デマノート
“昼間、栞ちゃんが言っていた都市伝説のなんだったっけ?そうだ、目潰し女だ。ちょっと気になるからネットで調べてみるか。”
ぼくはネットで検索を掛けてみた。
“ふーんこのサイトなら見つかりそうだな。ネットロアの発信基地『デマノート』だって?”
人気漫画のパクリの様な胡散臭いタイトルのウェブサイトにアクセスしてみる。
“うわ・・・ヤバっ!
今にも本当に身近で現れそうな感じがして怖い。”
この都市伝説は全国の小・中学生に非常な恐怖を与え、怯えさせた。神奈川県では、登校拒否による長期欠席児童が多数続出した。市民の緊急通報によるパトカーの出動騒ぎ(神奈川県横須賀市)や、同じく横須賀市で集団下校が実施されるなど、市民社会を巻き込んだパニック状態にまで発展した。
その発祥は神奈川県横須賀市とされている。当時の新聞記事によると、神奈川県横須賀市発祥地とする説においては、横須賀では発祥当時、少女の連続拉致殺人事件が多発しており、その内の被害者である横須賀市湊小学校の女性教諭が、産休中である夏休みに殺害。その被害者の魂が自ら犯人への復讐を誓って怨霊となり、犯人を見つける為にわが眼を探し求めて彷徨い歩いているとされている。
夜遊びをする子供たちに「夜道を歩いていると目潰し女に襲われ、両眼を奪われる」と夜の外出を怖がらせた話がルーツとされることが多い。埼玉県では、母親が娘に注意を喚起する為にした話が様々な変化を伴いながら、拡散されたとする説など諸説ある。
夏休みが終わった頃、それまで関東を中心に席巻していたこの噂は急速に沈静化した。これは、夏休みが終わり、子供たちが直接顔を会わせる様になった事で、それまで盛んに情報伝達に使用されていた流言飛語が飛び交うスマートフォンのインターネットサービスによるメッセージ・チャットを使用する頻度が極端に減り、噂の情報交換が途絶えたため、とされている。
目撃談によると、目潰し女は赤いキャンバスコートを羽織り、赤いパンプスを履いている。だがもともとは白地のコートに白のパンプスだった。彼女を死に至らしめるまで流れ出たおびただしい大量の出血を浴びた為に、衣服から靴の先まで真っ赤に染まってしまったのだという。
道を歩いていたら突然、目潰し女が現れて問い掛ける。
『わたしの両眼を持ってない?』
『わたしの赤ちゃんを見なかった?』
『わたしを殺した犯人を知らない?』
『わたしの両眼をくり抜いたのはあなた?』
『わたしを殺したのはあなた?』
その台詞にはバリエーションがあるが、回答者がどう答えたとしても、結局のところ、目潰し女に長い爪の指を突っ込まれ、両眼をくり抜かれるという。それが、彼女が目潰し女と呼ばれる所以である。
地域によっては、錐、アイスピック、マイナスドライバー、鋏など、道具を用いる場合もある。
たとえ逃げても、ウサイン・ボルトにも匹敵するほどの猛スピードで走って追い掛けてきて、必ず捕まえられてしまう。
時には、四つん這いで凄い速さで追い掛けてくる事もある。
目潰し女から逃れるには、両眼の代わりにビー玉を2つ用意しておき、両眼を返すと言ってからなるべく遠くへ放り投げ、彼女が捜している間に逃げておおせるしかない。
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