパンツを装備した。
「いや、あれから考えたの、色々、そして思い至った」
橘さんは向かいに座るなり何やら語り出した。
今日もサイズのあっていないtシャツ一枚だ。下は履いていることを願う。
「いくら魔法がパッとしないものが多いといえど、5点着地とかいうピンポイントなものなわけがないと」
「ハァ……」
先日、俺は魔法少女になった。
だが、肝心の魔法がわからず、橘さんに相談したところ、地上15メートルの高さから蹴り落とされた。
普通なら死ぬ所だが、運良く発動した俺の魔法によって無事に生還した。
その時俺自身意識が飛んでいて記憶にはないが、後から聞いた橘さんの話によると、見事な5点着地を決めていたそうだ。
それは良かったのだが、俺は世界中から腕自慢が集まり、最強を決める『最強魔法少女決定戦』へ出場して優勝するつもりでいた。
のに、そんな大会で勝ち進むことができるような強力な魔法ではないと諭され、やむなく断念して真面目に働くことを決意した。
のだが、
その後すぐに俺自身の体質"魔法少女に遭遇してはその度に大切なものが破壊される"が発動、再び職を失ったことから、純粋に魔法少女への怒りから再び最強魔法少女決定戦への出場を決めた。
そんなわけで、これからのことを相談するため、こんなところでこうして作戦会議を開いているのである。
「きっと何かあるはずだよ‼︎お兄さんの魔法の本質‼︎だから色々試して、正確な魔法の性質を理解するべきだと思うんだ‼︎」
バン‼︎
とテーブルを叩いて立ち上がる橘さん。
ぶかぶかのtシャツで前のめると、ベロンベロンの襟からよからぬものが見えそうでそっと目を逸らす。
「で、次はじわじわ来る系と?」
「そういうこと、前回は一瞬だったからどうやって魔法が発動したとかよくわからなかったでしょう?」
ググい、
と、さらに顔を近づけてくる。
「だから次はゆっくりと死に至る体験をしろと?」
そっと両手のひらでガードして話を続ける。
「そしたらきっとゆっくり魔法も発動して、もっとよく知ることができると思うの‼︎」
バッと、
俺が気を利かせて見ないように努力していたのに、そんなこと気にもしてない様子の橘さんはテーブルから離した両手で、俺のガードしていた手のひらをかきわけ、さらに伸ばして俺の両頬を挟んで向き直らせてきた。
………綺麗な薄ピンクだった。
まだまだ発育途中感はあるが、たしかに主張するそれらは、彼女が間違いなく少女でありいずれは………
………………。
「……確かに」
一瞬では分からないことも、じっくりと時間をかけることで分かるようになることもあるようだ。
「でしょ?」
「はい………」
はい、
よく分かりました。
「じゃ、いこっか?」
「………………はい」
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