潜入捜査

「『ガチカレ』ってナニ?教えてくれたらぼくも教える。」

透が逆に質問攻めしてくる。


「う…、ゲームよ!茉都香ちゃんがとても大好きなゲーム。」


“茉都香ゴメン。あんたのことをまた守れなかった。”


「ゲーム?なんでそれが秘密なの?」


「女の子だけの秘密のゲームなの。イケメンの彼氏と愛を育んでいく。」

これ以上は、茉都香の傷口を拡げない様に、秘密を守らなくてはいけない。


「げー気持ちわりーー!ぼく全然判んないや!」


“こ、このクソガキー?!おっといけないクソ生意気なお子様め!…でも実はわたしも全然判んない。”


「だから言ったでしょ。『ガチカレ』は女の子だけの秘密のゲームなの。女の子の気持ちを掴むには、こういうのを理解してかなきゃダメだぞ。」


「フーン。じゃあ、今度の誕生日にお母さんに買ってもらってやってみる。」


“げ!意外と素直ね?でもこれ以上、空爆範囲を拡げる訳にはいかないわ!”


「そ、そこまでやらなくてもいいんじゃないかな?女の子用のゲームだから、お母さんが心配しちゃうかもよ。」

わたしは慌てて止めに入る。


「そっか。じゃあやんない。」


“ホッ。今の小学生は淡白で助かった。”


「それがいいわ。じゃあ次はキミの番よ。キミの知ってる茉都香の秘密を教えてくれる?」

わたしはいよいよ核心に迫っていく。


「でも、もう直ぐ夕ごはんの時間なんだけど。」

透が時計を見ていう。


“いけない、もうそんな時間か?うちのお母さんにも、7時までに帰ってこいって言われてたっけ。”


小学生の方がしっかりしてる。わたしはちょっぴり反省した。


「そういえばそうね。透くん、以前茉都香と一緒に遊びに来た栞お姉ちゃんのお家覚えてる?」


「うん、近くだし覚えてるよ。」


「明日の午後1時に来られる?」


「いいよ。その時間に行く。じゃあ明日ね。」


「バイバイ。気をつけて帰るのよ!」


「判ったー。バイバイ!」

小学生は手を振ると元気に駆けていく。


“今日の番組はここまで!気になる続きはまた明日!”

よく観るテレビドラマの予告編が頭に浮かぶ。わたしの捜査は、明日へと持ち越しとなった。



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