ようこそ!幸運堂へ!

ボンゴレ☆ビガンゴ

プロローグ

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 ヘンテコなチラシが電信柱の随分と下の方に貼ってあった。いつもの犬の散歩で通っている道の電信柱にだ。


 あたしは立ち止まって首を傾げた。あれは8月のある日の事。太陽は高く雲は白くあたしの影は黒かった。

 気がついたら身を屈めてその怪しいチラシをまじまじと見つめていた。

 犬のケンタローは早く行こうとあたしを急かす。

 あたしは額から流れる汗を拭う。




 別に夏休みだからってやることがないわけじゃない。


 だけど、夏休みって瞬きする間に過ぎ去っていく。


 6月の梅雨時にはあんなにも待ち焦がれていたのに、始まってみれば駆け足で夏は去ってしまう。

 非日常って慣れてしまえばありきたりの日常になってしまうみたいだ。



 高校生活最後の夏休みだっていうのに、ぐでぐでだらだら。



 知らぬ間に溶けて垂れているソフトクリームみたいに、大切な何かを失っているのではないか。


 気がついたらあたしは貼り紙を剥がしていた。

 自分でもなんでそんな行動に出たのかわからない。強いて言うなら夏のせい。


 非日常なんて、そう簡単に転がってるものじゃないのにね。

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