潜入捜査

透たちが沼で釣りをしていた時に見つけたという赤ん坊の両親が誰なのか、それを突き止める事が先決だと思われた。

でも、肝心の赤ん坊の遺体が警察に保管されているとなると、わたし達にはどうにも手が出せない。やっぱりお父さんに助けてもらい、DNA判定なり、試してもらうしかないかな。だけど、なんて聞けばいいんだろう?茉都香の件にしても未だ何もかもが不確かな段階で、彼女の妊娠や自殺未遂の事まで話すのは、いくら自分の父とはいえ心情的にも時期尚早な気がした。そもそも、わたしは仕事人間で家を顧みない父親が苦手で、普段からあまりそりが合わなかった。口を開けば喧嘩ばかりで自分で言うのもなんだけど、思春期真っ只中の女子高生なのだ。透がわたしを頼ってきたのは、父が刑事であるという事が大きいのはよく判っている。とはいえ出来る事なら、父の助けを借りずに茉都香へと辿り着く手段はないものかしら。思案をしてみるものの、いい考えは浮かばない。


「いいわ。赤ちゃんの件は、わたしからお父さんにそれとなく探りを入れてみる。でも、茉都香の赤ちゃんかどうかはまだ判らないし、変に事を大きくしたくないの。もし、そうでなかった場合、茉都香が出て来辛くなっちゃうでしょう?」

かといって曖昧にしておく訳にもいかないし、何とか父から担当部署に上手い事話を通してもらい、様子を伺うしか無さそうだった。何処まで父にこれまでの経緯を説明するかは、後でゆっくり考える事にしよう。


「うん、そうだね。警察の事は栞ちゃんに任せるよ。」

透は素直に従ってくれた。



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