なんて事もありました。

…………何でこうなった?


「ワァァァァァァァァァァ‼︎」


観客の熱気がこちらまで伝わってくる。


今の俺は、何故か最初の目的にして一度は諦めた『最強魔法少女決定戦』に参加していた。


円形の闘技場に、数え切れないくらいの観客がいて、中心にいる俺、ではなく相手のギガノマキナへと声援を送っている。




きっとこの中のほとんどが、この戦いで俺が死ぬことを願っているのだろう。


それは最強魔法少女を決める大会において男である俺が出場していることへ怒りを集めた結果だろう。




……実際死ぬと思う。


だって相手はどう見てもヤバいやつじゃん?身長2メーターオーバー、体重200キロ、全身を覆っているのが脂肪ならまだしも、まるで金属みたいな筋肉だし、どう考えても魔法少女とか女子中学生とかじゃないよね?



……俺はつい先日、真面目に働くことを決意し、橘さんに紹介してもらったとあるハリウッドでスタントをしていたはず、

なのに、気がつくとこんな所であんな化け物とのタイマンを張っていた。


なぜだ?何故こうなった?


………考えてもわからない。




「ドウシタ?コナイノカ?」

「……………」


なんでカタコト?

もうあれじゃん?バーサーカーじゃん?あんなんに勝てないよ?勝てるわけないじゃん?


もうね、あの俺の胴体と同じくらいの太さの腕から放たれた拳がこの体に触れた瞬間簡単に死ぬ自信あるよ?


「ヒンジャクソウダカライチゲキメハウケテヤロウトオモッタガ、コナイノナラ、コチラカライカセテモラウ」


あーもう‼︎


カタコトで長文しゃべやらないで?何言ってるのかわからない


「ユクゾ‼︎」


そうこうしている間に、俺の一回戦の相手、ギガノマキナさんが姿勢を低くし、力を溜め、


――一気に踏み込んできた。


瞬間。


「………は?」


信じられない光景に思わず目を疑った。


なんと、ギガノマキナさんが踏み込んだ地面が壊れ、めくり上がったのだ。


硬い砂のフィールドが、ぶち壊れるなんてあるのか?

攻撃でもない、ただの踏み込みで、


相手はいくらがガタイがいいとはいえ、服装はセーラー服だし、靴はローファーだ。


地面がひび割れたり捲れ上がる要素なんてない。


なのにこれはなんだ?

これが魔法なのか?



俺とマキナさんとの距離は約2メートル、


2歩踏み込まれたらもう拳の射程内だ。



このまま何もしないと、数瞬後にはまともに攻撃を受けて死ぬだろう。


とはいえ、相手は見た目のわりに素早く、あっという間に距離を詰めて必殺の一撃を構えてきた。


あまりに素早く俺は何もできない。


すでに俺の顔面に狙いをつけた拳が、これでもかと振りかぶられ、放たれる。


ゴツン‼︎



自分の脳内に固いものが固いものにぶつかる音が響いた。


それは言うまでもなく自分の鼻っ柱にギガノマキナの拳が叩き込まれた音だった。

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